研究課題/領域番号 |
03J10727
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
思想史
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西野 正巳 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | イスラーム / 原理主義 / 政治思想 / 中東 / エジプト / イスラム / アラブ / イスラム主義 |
研究概要 |
イスラーム主義の再定義を行うべく、その代表的イデオローグであるサイイド・クトゥブの思想と、その後継世代の思想を比較検討した。具体的には、1966年のサイイド・クトゥブ処刑後、その思想の継承と普及に努めたとされる実弟ムハンマド・クトゥブの思想を主な研究対象とした。さらにムハンマド・クトゥブの弟子筋とされるオサーマ・ビン・ラーディンらアルカーイダの思想、今日イラクで活動する武装勢力の思想など、9・11事件以降顕在化した新勢力の思想動向も研究対象に加えた。なおクトゥブ兄弟の思想は従来型一次資料である書籍や雑誌の形態で入手可能だが、一方、オサーマ・ビン・ラーディンやイラク武装勢力の思想はビデオテープ、音声テープ、ウェブサイト上のビデオファイルや音声ファイル、電子掲示板への書き込みといった形態で入手することになる。そのため資料収集に際しては、中東諸国の方式に対応したビデオデッキやDVDプレーヤー、アラビア語表示機能を備えたパソコンなどを駆使した。思想分析の結果、現時点までに得られた暫定的結論ないし仮説を述べると、1960年代にサイイド・クトゥブが確立したイスラーム主義思想の基本的枠組みは、おそらく2005年現在に至るまで後継世代にそのまま引き継がれている。即ち、イスラーム法が適用されるイスラーム社会の建設を目指すことが、彼らの思想の根幹をなしている。但しムハンマド・クトゥブのように既にイスラーム法の適用が相当程度進んでいるとされる社会に居住する者と、イラク武装勢力のようにイスラーム法が適用されているとは言い難い社会に居住する者では、自分達の暮らす社会に対する態度が大幅に相違することとなる。即ち、前者は穏健かつ漸進的な社会変革を唱えることが可能な立場にあるが、後者は急進的変革を主張せざるを得ない。その結果、イスラーム世界外部の者の目には、前者と後者が大きく異なる思想に見えることもある。
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