研究概要 |
1、超新星ニュートリノ:超新星爆発によりおびただしい数のニュートリノが生成されると考えられており,これは超新星1987Aからのニュートリノをカミオカンデが捕らえることで観測的に確認された.しかしながらそれ以降,超新星ニュートリノは確認されていない。これにより,シミュレーションなどの進展はあるものの,爆発メカニズムに真に迫ることができているとはいいがたい.今回本研究では,10Mpc以内の近傍銀河で起こった超新星からのニュートリノバーストが,メガトン級の検出器を用いれば,決して小さくないペースで検出可能であることを示した. 2、ガンマ線バーストからの超新星ニュートリノ:近年になってガンマ線バースト(GRB)と超新星の相関が観測的に確立した.しかしながら,「すべての超新星はGRBにみられるような相対論的ジェット伴うのか」という問題については答えられていない.本研究ではガンマ線では観測不可能なバリオンを多く積んだジェットを考え,そこでのニュートリノ生成過程の計算を行った.その結果,IceCubeなどにより充分検出が見込まれ,上に提示したような本質的問いかけに対する示唆が得られることを示した. 3、暗黒物質対消滅:宇宙背景ガンマ線の起源は謎であるが,ひとつの候補に暗黒物質対消滅が考えられてきた.本研究では二つのアプローチからこの可能性に制限をつけることを試みた.ひとつには,すでに我々の銀河の中心領域からガンマ線が検出されていることから,背景放射における暗黒物質対消滅の寄与について強い上限を課すことが可能であることを指摘した.また,スペクトルに加えて,非等方性を定量的に評価することで,GLAST衛星などにより,背景ガンマ線の起源を特定可能であることを定量的に示した.
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