研究課題/領域番号 |
03J11889
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
風間 北斗 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | シナプス / CaMKII / カルシウム / 逆行的調節 / イメージング / 自家蛍光 / フラビンタンパク質 / myopodia |
研究概要 |
シナプスの形成には、神経細胞(プレ)とその標的細胞(ポスト)間の綿密な相互作用が重要であると示唆されているが、その内、ポストがプレに働きかける機構に関しては未知な部分が多い。私は、ショウジョウバエ幼虫の神経-筋結合系を用いて、ポスト内の酵素CaMKIIがプレの機能と形態を逆行的に調節することを報告してきた。本年度は、シナプス形成期における標的細胞の挙動を調べるもう一つのアプローチとして、筋肉細胞内で自発的に発生する自家蛍光のイメージングを行った。青色励起光照射の下で筋肉細胞を観察すると、一過的に緑色蛍光が上昇する現象が検出された。一部の蛍光信号は鋭いピークとして出現したが、残りの信号は、立ち上がると数十秒の間安定した水準を保ち続け、その後鋭く減衰するという、細胞に起因するシグナルとしては類のないキネティクスを示した。自家蛍光シグナルは、細胞外のカルシウムイオン依存的に発生した。薬理学的実験により、自家蛍光はミトコンドリア内に存在するフラビンタンパク質に起因することが分かった。また、蛍光シグナルは自発的に出現するものの、その発生頻度が神経の投射に大きく依存した。蛍光強度が、筋肉細胞の中でも特にシナプス部で大きく上昇する事実と合わせて、自家蛍光変動がシナプス形成過程に関わる生理的現象を反映している可能性が提起された。本研究は、シナプス形成期に、標的細胞内で自発的に発生する自家蛍光シグナルを、生体において報告した最初の例である。自家蛍光イメージングは、シナプス形成の理解に大いに貢献する可能性がある。また、もし、先行研究から予想されるように自家蛍光強度とカルシウムイオン濃度との間に相関があることが判明すれば、自家蛍光イメージングは、ミトコンドリアの活性化状態を調べる手法としてだけでなく、新しい非侵襲的なカルシウムイメージング法としても適用できる可能性がある。
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