研究課題/領域番号 |
03J11954
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生物物理学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
若本 祐一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | 1細胞計測 / 大腸菌 / 微細加工技術 / 後天的遺伝 / 表現型揺らぎ / 静止期 / 細胞間コミュニケーション / エピジェネティクス / マルコフ過程 / 生物物理学 |
研究概要 |
(1)伸長表現型の後天的遺伝 昨年度までに明らかにしていた、大腸菌伸長型表現型の後天的遺伝の現象を詳細に解析したところ、分裂時の細胞長10μmを境にそれ以下では等分裂、それ以上では不等分裂が起こり、通常表現型と伸長表現型を分ける細胞長或閾値が存在することが分かった。分子機構を考える為、分裂位置決定に関わるMinCDEタンパク質の細胞内での挙動をシミュレートすると、そのダイナミクスが細胞長7.5μmを閾値にそれ以上では不当分裂を誘導することが分かった。Minタンパク質がFtsZの細胞膜接着位置決定に関わることを考慮し、分裂時の長さにおける閾値を計算すると9.8μmとなり、実験結果と一致した。この結果は、閾値長さを獲得した細胞内ではMinタンパク質のダイナミクスが定性的に変化し、新たな表現型を安定化することを示しており、細胞の形状が後天的な表現型決定情報となっていることを示した。 (2)細胞間コミュニケーションによる後天的情報の保持 細胞の表現型決定に寄与する後天的情報は細胞内だけでなく、ある特定の相互作用状態を細胞間で作り出すことにより保持される可能性も考えられる。そこで、大腸菌の静止期環境に保持された拡散性シグナル因子による相互作用形式を対数増殖期の細胞に与え、細胞間コミュニケーションによる情報保持の有無を検討した。 その結果、静止期環境中のシグナル因子は栄養非依存的に成長を10分以内に停止させることが分かった。シグナル因子濃度を下げて細胞に与えた場合、濃度に応じた抑制された成長速度を維持したことから、細胞は現在置かれた環境中のシグナル因子濃度に従って成長速度を調節していると考えられる。これは、シグナル因子濃度という情報が成長速度の決定因子であり、拡散性シグナル因子による細胞間コミュニケーションが後天的情報となることを示している。
|