研究概要 |
GSE(gonad-specific expression gene)遺伝子はZGA期に発現が変化する、精巣および卵巣で特異的に発現する新規遺伝子である。これまでの研究からGSEは、(1)ノーザンブロット解析より生殖腺以外の体細胞系列組織では発現しないこと、(2)精巣ではパキテン期の精母細胞が出現する生後14日目からGSEは発現し始めること、(3)減数分裂期にある精母細胞が存在する分娩時から発現し始めることが示され、生殖細胞の減数分裂に何らかの役割を果たしていることが示唆された(Zhang et al.,2002)。そこで、本研究はGSEが初期発生胚ならびに生殖腺で果たす役割を明らかにすることを目的として、相互作用するタンパク質の検索およびRNAi(RNA-mediated interference)をもちいた遺伝子ノックダウンにより卵巣・精巣における機能解析を行う。 1)マウス卵巣cDNAライブラリーによるTwo-hybrid systemを用いたマウスGSEと相互作用を示すタンパク質の探索 ・lacZ遺伝子を制御しているLexAオペレターに結合領域を持つpGilda lexA vectorにGSEi遺伝子を組み込んだベクターを構築した。 ・宿主の酵母株(EGY48)にLexAオペレーターに制御されているlacZ遺伝子をコードしているプラスミド(p8op-lacZ),pGilda-GSEおよび卵巣cDNA-librayを組み込んだLexAを含むレポーター遺伝子のAD領域をもつプラスミド(pB42AD)をtransformationし、3種類のプラスミドを持つ酵母株を樹立した。 ・現在、leucineを欠損した培地で酵母を培養することでGSEと相互作用を持つタンパク質を発現している酵母コロニーのスクリーニングを行っている。 2)RNAi(pDECAP)ベクターにGSEcDNAを組み込んだ発現ベクターの構築 ・pDECAPにGSEの5'領域断片(開始コドンを含む556bp)のinverted repeatのligationを行っている。 ・鋳型となるプラスミドのinverted repeat配列部位のDNA複製時に鋳型が十字構造(cruciform)をとることで、この部分のdelitionが起こり大腸菌内での複製がうまくいかないことが予測される。このため、宿主となる大腸菌とその培養条件の検討している。
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