研究課題/領域番号 |
03J52361
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
数理物理・物性基礎
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
吉田 誠 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | TEM-STM / 非線形性電流-電圧特性 / 同時計測 / 三次関数 / 熱膨張 / 電極間距離間距離変化 / 熱伝導方程式 / ナノコンタクト、ナノワイヤー / 電流-電圧特性 / 非線形性 / 超高真空透過型電子顕微鏡 / 同時観察 / コンタクト形状変化 / 電極間距離変化 / 電流依存 / ナノコンタクト / 貴金属 / コンダクタンス非線形性 / ドルーデモデル |
研究概要 |
本研究は、走査型トンネル顕微鏡組込み式透過型電子顕微鏡(TEM-STM)を用い、金ナノコンタクト形状とコンダクタンスの同時観察を行った。これにより、量子化コンダクタンスを確かめ、金属ナノコンタクトが示す非線形性電流-電圧(I-V)特性の原因を解明した。昨年度の研究では、ナノコンタクトのくびれ部分が1nm程度と短いコンタクト(ポイントコンタクト)は、電圧、電流増加に伴いコンタクト幅が増加し、非線形性I-V特性が現れることを明らかにした。今年度の研究では、ナノコンタクト幅の変化を引き起こす原因解明について調べた。その結果、ナノコンタクトに印加する電圧が増加すると電力(=電圧×電流)に比例して電極間距離が近づく現象をTEM観察により明らかにした。この近づきにより、短いナノコンタクトではコンタクト部分の断面積が増加し、三次関数的な非線形性電流-電圧特性が現れることを明らかにした。さらに、この電極間距離変化は、電極の熱膨張により現れることを明らかにした。ナノコンタクト周辺の電極部で熱が発生し、電極が熱膨張するという仮定から、熱伝導方程式を解き電極間距離変化が電力量に比例する結果を理論的に説明した。また、熱膨張の検証実験では階段状に印加電圧を変化させることで、電圧変化に対する電流、電極間距離変化量の時間依存性をTEM観察した。その結果、電極間距離の近づく量は時間経過と共に指数関数的に減少し、ある一定値に飽和する結果を見出した。熱伝導方程式から得た式をこの実験結果にFittingすると、ナノコンタクト-電極の接触部周辺(〜0.1mm)で熱が発生し、温度が0.01[K]程度上昇することが明らかになった。このとき、熱は電極のマクロ領域(〜6mm)まで伝導し、電極の熱膨張を考慮することで、電極間距離が約0.5nm近づくと説明した。このように、本研究は電極の熱膨張効果による電極間距離の近づきが非線形性I-V特性の原因であることを明らかにした。本研究で明らかになった熱膨張効果は、近年注目を浴びている単分子伝導計測やナノ材料の電気計測に対する課題を提示したものであり、ナノ領域の研究における重要な研究結果である。
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