研究課題
特別研究員奨励費
本年度はカタユウレイボヤ筋肉分化の分子機構におけるTbx6b、Tbx6c遺伝子の機能を解析した。古くからホヤ筋肉分化は卵内に局在する母性の決定因子によって開始されると考えられ、近年マボヤを用いた解析からmacho-1遺伝子がその決定因子であることが明らかにされた。私は前年度に行ったT-box遺伝子の網羅的解析でカタユウレイボヤゲノム中に3つのTbx6遺伝子が存在することを明らかにした。これらは全てカタユウレイボヤCi-macho1の下流遺伝子であることが示唆されている。私はまずTbx6b、Tbx6c遺伝子の過剰発現により異所的な筋肉が作られること、macho1の機能を阻害した胚でもTbx6b-c(Tbx6b、Tbx6c両遺伝子)を過剰に発現させると、同様なことがおこることからTbx6b-cがCi-macho1の下流遺伝子であることを示した。さらに、Tbx6b-cで遺伝子が筋肉マーカー遺伝子の発現の開始に必要であるが、維持にはTbx6bのみがCi-ZicL遺伝子とともに必要であることを示した。また、Ci-ZicLとTbx6b-c遺伝子の機能を共に阻害した胚の表現型とmacho1、Ci-ZicL遺伝子の機能を共に阻害した胚の表現型が同じであることからTbx6b-c遺伝子がmacho1の筋肉分化に関わる機能を仲介することが示唆された。最後に、macho1、Ci-ZicLの両方の遺伝子の機能を阻害した胚でTbx6b-c遺伝子の発現が失われ、Tbx6b-c遺伝子の機能阻害胚でCi-ZicLのB6.4割球での発現が失われることから、Tbx6b-c遺伝子とCi-ZicL遺伝子が互いの発現を制御していることを示した。これらより、カタユウレイボヤ筋肉分化の分子機構はCi-macho1、Tbx6b、Tbx6c、Ci-ZicLの4つの鍵となる遺伝子によって制御されていることが示唆された。
すべて 2005 2004 その他
すべて 雑誌論文 (2件) 文献書誌 (1件)
Developmental Biology (印刷中)
Developmental Dynamics 230,Issue 4
ページ: 743-753