研究課題/領域番号 |
03NP0401
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研究種目 |
創成的基礎研究費
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松原 謙一 大阪大学, 細胞工学センター, 教授 (20037394)
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研究分担者 |
大久保 公策 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (40233069)
中村 祐輔 (財)癌研究会癌研究所, 部長 (70217909)
吉田 光昭 東京大学, 医科学研究所, 教授 (80012607)
吉川 寛 大阪大学, 医学部, 教授 (70019876)
榊 佳之 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10112327)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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キーワード | ヒト・ゲノム / ゲノム構造解析 / ゲノム機能解析 / cDNA / DNA解析技術 / モデル生物 / 生物情報科学 / 物理的地図 / 遺伝的地図 / 塩基配列決定 |
研究概要 |
生命の設計図であるゲノムの構造と機能を研究解析し、そこに包含される遺伝情報を理解するために、総括班ならびに3つの研究班を組織して研究の推進を図り、次の成果を得た。 1.総括班。全体としての活動を円滑に進めるため各種会合の企画立案調整、機器の計画的購入と配分、情報交流、評価などを積極的に進めるほか、米国における新技術等の調査や各センタ-との打合わせ等により国際的に整合性のある我国のゲノム研究体制を確立した。また、社会の接点の問題研究の一環として国際生命倫理福井セミナ-を開き広く意見の交流と問題点の整理を図った。 2.ヒト・ゲノム構造解析班。ヒト染色体21番につき殆ど完全な形のNot I酒限酵素切断地図を作成したほか、6,8,X,Y,11につき約0.5〜2メガベ-スの密度でマ-カ-を置いてゆく物理的地図の作成作業を開始し、特定領域についてこれを完成させたほか、全体として約1/3〜1/2程度の完成度の地図作りを行った。これらの成果は、ゲノムデ-タベ-ス作成における1991年度分の国際的作業の約半分近くを占める貢献である。これと並んで、特定領域の詳細なマップ作りを進める作業を、免疫グロブリン遺伝子H鎖V領域とHLA遺伝子群について実行した。これは、大づかみなマップ作りが終わった後に来るべき仕事のモデルとなる先導的研究である。本年度のうちに、大量の資料を扱いつつそれらを処理、分析し、デ-タ化して整理する方法論の開発と実行において著しい進展を見せることができた。 3.cDNA解析班。ヒト肝細胞の中で発現している全遺伝子をカタログ化し、その発現頻度まで解析できる「3特異的cDNAライブラリ-分析」がスタ-トし、約2000クロ-ンの分析を終えるという成果を挙げた。この成功は、次年度から各臓器における発現遺伝子の系統的解析プロジェクトに発展できるものであり、世界に先駆けてゲノム研究に構造解析のみでなく機能解析をも並行して行うべきであるとする新しい方向性を与えるものである。これに伴って良質なcDNAライブラリ-の作成やその迅速な分類、カタログ化、デ-タ整理などにおける新しい手法が種々開発され、世界のcDNA研究者数の急速な増大を誘導するきっかけを作ったものと評価できる。 4.DNA解析技術開発班。DNAの分離、切断、クロ-ニング、染色体上へのマッピング等に関わる技術開発を進める中から、二次元電気泳動技術によるゲノムスキャンニング法の確立、T3ファ-ジによるDNA欠失セットの作成技術、BUDRを用いる染色体の分染とin situハイブリッド法の組み合わせ技術の確立という国際視献技術を完成することができた。また、枯草菌、分裂酵母、線虫をモデル生物として選び国内と国際協力してゲノムデ-タベ-スを作り且つそれに伴って高度の技術開発とデ-タベ-ス間の相互比較を導くシステム作りを現実化することができた。次年度から具体的成果の奔流が予想できる。
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