研究課題/領域番号 |
04041015
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 高知大学 (1993) 北海道大学 (1992) |
研究代表者 |
大野 正夫 (1993) 高知大学, 海洋生物教育研究センター, 教授 (10036543)
増田 道夫 (1992) 北海道大学, 理学部, 助教授 (20091499)
|
研究分担者 |
NGUYEN Hun D 国立自然科学センター, 海藻部門(ベトナム国), 主任研究員
HUNH Quang N 国立自然科学センター, 海藻部門(ベトナム国), 部長
川口 栄男 九州大学, 農学部, 助手 (50195054)
鰺坂 哲朗 (鯵坂 哲朗) 京都大学, 農学部, 助手 (40144349)
山本 弘敏 北海道大学, 水産学部, 教授 (00001610)
NGUYEN Huu Dinh National Center for Natural Science and Technology of Vietnam Institute of Mater
NGUYEN Huu D ベトナム自然科学センター, 海藻部門, 主任研究官
HUYNH Quang ベトナム自然科学センター, 海藻部門, 部長
大野 正夫 高知大学, 海洋生物教育研究センター, 教授 (10036543)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
14,500千円 (直接経費: 14,500千円)
1993年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
1992年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
|
キーワード | ベトナム / 海藻類 / 海産藻類 / 分類学 / 系統進化学 / 生態学 / 海藻養殖 / 海藻資源 / 資源海藻 / 寒天 / カラゲナン / オゴノリ科 / オキツノリ科 / ムカデノリ科 / ホンダワラ科 |
研究概要 |
日本の亜熱帯-暖温帯に生育している暖海性の海藻種群は、その起源を熱帯に持つ例が多く、わが国のそれらの海藻種群の系統分類学的研究に熱帯の種群の知見は不可欠である。われわれの研究グループは、昭和60年度より平成2年度まで、フィリピン諸島の海藻種群の分類学的、生態学的な調査を文部省国際学術調査(課題番号0201064)により調査を行い多くの知見が得られた。海流の影響でベトナム沿岸域は、日本・フィリピンの海藻種群の起源と分布域を考える時に、重要な位置にあることがわかった。ベトナム沿岸からの海藻の報告は、ごく一般的なものが僅かになされているにすぎず、未知の海域であった。そこで平成4年度から2年間の海藻種群の系統進化学に関する調査、有用海藻資源の調査および他海域で養殖されているキリンサイやオゴノリの移植実験が行われた。研究対象種群は、系統分類の試料として紅藻のアマノリ属、オキツノリ科、フジマツモ科(特にソゾ属)、テングサ科、オゴノリ科、ムカデノリ科および褐藻のホンダワラ科の藻体の採取が精力的に行われた。ベトナム研究者は、ベトナム沿岸の海藻フロラを明らかにするために、一般的海藻採取を行った。 第1年度の調査は、ダナンから南下しメコン河口域までの南ベトナム海域の20定点で行われた。第2年度は国境の町、モンカイから南下し、北ベトナムから中部ベトナム沿岸までの22定点の調査地で行われた。2年間の調査結果から、北ベトナム沿岸は、紅河の影響で塩分が低く、濁度も高く海藻の植生は貧弱であった。北緯17.5°付近のドンホイ沿岸で、南下する海流と北上する暖流がぶつかり、急に海藻植生は豊かになった。南ベトナム沿岸は河川からの濁りの影響の強い所は、海藻は極端に少なくなるが、沿岸から少し離れた島々は、豊かな海藻群落がみられた。南ベトナムの広大なラグーンはオゴノリの養殖が行われており、多くのサンゴ礁池にはテングサ類、キリンサイ類がみられ、漁民により採取されていた。採取されたオキツノリ科、ソゾ属、オゴノリ科の試料は一部、日本に生の状態で持ちかえり培養が行われており、生活史、交雑実験などにより系統進化学の研究が続行されている。今までに明らかになったことは、次のような事項である。 1.オキツノリ科の交雑実験により、日、比、ベトナム産の系統進化の関係が明らかになりつつある。 2.ソゾ属のベトナム産の種類について、細胞内成分の検討が試みられ、日本、比、ベトナム産との系統進化が研究されている。 3.2種のアマノリ属の試料が得られ、暖海性のアマノリ属の形態、分類的検討が行われた。 4.ムカデノリ科、スギノリ科の試料が充分に得られたので、日本産の種群と分類的検討が行われた。 5.ホンダワラ科については、第1年度の試料により2種が新種として報告されたが、第2年度の試料からさらに新種となる試料が出ると期待されている。また北ベトナム産のホンダワラ類は、九州から中国沿岸に出現する種と共通するものが、多いことがわかった。 6.ベトナムの有力な寒天原料のオゴノリ類の生態的調査と品質の分析を行い、その実態を把握した。 7.粘着成分として用途が広いカラゲナン原料のキリンサイ科Kappaphycus Alvareziiの藻体を日本からベトナム中部、ニャチャン沿岸の養殖池への移植を行ったが、成功し現在数トンの収穫を行っており、ベトナムの新しい海藻資源として期待される。 8.採取されたベトナム沿岸の乾燥海藻標本は、日本側は北海道大学標本庫に整理されて保存される。 2年間にわたった調査により、日、比、ベトナムを結ぶ海藻種群の分布域、系統進化的検討が詳細に行われ、新らたな知見が多く出ることが期待されている。つぎの調査海域としてマレーシアの北ボルネオ、サワワク海域の調査を予定しており、これらの調査によって、東南アジアの海藻に関する研究目的が完結する。
|