研究課題/領域番号 |
04041032
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東亜大学 |
研究代表者 |
堀内 孝 東亜大学, 大学院・応用生命科学専攻, 教授 (10201758)
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研究分担者 |
NOSE Yukihik ベイラー医科大学, 外科, 教授
SARANUMMI Ni タンペレ工科大学, 教授
WERYNSKI And ポーランド科学アカデミー, 教授
JAFFRIN Mich コンピエーニュ工科大学, 教授
MALCHESKY Pa ベイラー医科大学, 外科, 客員教授
太田 裕治 東京大学, 工学部・精密機械工学科, 助教授 (50203807)
村林 俊 北海道大学, 工学部・生体工学専攻, 助教授 (30200306)
土肥 健純 東京大学, 工学部・精密機械工学科, 教授 (40130299)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
1993年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1992年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | 血液浄化療法 / 高齢者 / CAPD / アフェレ-シス / 細胞操作 / 細胞刺激 / インターフェイス / 老化 / 細胞工学 / 遺伝子工学 |
研究概要 |
本年度は調査最終年度であり昨年度に構築した国内国外の施設見学、研究者・医療関係者からの情報をもとに今後高齢者の血液浄化療法に直接関与する)持続腹膜透析の技術動向の調査を中心に作業を行った。さらに、腎機能代行のみならず、自己免疫疾患、癌、心臓疾患などの成人病に対する血液浄化法の適応と課題、遺伝子操作技術と血液浄化療法の接点についても調査を行った。本調査の一部は、平成5年3月10日に米国ヒューストンで開催された第5回国際アフェレ-シス学会のシンポジウムセッションで分担研究者のMalcheskyとともに公表した。 1.高齢者に対する腹膜透析の問題点と技術 腹膜透析は患者の腹膜を用いた透析法である。血液透析と異なり通院せずに在宅で治療が可能であり、かつ煩雑な操作を必要としないので高度な腎機能障害を持つ高齢者にとっては最大の適用と考えられる。実際、カナダ、イギリスなどの医療先進国においては、透析患者の半数以上が本療法によって治療を受けている。世界的にみると15%、わが国では5%とその普及率は低いが、その伸び率は血液透析よりも高く、14%を越える。そこで、長期に亙り高齢透析患者の腹膜透析を行っているカリフォルニア大学透析センター長Dr.Nissenson、クリーブランドクリニック高血圧・腎臓科Dr.Schreiber、ロスアンジェルス透析トレーニングセンターDr.Straussの各施設を視察し技術的問題点について調査した。一般的にはカテーテルの出口感染、腹膜機能の劣化、糖代謝異常(肥満、食欲不振)、透析不足、栄養不良である。腹膜の劣化、糖代謝異常は現在使用されている浸透圧剤のグルコースが原因とされているが、昨今アミノ酸や合成ポリペプチドの開発がなされており、近い将来解決されるものと考えられている。透析不足に関してはサイクラ-という自動的に腹膜透析液を注廃液する装置にて就寝時にも積極的に治療を行う方法も取り入れられてきており現行よりも10〜20%の効率上昇が期待できる。ただし、各患者の腹膜機能は各々異なっており、サイクラ-を有効に用いるためには、腹膜透析の理論的な解明が急務と考えられた。感染症は技術的な問題よりも、患者教育におうところが大きいが、早晩高齢患者の多くが判断力の低下、反応の遅延を伴うことは十分想定できるため、操作方法や装置はできるだけ簡略化したものが必要となるであろう。 2.予防手段としての血液浄化療法 既存の血液浄化療法の改良のみならず、患者人口を抑える予防手段としての血液浄化法の可能性を調査することの重要性を認め、加齢に伴い蓄積または欠損する物質の検索を行った。この分野の先駆的な業績はリューマチやSLEなどの自己免疫疾患への血漿交換から始まったが、現在では高脂血症や神経疾患、癌などでも着実にその成果がでているようである。研究分担者の能勢(ベイラー医科大学、ホンブルグ(ドイツ)で積極的に抗動脈硬化療法である選択的低比重コレステロール除去を行っているDr.Bambauer、米国MDアンダーソン癌研究所でPhotoapheresisなど体外免疫療法を行っているDr.Hesterらの施設を視察した。血漿交換療法の効果の確認されている疾患に対しては血液製剤の安全面、経済面から選択的除去や精密分離操作が課題となっている。選択的除去は免疫反応を示す可能性のある生物学的な手法よりも非生物学的手法に開発の方向性が移行している。 血液型不適合の患者、臓器提供者の間の移植において術前の血液型抗原に対する抗体の除去が免疫反応を抑制することが臨床的にみられていることから、異種移植への技術的break-throughが体外的な免疫操作(Immuno modulation)によって可能なことが示唆されている。 3.物理的手段による細胞操作 体外的な免疫操作が重要なキ-テクノロジーとしてクローズアップされてきている。その多くは、実験段階のものであるがPhototherapyのように臨床段階のものも評価を受けつつある。この分野は生物学的な手法と物理的な手法に分けられるが制御性や安全性、経済性を鑑みると両者の組み合わせが妥当と考えられる。本調査では、スタンフォード大学遺伝学教室のDr.Herzenberg、クリーブランドクリニック生体工学教室のDr.Zworowski、分担研究者の村林俊らとの意見交換よりとりまとめたが、体外循環系での血液浄化への応用は交流磁界による免疫担当細胞の刺激が最も臨床化へ近いものと考えられる。
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