研究分担者 |
PANDOLFI Joh オーストラリア海洋研究所, 研究員
PILLANS Brad ヴィクトリア大学, 地球科学, 講師
BERRYMAN Kel ニュージーランド地質, 核科学研究所, 研究員
CHAPPELL Joh オーストラリア国立大学, 太平洋研究部, 教授
松田 伸也 琉球大学, 教育学部, 助教授 (30157317)
中森 享 (中森 亨) 東北大学, 理学部, 助教授 (00192229)
大村 明雄 金沢大学, 理学部, 教授 (70019488)
PANDOLFI J オーストラリア海洋研究所, 研究員
BERRYNMAN K ニュージーランド地質調査所, 地殻変動室, 研究員
PILLANS B ビクトリア大学, 地球科学, 講師
CHAPPELL J オーストラリア国立大学, 太平洋研究部門, 教授
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研究概要 |
1.派遣について: (1)平成4年度には研究代表者・分担者全員をヒュオン半島に派遣し,サンゴ礁段丘の地形・地質学的調査,年代測定用および同位体測定用試料の採取,現成および化石サンゴ群集の解析を行った.調査許可の取得,設営,潜水調査などに関しては,オーストラリア国立大学などの研究協力者による所が大きい.現地調査後,研究代表者はオーストラリア国立大学において,Chappellとともに試料の選別,年代測定のための諸準備,調査結果の図化,今後の調査予定の検討をし,さらにウェリントンにおいてPillansらと調査結果の検討を行った. (2)平成5年度にはサンゴ礁群集解析のための補足調査のために中森を派遣し,別の経費で現地にいた分担者のPandolfiとともにクワンガム川付近での調査を実施した.また,太田をオーストラリア,ニュージーランドに派遣し,分担者と資料の検討のための討論およびワークショップの準備を行った.さらに大村をオーストラリア国立大学に派遣し,研究協力者(質量分析計による年代測定を担当)年代測定に関する討議をおこなった. 2.招へいについて: 平成5年度にChappell,Berryman,Pillansを招へいし,日本人研究者とともに本研究に関するワークショップを開催し,以下のことを行った. (1)分担課題・分析結果に関する各分担者からの報告と討論,(2)論文執筆の分担の決定とテーマごとに分かれての執筆内容の検討と論文の準備,(3)報告書に掲載する論文の検討と準備,(4)モノグラフ出版の提案と内容および出版計画の検討. 3.成果の公表: (1)日本第四紀学会(1993.8),日本地質学会(1993.4)などの学術大会で要旨を発表(太田ほか,大村ほか,中森ほかなど),(2)第3回国際地形学会議(1993.8,カナダ),IGCP274国際集会(1993.9,ベルギー)の招待講演において成果の一部を発表(太田),(3)第8回最近の地殻変動に関する国際シンポジウム(1993.12,神戸)において古地震に関する成果を発表(太田・Chappell),(4)第四紀の自然環境の変遷に関する国際シンポジウム(1993.12,東京)において,太田,Chappell,Berryman,Pillansは本研究の一部を発表,(5)成果を報告書として公表(太田編),(6)報告書に掲載された論文は加筆の上,国際学術誌および国内学会誌に投稿予定,(7)ヒュオン半島のサンゴ礁段丘に関するすべての資料を再整理したモノグラフを1996年に出版する. 4.得られた成果: (1)サンゴ礁段丘研究の基礎資料となる大縮尺(1:20,000)の地形学図を延長約70kmにわたる地域について完成した. (2)約53ka以降完新世を含む年代における地震隆起の累積性を明きらかにした.地殻の隆起を伴う巨大地震の再来周期はおよそ1〜3x10^3年で,完新世における隆起時期から,本地域は少なくとも三つの異なる変動区に分かれる. (3)本地域には山崩れが多数存在する.これらの年代および地形・層序的に推定した年代から,特定の時期に山崩れが発生したことがわかり,これらの山崩れは古地震復元の有力な手がかりになることが確認された. (4)年代値の信頼性を検討するための基準を設け,同一試料についてアロファスペクトル法と質量分析計法を併用して年代測定を行った.その結果測定精度が飛躍的に向上し,28kaとされていた段丘IIは33kaに修正され,また段丘IIIAは53kaの形成となった.さらに多数の測定によって段丘IX以降の各段丘の年代が確定する見通しである. (5)現成と化石サンゴ群集の比較によって段丘を構成するサンゴ石灰岩の堆積深度の推定が可能となった. (6)段丘地形と(5)の結果から,個々の段丘が堆積性か侵食性かを識別し,さらに(2)の情報をも加味して,世界的な海水準変化と関連する堆積段丘と,それをきる地震隆起による段丘とを識別することが可能となった. (7)上記の結果を総合して,過去70kaの海面変化曲線を修正した.この曲線は,深海底堆積物に含まれる酸素同位体比の変化とよく調和している.
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