研究分担者 |
渡邉 正樹 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (10202417)
高橋 浩之 山形大学, 教育学部, 助教授 (20197172)
清水 洋 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (00082983)
和田 清 国立精神神経センター, 精神保健研究所・薬物依存研究部・向精神薬研究室, 室長 (70220952)
小沼 杏坪 国立下総療養所, 精神科, 医長
清水 新二 国立精神神経センター, 精神保健研究所システム開発研究室, 室長 (40113493)
|
研究概要 |
平成5年度は前年度までに調査ができなかったカナダ,オランダ,ドイツを訪問し,各国の薬物乱用の実態とそれに対する予防,治療および更正システムを調査するとともに,薬物汚染が最も深刻なアメリカ合衆国を再度訪問し,Community-based Prevention ProgramのStrategyと実施状況を調査した. 今年度訪問した施設,研究者と得られた結果は以下のようである. 1.CANADA:the Addiction Research Foundation(Toronto);Dr.Linda Sobell et al. Torontoを中心としたOntario州では1977年から1989年の10年間に違法薬物使用者数は全体として大きく減少している.この減少にはARFが中心となった包括的な薬物乱用防止対策が大きな役割を果たした.しかし,全体的薬物使用者減少傾向の中で,18〜29歳の女性のMarijuana使用者がここ2年間で急増していること,路上生活をする若者(Street Youth)では薬物汚染度が依然として極めて高率であることが大きな問題である. 2.NETHERLAND:the Department of Health Education,University of Limberg(Maastricht);Dr.Hein de Vries et al. University of Limbergの社会心理学者を中心に,健康教育の基礎理論が組み立てられ,これにもとづいて薬物乱用,AIDS予防を含めた総合的プログラムが開発されている.なお,オランダは西ヨーロッパの違法薬物流通の中心地であり,薬物乱用は社会,経済的弱者集団,特に少数民族間で増加している.また,オランダはMarijuanaの少数取引には寛容な政策をとっていることが特徴である. 3.GERMANY:the Narcotic Division,Federal Criminal Police Office(Wiesbarden) ドイツにおける薬物乱用の状況はここ10年間に劇的に悪化している.とくに,ハードドラッグ常用者が増加している.これに対してNational Drug-Abuse-Control Programmeが作成され,国をあげて違法薬物の需要と供給の抑制が試みられている. 4.U.S.A.:Johns Ho
… もっと見る
pkins University,Prevention Research Center(Baltimore);Dr.Sheppard Kellan et al.,American Health Foundation(New York);Dr.Ernst L Wynder et al.,Narcotic and Drug Research Center(New York);Mr.Fred Streit et al.,University of Kentucky(Lezxington);Dr.Richard Clayton et al.,Department of Psychiatry,Washington University School of Medicine(St.Louis);Dr.Linda Cottler et al.,Black Alcohol Drug Serrvice Information Center(St.Louis);Ms.Nicole Lecane et al,South Center for Prevention Research,University of Texas(Hopuston);Dr.Guy Parcel et al. 米国では,行動変容に及ぼす社会的要因の影響を重視する新しい健康教育理論にもとづく薬物乱用防止プログラムが作成され,全米各地での予備的調査を経て,一般化と広域化が図られている.予備調査ではこれらのプログラムの有効性が確認され,若年者層での違法薬物使用が低下した.そしてプログラム適用の広域化の段階では,Health Promotionの視点から,内容がさらに包括的(Comprehensive)なものになっている. 以上のように,欧米を中心とした世界の薬物汚染の状況は依然深刻なものであるが,これに対して総合的立場からの取り組みが始められ効果を上げている.各国の薬物汚染の状況や社会・文化的背景の違いにより,若干の相違はあるものの薬物乱用防止対策はいずれも教育を通じた予防,ことに学校教育を基盤とした予防教育を重視している.そしてそのプログラムはHealth Promotionを基本概念として組み立てられ,包括的内容をもっている (Comprehensiveness of approach,Coodination of effort,and Participation by the people). 隠す
|