研究課題/領域番号 |
04041062
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
市川 光雄 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助教授 (50115789)
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研究分担者 |
ACHELLE Biko カメルーン科学省, 主任研究員
木村 大治 福井大学, 教育学部, 助教授 (40242573)
寺嶋 秀明 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (10135098)
山極 寿一 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (60166600)
中条 廣義 中部大学, 国際関係学部, 助教授 (80207315)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
29,000千円 (直接経費: 29,000千円)
1994年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
1993年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
1992年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | 熱帯多雨林 / アフリカ / 民族植物学 / 狩猟採集 / 焼畑農耕 / スワンプ漁撈 / 植生遷移 / 伝統的森林利用 / 食生活 / 人口分布 |
研究概要 |
現在大規模な森林破壊が問題となっているアフリカ中央部の熱帯多雨林において、アフリカ人自身による伝統的な森林利用の実態とその文化的背景を調査し、狩猟、採集、焼畑農耕といった非集約的な生業活動が環境に及ぼすインパクトについて検討し得る基礎資料を得た。 人類学者、動物学者、植物学者、農業経済学者による学際的な現地調査を行なった。平成4年度には、コンゴ国リクアラ州において狩猟採集民アカ・ピグミーと焼畑農耕民ボンドンゴの社会組織、生業、森林作用に関する調査と、地域一帯の土壌学・植物生態学的調査を行なった。また、ブルンディ・ルワンダ両国において狩猟民、農耕民の森林利用と野生動物生息の現状に関する調査を行なった。平成5年度には、カメルーン東部州において、狩猟採集民バカ・ピグミーと焼畑農耕民バンガンド、ボマン、カコの各民族について森林利用、生業に関する調査を行なった。また、ガボン国北部において、ファン、コタの両民族の森林利用に関する調査を行なった。平成6年度にはカメルーン東部州においてバカ・ピグミーとカコの両民族と周辺の農耕民に関する調査を続行し、同国南西部州においては、農耕民エジャガンの森林の認識と利用に関する調査を行なった。また、カメルーン各地のローカル・マーケットにおいて、非木材森林資源の経済価値に関する調査を行なった。 計5地域、合計11民族について伝統的な森林利用、特に生業活動に関する人類学的調査を行ない、以下の知見を得た。 1.コンゴ北部の湿地林において、焼畑の跡と思われる2,600年前の炭化標本を発見した。この地域への農耕民の移住がそれ以前に遡るという証拠であり、森林利用の歴史を知る上で重要な証拠である。 2.コンゴ北部において、焼畑などの人間活動が森林環境に与える長期的な影響を調査した結果、現在ボンドンゴによって行われている焼畑が、環境破壊を最小限に抑えた持続的なものであることがわかった。人口過密、都市への食物供給といった条件を持たない伝統的な焼畑は持続的なものであり得る可能性が示唆された。 3.カメルーン・コンゴの各地域において、人口分布と民族分布に関する調査と、同地域における狩猟法と対象種、狩猟活動の頻度に関する調査を行い、狩猟が動物に与えるインパクトを明らかにするための資料を得た。 4.ブルンディ・ルワンダ両国において、自然保護の現状を調査し、その成果と問題点についての資料を得た。今後の各国の自然保護計画に生かすことが可能であると思われる。 5.各民族について森林利用に直接影響を及ぼすその社会・文化的背景に関する資料を収集した結果、環境劣化を伴わない森林利用の可能性を探求し、また、文化の保全と森林の保護を両立させるモデルを構築するための資料を得た。 6.各民族について森林資源に関する知識と実際の利用について調査し、森林産物の現地名と、食物・薬物・物財・儀礼などとしての利用についての基礎資料を収集した。この資料からは、アフリカの民族科学の特徴と各民族の思弁法を抽出することが可能である。また、この資料は、現在、京都大学アフリカ地域研究センターにおいてアフローラ(熱帯アフリカにおける動植物利用に関するデータベース)に入力が進められており、大規模な森林破壊の原因の一つである木材の伐採・輸出に代わる新たな資源利用の道を探るための基礎資料として利用することができる。 7.カメルーン東部州から首都ヤウンデに至る各要所に位置する七カ所のローカル・マーケットにおいて、非木材森林資源の価格、産地、流通経路、利用法に関する調査を行なった結果、多数の動植物の広域な範囲での流通が確認され、アフローラに入力された資料と併せて、新たな森林産物利用法の可能性が示唆された。
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