研究課題/領域番号 |
04041069
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北川 勲 大阪大学, 薬学部, 教授 (20028830)
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研究分担者 |
ROEMANTYO Ha インドネシア国立生物学研究所, ボゴール植物標本館, 講師
UJI Tahan インドネシア国立生物学研究所, ボゴール植物標本館, 講師
RISWAN Soeda インドネシア国立生物学研究所, ボゴール植物標本館, 主席研究員
堀 一之 大阪大学, 薬学部, 助手 (50181516)
大橋 一慶 静岡大学, 理学部, 助手 (90213826)
澁谷 博孝 福山大学, 薬学部, 教授 (50116042)
ROEMANTYO Harini-Muruni Senior Researcher, Herbarium Bogoriense, Research and Development Center for Bio
ROEMANCYO Ha インドネシア国立生物学研究所, ボゴール植物標本館, 講師
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1993年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1992年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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キーワード | インドネシア / モルッカ州 / 中部スラウェシ州 / 天然薬物 / 薬用植物 / 民間医療 |
研究概要 |
インドネシアにおいては、世界有数の恵まれた天然薬物(薬用植物)資源をベースとした民間薬および民間医療が、人々の保健と医療に大切な役割を担っている。しかし、それらの天然薬物資源に対する科学的メスは殆ど加えられておらず、一方では、熱帯原生林の過度の開発や伐採によって、夥しい数の熱帯薬用植物資源が失われようとしている。本学術調査では、インドネシアにおける新しい天然薬物の発掘、ならびに日本・インドネシア両国の学術交流の発展を目的として、インドネシアの民間薬、民間医療および薬用植物の調査を行ない、新しい医薬品素材の開発を指向した化学的および生物学的研究の基礎試料作成を目指している。 第1次学術調査(昭和60〜61年度)および第2次学術調査(昭和63年度〜平成元年度)では、ジャワ島およびバリ島における伝統的薬物“ジャムウ生薬"の市場調査、ならびにヌサ・テンガラ・チム-ル州(チモール島、フローレス島、スンバ島)における民間薬、民間医療および薬用植物の調査を行なった。 第3次学術調査(平成2〜3年度)では、調査地域を、熱帯雨林気候でありウォーレス線の西側に位置するスマトラ島に移しベンクル州およびリアウ州の薬用植物調査を行なった。 平成4年度は、香料諸島と呼ばれて歴史上も有名で、特有の民族が住みと文化を持つモルッカ州の州都アンボンと、ほぼウォーレス線付近に位置し地形的変化に富むスラウェシ島の中部スラウェシ州において現地調査を行なった。まず、モルッカ州の物流の中心地アンボンでは、市場(パッサル)を重点的に調査し、貴重な香料標本5種を入手した。さらに、現地の民間医(ドクン)にインタビューを行ない、2種の化学研究用の薬用植物を採集した。次に、中部スラウェシ州においては、ポソ湖畔北岸のテンテナを中心とした北パモナ郡、トラジャ民族の影響を受けているポソ湖南岸のペンドロを中心とした南パモナ郡の両内陸高原地方や、港町コロノダレを中心としたモルッカ海ト-ロ湾沿岸の西部海岸地方、およびマラリア汚染地域でもあるスラウェシ島北東部セレベス海に面したブオル・トリトリ郡の各地において、20カ所余りの村落を訪問し、種々の病気特にマラリア、腫瘍、リウマチなどの治療に民間医(ドクン)が用いている薬用植物の情報(のべ200件余り)をヒヤリングし、過去の調査での収集と重複しないもの23種の薬用植物を化学研究用に採集することができた。 平成5年度の第4次学術調査の総括研究では、平成4年度の現地調査で収集した資料について、整理・同定・分析を行なった。即ちまず、インドネシア側共同研究機関である国立生物学研究所・ボゴール植物標本館において、採集した薬用植物の保存標本について収集資料の組織学的研究を行ない、ほぼ全資料の同定を完了することができた。続いて、大阪大学において化学研究用薬用植物のアルコール抽出エキスを調製し、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等による各資料含有成分の予備的な分析を行ない、収集資料を材料とする化学的研究の基礎データを作成した。調査記録については、植物組織標本(さく葉)、フィールドノート、写真、録音テープ、ビデオテープ等の整理検討を行なったが、その整理実務の為に、実際に前年の調査において実務を担当した研究協力者のアグス・ラスカンディを、大阪に2週間招へいした。また、調査記録のインドネシア語から英語への翻訳、および今回の調査の整理総括と今後の調査研究に対する討論のため、研究分担者でインドネシア側のリーダーであるスダルソノ・リスワンを、大阪に2週間招へいした。なお、収集資料(植物標本と化学研究用資料)は、原則としてすべてインドネシア国立生物学研究所と日本側(大阪大学・薬学部)の双方で保管している。また、調査に関する記録類は、すべて大阪大学・薬学部に保管している。 以上のように、本学術調査によって、モルッカ諸島の香料流通の実態と、中部スラウェシ州における薬用植物資源のあらましを明らかにすることができた。今後、本調査で収集された資料について詳細な化学的・生物学的研究を進める予定である。また、我々は「インドネシアの天然薬物調査研究」を完遂するため、平成6年度以降、西カリマンタン州カプアス川流域、東カリマンタン州マハカム川流域およびイリアン・ジャヤ州を調査地域とする学術調査の実施を予定している。
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