研究分担者 |
PEREZーGARCIA ジョン エム. ワシントン大学CINTRAFOR, 助教授
BROOKS David 国立PNW研究所, 経済研究室長
FLORA Donald 国立PNW研究所, エコノミスト
HAYNES Richa 国立PNW研究所, 経営部長
芝 正己 (芝 克己) 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20144339)
永田 信 東京大学, 農学部, 助教授 (20164436)
加藤 隆 森林総合研究所, 経済分析研究室, 室長
吉本 敦 宮崎大学, 農学部, 助教授 (10264350)
福田 晋 (福田 進) 宮崎大学, 農学部, 助教授 (40183925)
甲斐 重貴 宮崎大学, 農学部, 助教授 (30041057)
PEREZ-GARCIA John m. Assistant Professor, University of Washington
GARCIA John. ワシントン大学, CINTRSFOR, 助教授
KOOTEN Casey ブリティシュコロンビア大学, 林業部, 助教授
DONALD F.Flo 国立太平洋北西部林業研究所, エコノミスト
RICHARD W.Ha 国立太平洋北西部林業研究所, 経営部長
JOHN M.P.Gar ワシントン大学, CINTRSFOR, 助教授
F.LESLIE C.R B. C. 大学, 林業部, 教授
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配分額 *注記 |
22,500千円 (直接経費: 22,500千円)
1994年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1993年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1992年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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研究概要 |
本研究の目的は、自然保護や過伐に伴う森林の荒廃等の環境保全問題が日本、米国、カナダ3国の伐採や木材貿易に及ぼす影響を質的のみならず、これら3国をリンケージしたForest Sector Modelを構築して、計量的に分析することであった。以下、これまでの成果を総括的に考察し、今後に残された課題を指摘しておく。 1.環境問題と木材貿易:(1)主な供給源である会社有林の資源蓄積の2次林化とその齢級構成に照らして、アメリカ北西部からの丸太輸出の漸減ないし停滞は、ここ10〜15年間は避けられない流れとなる。(2)カナダBC州では、今後伐採許容量の引き下げに伴い丸太供給が減少していくが、1980年代後半からの設備投資によって日本向け完成品の加工・輸出体制が整いつつあり、特に内陸部からの製品輸出の増加が指摘される。(3)グローバルな視点から、1993年の北米材の対日輸出価格の高騰や為替変動を機に、他の代替産地国(地域)からの日本向け木材輸出が、確実に増加していく。すなわち、北米材と比べて生産コストの低いニュージーランドやチリからのラジアータパイン材をはじめ、フィンランドやスウェーデン、あるいはカナダのアルバータ州等からの対日輸出増加が予想される。また、ロシアには極東の内陸部から東シベリアにかけて、なお膨大な資源が残されており、開発のための投資が本格化すれば、再び環太平洋地域に向けて大きな輸出供給力が生じてくる可能性がある。 モデル分析:第1に、日本の木材資源から推定した長期供給モデルからは、各都府県別に対する伐採量一定の条件下で年平均53,000万m^3程のスギ材の供給が可能であるものの、昨今の需給構造を踏まえた貿易モデルあるいは国内需給モデルによると、国産材はそれ程大量には供給されない。第2に、TAMMに基づく対日輸出量は、2000年までに丸太は約30%減り、製材品は40%余り増える見通しとなっているが、それによって国内挽きの米材製材品は減り、国産材製材品は増える傾向を示す。しかしならが、それらは3%、1%程度の変化で、全体としては大きな影響を示さない。また、環境規制に伴う米国、カナダの伐採量の減少も、製材品輸入の増加をもたらすが、日本市場の木材需給に特に顕著な影響を及ぼす結果にはならなかった。今回の分析では取り扱われなかったが、これら環境規制に伴う伐採量の減少は、北米以外の対日輸出国に顕著な影響を及ぼすことが予想される。第3に、線形計画法または二次計画法による木材需給均衡モデルでは、各地域での供給余剰分が他地域へ供給されることになり、現在の供給量では九州に供給余剰がでる結果となった。カナダ、米国からの輸入が完全代替関係にあることを前提にすると、カナダから日本、米国から日本の輸送コストに1,000円/m^3程度の差であるならばカナダに輸出競争力がある。また、現在の日本国内の木材輸送体系を前提にすると、九州の首都圏に対する、東北の関西圏に対する北米材との競争力はない。第4に、広域木材需給均衡モデルによるシミュレーション分析では、東北と中国地域は、輸送コストが同じである上に製材生産に余力があるため競合関係にある。また、九州地域で生じた生産余剰は、関東より輸送コストの低い関西地域でも他地域からの供給が不足した場合だけ供給され、そうでない場合は、そのまま余剰として残ることになる。このことは、九州からの輸送コストが安くなれば全体の輸送コストの構図が変わってくることを示唆している。 3.今後の課題:北米では実務段階でも活用できる体制が出来ており、木材資源、需給に関するデータはかなりよく整備されているものの、わが国は行政、業界のバックアップを得て、実務段階でも活用できる体制が出来ていない。今回の日本の木材資源・供給モデルにおいても、南九州の平均生長量が東北のそれを下回るという、紙面上のデータが実態に合わない事態が生じている。また、国内の産地国別製材品種別データや在庫等の時系列データ及び地域別データも不十分で経済モデル構築の際、大きな生涯となった。
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