研究課題/領域番号 |
04041086
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
石川 友紀 琉球大学, 法文学部, 教授 (10044843)
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研究分担者 |
石丸 哲史 琉球大学, 法文学部, 助手 (50223029)
前門 晃 琉球大学, 教養部, 助教授 (60190287)
島袋 伸三 琉球大学, 法文学部, 教授 (40044862)
中山 満 琉球大学, 法文学部, 教授 (30044829)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
14,500千円 (直接経費: 14,500千円)
1993年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1992年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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キーワード | 沖縄 / 移民 / 北アメリカ / アメリカ合衆国ハワイ州 / 沖縄県出身移民 / 一世移民 / 日系人社会 / 海外移住 |
研究概要 |
本研究は過去10年余にわたって実施してきた海外学術研究「南米における沖縄県出身移民に関する地理学的研究」に引きつづき、平成4年度はアメリカ合衆国ハワイ州における沖縄県出身一世移民の面接聞取調査とともに、移民資料収集をおこなってきたことを踏まえて、平成5年度はアメリカ合衆国カリフォルニア州とカナダのブリティッシュコロンビア州とアルバ-タ州の沖縄県出身移民の調査研究を実施した。平成5年9月10日から21日間の現地調査の結果、以下のことが判明した。 (1)アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスの沖縄県出身移民の調査においては、研究者5人が北米沖縄県人会の全面的な協力により、第二次世界大戦前渡航の一世移民(平均年齢90歳前後)を手分けして自宅を訪ね、また、集団で老人ホームを訪ねて、面接アンケート調査を実施した。その方々より当時の日本人移民が排日により偏見をもってみられたこともあったという証言が得られた。また、沖縄県出身移民は地縁血縁によりよく団結し、親睦と資本形成をかねた頼母子講(模合)を開いていたという。なかでも、移民在留者数の多かった金武村出身者の団体は強固で、村人会組織のトップに位置していた。日本人の農業移民の原点といわれるインペリアルバレー(帝国平原)の日系移民地を調査し、その過酷な自然条件を克服しての農業生産の実態に接し、移民史料館建設など三世移民による一世移民の評価の時機に至っていることを痛感した。 (2)アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコおよびサクラメントなどの沖縄県出身移民の調査においては、北カリフォルニア沖縄県人会の方々の協力により、第二次世界大戦前渡航の一世移民とともに、戦後渡航の一世や帰米二世の面接聞取調査も実施した。なかでも、戦後アメリカ人の花嫁移民として渡った沖縄県出身女性のたくましさとバイタリティーには目を見張るものがあり、移民女性史として取り上げるべき意義を感じた。 (3)カナダアルバ-タ州レスブリッジの沖縄県出身移民の調査においては、レスブリッジ沖縄クラブの全面的な協力により、炭鉱労働者や農業労働者としてのカナダにおける日本人移民発祥の地の現地調査をおこなった。亜熱帯沖縄県の自然条件とは全く異なる寒冷地にあって、県出身移民が第二次世界大戦前より、ハ-ディービルなどの炭鉱地の労働者として日本人移民の基礎を築いたことは高く評価される。沖縄県の移民の民間大使の一人が空手道場をもち、カナダ人との国際交流を果たしている役割も大きかった。 (4)カナダブリティシュコロンビア州の沖縄県出身移民の調査においては、沖縄県友愛会(バンク-バ沖縄県人会)の方々の協力により、バンク-バ市およびその郊外の一世移民の面接聞取調査を実施し、また、旧日本人街や中国人街の踏査もおこなった。バンク-バ市やその郊外では第二次世界大戦後渡航の一世移民の活躍が目覚ましく、農業移民や工業移民など資本をもっての会社ぐるみの集団移住などもみられ、現地社会での貢献も大であることが判明した。 以上のように、平成4年度のアメリカ合衆国ハワイ州における沖縄県出身移民が、数量的にも多く、比較的集中して居住し、現地調査も効果的におこない得たのに対し、今回(平成5年度)の調査は北アメリカ大陸西海岸地域の広範囲にわたり、県出身移民の居住地も分散することが多く、現地調査に多くの労力と時間を要した。しかし、いずれの調査地においても、沖縄県人会の全面的なバックアップがあり、残り少なくなった県出身一世移民と帰米二世の面接聞取調査と資料収集を中心とした海外学術研究を行うことができた。現地協力者の方々には厚くお礼を申しあげたい。 従来実施してきた沖縄県出身移民の南アメリカにおける地理学的研究の成果の上に、北アメリカにおける本調査研究の成果は、今後時間をかけて分析、考察を行うつもりである。このことにより、北米における沖縄県出身移民の特色が地理学的に解明され、もって日本移民の本質の究明につながるものと考える。
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