研究課題/領域番号 |
04041098
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
松藤 康司 福岡大学, 工学部, 助教授 (40078663)
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研究分担者 |
ROSLI bin Ha マレイシア国スプラン, プライ市・環境部, 技師
ABDUL Nasir マレイシア国住宅地方政府省, 技術部, 主任技師
田中 綾子 福岡大学, 工学部, 助手 (10131830)
柳瀬 龍二 福岡大学, 工学部, 助手 (20131849)
島岡 隆行 福岡大学, 工学部, 助教授 (80202109)
花嶋 正孝 福岡大学, 工学部, 教授 (70078624)
ABDUL Nasir Abdul Aziz Ministry of Housing and Local Government, Malaysia. Chief Engineer
ZAMAN Huri Z マレイシア国住宅地方政府省, 地方政府総局技術部, 主任
ZAINUDDIN bi マレイシア国住宅地方政府省, 地方政府総局技術部, 課長
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1993年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1992年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 廃棄物 / 埋立地 / 循環式準好気性埋立 / 浸出水 / 衛生埋立 / 発生ガス / 埋立構造 / マレイシア |
研究概要 |
平成4年度は、年次計画に基き、マレイシア国のスプランプライ市埋立地において、衛生埋立への改善手法の実施と「低コスト型循環式準好気性埋立システム」の浸出水処理実験を行った。 1)衛生埋立への改善 準好気性埋立更に循環式準好気性埋立システムの導入によって、浸出水の浄化が計れかつ、埋立地の植生及び発生ガス組成から判断して、早期安定化が促進される事が明らかとなった。 2)浸出水処理実験 衛生埋立への改善によって、埋立地からの浸出水水質も良質化された。しかし、埋立初期においては循環式準好気性埋立システム及び表面曝気処理のみでは、マレイシア国の環境基準を遵守する事は難しく、高度処理を行なう必要があると判断した。そこで、浸出水の特性を把握するために、浸出水の分子分画を行った。その結果、我国の生ゴミ埋立地浸出水に比べ短期間に分解が進行し腐植成分等を含む高分子量物質が多い事が明らかとなった。このため、生物処理後の浸出水の処理方法として物理・化学処理実験を行ない、維持管理の簡易さから判断して、廃活性炭末による濾過、吸着方式を採用した。この結果、処理水が環境基準をクリア-する目途が得られ、本ケーススタディーで提案したシステムの有効性が立証された。この成果は、既報の通り、マレイシアの主要な新聞(全国誌4誌)で大きく報道され、高い評価を得る事が出来た。同時に国際協力事業団主催によるインドネシア水道環境セミナー及び、マレイシアで1993年1月開催された国際連合地域交流センター主催のセミナー・ワークショップでも報告され、アセアン諸国にも注目されるに至っている。 平成5年度は、上記埋立地において、昨年度設置した浸出水処理装置の追跡調査及び実験を行なった。特に、国際協力と技術移転の現状から判断して、ローカル・スタッフのみで維持管理が出来るシステムの導入とその効果に留意した。浸出水の水質の経時的変化は、熱帯雨林地帯では、埋立廃棄物の微生物分解速度が早く、浸出水の循環によって浸出水の浄化が計れるものの、経時的には生物処理よりも物理化学処理が効果的になる傾向が明らかとなった。又、豪雨時の洗い出しによる浸出水の水質悪化は、我国の場合よりも著しく、かつ、頻度も多いため、常時、マレイシア国の環境基準を遵守するためにも、現行システムの一部改良が必要となった。予備実験結果から判断して、廃活性炭末の濾過床を2段にした方が効果的であると判断して濾過床を増設し追跡実験を行った。その結果、図1に示すような基本システムにより、環境基準を遵守しながら、効率的な衛生埋立を継続する事が可能となった。本追跡調査を基本にした、実スケールの「低コスト型循環式準好気性埋立システム」の設計を行ないマレイシア国に提案した。この他、埋立地発生ガスも埋立地の分解活性が高いため、ガス発生量も臭気成分も多い事が解った。このため、50m間隔で設置する主ガス抜き装置の他に、竹や廃ドラム缶を利用した簡易ガス抜き管を設置した方が植生の回復にとっても有効である事が立証された。 以上の成果は、マレイシア国住宅地方政府省で現在建設及び設計している約20ヶ所の衛生埋立プロゼクトに反映され、ローカルスタッフのみで設計・建設した一地方自治体(クアンタン市)では既に完成に至り高い評価が得られた。 この様に、本国際学術研究は、比較的順調に進捗しその結果は、既に学会、国際シンポジウム等で発表する事が出来た。今後は、更に実スケールのシステムの追跡調査が本システムの国際化のためにも有効でかつ急務と考えられる。
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