研究分担者 |
GATLEY IAN 米国, 国立光学天文台, 主任研究員
長田 哲也 京都大学, 理学部, 助手 (80208016)
小倉 勝男 國學院大学, 文学部, 教授 (30102099)
若松 謙一 岐阜大学, 教養部, 教授 (30021801)
舞原 俊憲 京都大学, 理学部, 助教授 (90025445)
祖父江 義明 東京大学, 理学部, 教授 (10022667)
田中 培生 東京大学, 理学部, 助手 (70188340)
岡村 定矩 東京大学, 理学部, 教授 (20114423)
谷口 義明 東北大学, 理学部, 助教授 (40192637)
林 左絵子 国立天文台, 光学赤外線天文学研究系, 助手 (90183912)
関口 真木 国立天文台, 光学赤外線天文学研究系, 助手 (40216528)
山下 卓也 国立天文台, 光学赤外線天文学研究系, 助手 (00211631)
中桐 正夫 国立天文台, 光学赤外線天文学研究系, 助手 (00124678)
家 正則 国立天文台, 大型光学赤外線望遠鏡計画推進部, 教授 (30111446)
小林 行泰 国立天文台, 大型光学赤外線望遠鏡計画推進部, 助教授 (50170361)
唐牛 宏 国立天文台, 光学赤外線天文学研究系, 助教授 (30221196)
佐藤 修二 名古屋大学, 理学部, 教授 (50025483)
|
研究概要 |
谷口義明,周藤浩士,長谷川 隆,若松謙一,田中培生,岩沢一司,佐藤文男,祖父江義明,小倉勝男の9名を観測に送り,可視光,赤外,電波の波長領域で観測を行なった. 観測対象は 1)星間物質(周藤,田中,佐藤,小倉),2)銀河(谷口,岩沢,祖父江),3)銀河団(長谷川,若松)である. 派遣先は北半球が4名(マウナケア2名(JCMT/UKIRT),グリーンバンク,ボン),南半球が5名(セロトロロ3名,南アフリカ,ラシヤ-SEST)であった. 1)星間物質については,セロトロロ天文台1.5m望遠鏡で,近赤外3(J/H/K)バンドで15個の星形成領域の撮像観測を行なった.反射星雲IRAS11072-7727のまわりに注目すベきネビュロシティが見つかった(周藤).また,チリ-ラシヤのヨーロッパ南天文台の口径15mSESTでハービッグハロー天体HH135/136を,波長1.3mmと1.4mmのCO分子で観測を行なった.12CO(J=2-1)観測では,赤方偏移成分が卓越した分子流が検出された.また13CO(J=2-1)の観測で,上記の2つのハービッグハロー天体を包含する分子雲コアを見いだした(小倉).また,アメリカ国立電波天文台43m望遠鏡を用いて,ケフェウス-カシオペア座分子雲複合体の水素21cm線を観測した.この結果から,この分子雲複合体を包む中性水素ガスの存在と銀経110°,銀緯3°付近に中心をもつ長径約10°の楕円状のシェルの構造を見つけた(佐藤文). 2)銀河については口径15mJCMT望遠鏡でスターバースト銀河の中心核のCO(J=3-2)の観測を行ない,野辺山45m電波望遠鏡におけるCO(J=1-0)の観測と合わせて,中心核の領域の分子雲では温度が25K以上で,通常の分子雲の温度(〜10K)に比較して,分子ガスの温度が有意に高いことがわかった(谷口).また,NASA-IRTFでCSHELL分光器を使って,特異セイフアート銀河/cD銀河であるNGC1275の高分解能(δv〜30km/s)観測を行ない,中心核からのH_2輝線スペクトルを検出した(田中培).マックスプランク電波天文学研究所ボン100m電波望遠鏡で赤方偏移z=2〜3をもつクェーサー等の3つの天体からのCO分子吸収線を探査したが,充分なSN比で受信するに至らなかった(祖父江).17個の銀河について波長域114000-5400,116200-7400での分光観測を行なった.このうち,IRAS 18325-5926 は,今回の観測で可視光域では典型的な2型セイファートの輝線スペクトルを示し,その減光からこの銀河にはダストに隠されたセイファート1銀河が存在すると考えてよいことが解かった.また,2型セイファート銀河 Tololo 0109-38 の輝線スペクトルに Fe II λ4570 bump を見いだした.高光度銀河として知られているHII銀河 Mkn 603 に付随する Blue Compact Dwarf と思われる銀河を発見した.その他,いくつかの高光度銀河について,はじめて詳細な輝線スペクトルを取得した(岩沢). 3)銀河団については,南アフリカ天文台1.9m望遠鏡の低分散分光器を用いて,へびつかい座銀河団の銀河50個の後退速度の測定を行なった.その結果,新たな別の銀河団を見いだした.へびつかい座銀河団とあわせて,これらは超銀河団を構成しており,我々との間はボイドをなしていることが判明した(長谷川隆).これらの天体について,セロトロロ天文台1.5m望遠鏡カセグレン分光器で分光観測を行ない,ヘルクレス座銀河団の方向へさらに延びていて,この二つの銀河団は100メガパーセクにわたるウォール構造をしていることが分かった(若松). 本研究によって,主として銀河から銀河団にわたる広範で,最先端の研究テーマが展開された.その結果,多くの世界水準の研究成果が準備発表されつつある.これらの成果は,わが国内における観測のみでは質量ともに不可能なものである.このような成功の理由として,よいサイトに設置された高性能の望遠鏡,およびそれに付随した優れた観測機器群,を駆使できたため,ほぼ予定通りにプログラムを消化できたことが挙げられる.
|