研究課題/領域番号 |
04042020
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | がん調査 |
研究機関 | 愛知県がんセンター |
研究代表者 |
池田 秀利 愛知県がんセンター, 病理学第2部, 室長 (60101119)
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研究分担者 |
MASANGKAY Jo フィリピン大, 獣医学部, 助教授
ISKANDAR Djo バンドン工科大学(インドネシア), 室長
山縣 高宏 名古屋大学, 農学部・応用生物学科, 助手 (50242847)
並河 鷹夫 名古屋大学, 農学部・応用生物学科, 助教授 (70111838)
土屋 公幸 宮崎医科大学, 実験動物施設, 助教授 (30155402)
森脇 和郎 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝部, 教授 (50000229)
JOSEPH S Mas フィリピン大, 獣医学部, 助教授
DJOKO T Iska バンドン工科大学(インドネシア), 室長
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
11,200千円 (直接経費: 11,200千円)
1993年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1992年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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キーワード | マウス / 発癌 / 抵抗性遺伝子 / マウス白血病ウイルス / 動物分類 / 進化 |
研究概要 |
1.平成4年度の調査概要。 平成4年度は、これまでDNAサンプル数が少なかった6カ国を対象に調査した。韓国は、幸いに野生マウス(Mus musclus)を研究材料にしている研究者(釜山大学・李元鎬、ハンリム大・呉洋錫)の協力を得て、小数のサンプルを分与してもらった。フィリピンについては、各島のマウス集団で遺伝子的違いがあるかどうかを調べるために、平成3年、4年に続き再度採取を試みた。フィリピンの調査は、並河、Masangkay班員が共同して行った。インドシナ、マレー半島の3国(マレーシア、ベトナム、シンガポール)の調査は、本年度特に力点をおいた。これまでこの地域で行った採取の試みは、全て失敗していたからである。本年度は、マレーシアでは、池田、土屋、山縣班員が、10〜20日間かけて調査したが、マウスは捕獲できなかった。昨年ベトナム南部では、マウスは採取できなかったが、今年度は、ベトナム北部で採取できた。シンガポールでは、環境省の野鼠調査研究官C.Joseph氏の協力を得て、マウス14個体を手に入れることができた。我々の努力に拘らず、インドシナ、マレー半島の広い地域でマウスを捕獲できなかったのは、この地域のマウスの生息数が少ない為と推測している。スリランカは、野生動物保護に力を入れている国でもあり、これまでの調査国の中で最も規制の厳しい国であった。野生動物保護局へは、野生マウス採取の許可申請、報告、サンプルの国外持ち出し申請などのため、何度も当局に足を運ばなければならなかった。ペラデニア大学・P.H.Amerasinghe博士とコロンボ大学・W.D.Ratonasooriya教授の援助で25匹程のサンプルが集まっている。 2.採取されたサンプル数。 この調査研究で集められた全てのDNAは約450個体分で、その内約300個体分は、形態的に実験動物マウスと同種のM.musculusと判定され、各個体のDNAの解析もそれを支持するデータが得られている。その他は、解析に耐えない断片化したDNAであったり、M.mus.以外のげっし類、食虫類(ラット、スンクス、M.dunni,M.buduga等)であった。 3.Cas-E型内在性マウス白血病ウイルスを持つマウスの分布。 4年間のこのプロジェクトの調査によって、Cas-E型内在性マウス白血病ウイルスを持つマウスの分布が明確になった。本年度採取したマウスは、次の2つのタイプのどちらかに分類され、今までのウイルスキャリアーの分布の結果と矛盾はなかった。 (1)Cas-E型内在性マウス白血病ウイルスとFv-4^r遺伝子を高頻度に持つ地域。 今までの調査によれば、Cas-E型内在性ウイルスキャリアーは、パキスタンから西(インド、バングラデシュ、インドネシア、フィリピン)に高頻度に分布していた。今年度採取されたサンプルについては解析途中であるが、スリランカ、ベトナム北部、フィリピンのマウスでは、98〜100%のマウスがキャリアーで、1個体当たり3〜15コピー存在していた。この地域のFv-4^r遺伝子の遺伝子頻度は、90%以上であった。 (2)Fv-4^r遺伝子だけを持つ地域。 以前の解析から、日本の野生マウス(1匹の例外を除いて)には、Cas-E型内在性マウス白血病ウイルスのコピーはFv-4^r遺伝子以外に検出できなかった。小数(4匹)の韓国のマウスを調べたところ日本と同じであった。今年度、韓国の研究者の協力を得て、更に8匹解析する機会を得た。以前の結果と同じであったが、特に注目されたのが、Fv-4^r遺伝子の遺伝子頻度が100%で、日本の約50%の遺伝子頻度に比べ有意に高いことである。今後も韓国のマウスの調査サンプル数を増やし、日本のマウスとの違いを明確にする必要がある。 なお、Fv-4^r遺伝子だけを持つ野生マウスは、日本と韓国以外には見つからなかった。
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