研究課題/領域番号 |
04044036
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川田 智恵子 (1993) 東京大学, 医学部(医), 教授 (60010013)
園田 恭一 (1992) 東京大学, 医学部(医), 教授 (20009898)
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研究分担者 |
OSHIRO Raymo ホノルルコミュニティカレッヂ, 講師
SUPANNATAS S マヒドン大学, 公衆衛生学部, 教授
GROSSMAN Jer ハワイ大学, 公衆衛生学部, 教授
杉田 聡 東京大学, 医学部(医), 助手 (00222050)
吉田 亨 東京大学, 医学部(医), 助手 (80174936)
山崎 喜比古 東京大学, 医学部(医), 助教授 (10174666)
SUPPANATAS Somjit Mahidol University, College of Public Health, Assoc.Prof.
沢崎 康 エイズ予防財団, 研究員
佐久間 充 東京都老人総合研究所, 保健社会学研究室, 室長 (90010066)
川田 智恵子 東京大学, 医学部(医), 助教授 (60010013)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
1993年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1992年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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キーワード | コミュニティベースド / 一般の人々 / 協同 / 組織化 / 精神障害者 / AIDS / セルフヘルプグループ / サポ-ティブネットワーク / 自発的問題解決定能力 / 主体的 / 連帯的 / 都市 / 住民リーダの特性 / ソーシャルモデル / コミュニティベースドモデル / NGO |
研究概要 |
近年の健康問題の変化、専門家と一般の人々の問題解決にあたっての関係の変化、家族構成の変化、産業の変化、そしてこれらに伴う地域社会の構成と機能の変化は、程度の差こそあれ、先進国、開発途上国を問わず表面化しつつある。今回、米国(ハワイ)、タイ、日本の3ヶ国の研究者が共同して本課題に取り組んだのは、一つの国だけでなく、国際的なレベルでの地域社会を基盤としての健康問題への取り組みの研究の必要性を感じたからである。本研究で主題としているcommunity-basedという用語はさまざまに理解されているが、その基本的な要件を整理してみると、1)hospital-basedとかinstition-basedなどと対置された意味でのコミュニティを基盤とした活動ということができよう。2)コミュニティを基盤としたといっても、他方でのcommunity medicineやcommunity healthでは医師や保健医療専門職が主役であったり、主導しての取り組みが強いのに対し、community-basedの場合には、住民や一般の人々が主たる担い手や大きな役割を果たしている活動だという特色がある。3)禁煙や節酒や運動など、個々人が自分自身の生活の送り方を変えていくというindividualistic life style changeの対応に対して、community-basedでの取り組みというのは、健康と関わる社会や環境や行政といった要因をも重視するという色彩が強い。4)community-basedのcommunityには、住民や機関や施設などの協同や連携や組織化などを強めていくという意味あいが含まれている。 【現地調査】 1)hospital-basedやinstition-basedに対するcommunity-basedの研究としては、ホノルル市の精神衛生について聴き取りや観察をすることにより、日本の現状を考察した。わが国では現在約35万人の精神病患者が入院生活を送っている。しかしその40%は地域生活が十分可能な病状であるとみられている。ホノルル市内の地域生活を送っている患者の観察や精神衛生専門家との面接によってわが国の場合、medical modelからsocial modelへのパラダイムの転換、精神衛生の専門家の態度の変容、地域での家族の役割の再考がさらに必要であるという結論を得た。2)community healthに対するcommunity basedの研究としては、バンコク市とその周辺をフィールドとして、精神障害者のリハビリテーションとスラム地域のコミュニティアクティビティを調査した。バンコク市の精神障害者のリハビリテーションにおいては、ソーシャルワーカーが差別の予防と医療との連携において重要な役割をしていることが明らかになった。スラム地域の調査においては、住居環境、就労、ゴミ問題、養育・学習環境、保健衛生の問題についてのコミュニティアクティビティにおいてNGOのサポートが有効に機能していることをみいだした。3)従来のindividualを中心としたapprochではあるが、cultureの影響をみたものに、バンコク市の高齢者を対象とした面接調査がある。健康状態、保健行動、生活行動、コミュニケーション、精神保健の項目を調査した結果、仏教の影響が強いことを見いだした。4)住民、機関、施設などが自発的に組織化をすすめる事例としてわが国の場合は、障害者の地域作業所や地域生活協同組合の調査を行いその活動プロセスを明らかにした。また、ホノルル調査では1つは糖尿病患者のセルフヘルプグループの存在意義について、また、AIDSに関連してのボランティアオ-ガニゼイションの活動についてまとめた。 現地でとりあげた調査主題は、貧困、低所得者、障害者、高齢者、あるいは糖尿病患者やエイズ等の問題であった。これらはそのいずれもが、当事者個々人の取り組みだけでは充分な成果を挙げることが困難な課題であり、地域を基盤としたさまざまな協力や支援体制の確立が強く求められている課題でもある。 また事実、そこには新しい、自発的な結びつきとしてのself-help group,volunteer group,supportive networkなどが形成され、活動を展開していることがみてとれた。
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