研究課題/領域番号 |
04044048
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 邦夫 東京大学, 工学部, 教授 (70010808)
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研究分担者 |
PUNCHOCHAR M チェコ化学プロセス基礎研究所, 研究員
HORACEK J. チェコ化学プロセス基礎研究所, 主管研究員
DRAHOS Jiri チェコ化学プロセス基礎研究所, 副所長
堤 敦司 東京大学, 工学部, 助教授 (00188591)
山崎 量平 名古屋大学, 工学部, 助教授 (10023277)
千葉 忠俊 北海道大学, 工学部, 教授 (70001295)
PUNCOCHAR M. チェコ化学プロセス基礎研究所, 研究員
PUNCOCHAR M 化学プロセス基礎研究所, 研究員
HORACEK J 化学プロセス基礎研究所, 主管研究所
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
1994年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1993年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1992年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 低品位炭 / 排水処理 / 重金属 / 石炭灰 / 流動層燃焼 / 路盤材 / 石炭液化 / 超臨界水 / 褐炭 / 東欧 / 脱硝 / 脱硫 / 抵品位石炭 / チェコ炭 / 公害防止技術 |
研究概要 |
石油代替燃料としては、埋蔵量から考えて石炭が最も期待される。一方、地球規模の環境汚染が憂慮されるようになって、化石燃料の燃焼に伴う亜硫酸ガスや炭酸ガスの発生が厳しい批判を受けようとしている。チェコは自国に賦存する大量の褐炭を利用しているが、亜硫酸ガス、窒素酸化物、汚水、粉塵等の汚染物資が大量に排出され、深刻な環境汚染を引き起こしている。そこで、東欧の褐炭の特性を日本と共同で調べ、環境汚染を防止た上で有効利用を図る技術を提案することを目的として、本研究を行った。具体的にはチェコに埋蔵される褐炭のような低品位炭を用いて石炭利用に伴って排出される排水から重金属の除去、石炭流動層燃焼にともなって多量に排出される灰を路盤材料として利用するプロセスの開発、超臨界水を利用した低品位炭の液化に関して研究を行った。チェコ側では主として金属除去技術、日本側では石炭灰利用技術・超臨界液化技術を担当した。 最終年度である平成6年度は、チェコ側からDrahos副所長、Puncochar研究員の2名を11月19日〜12月1日にわたって招へいした。東大、九大、川崎重工中央研究所、鳴門塩業における石炭灰焼成設備などを訪問し、日本の研究現状をよく理解してもらった。これらの訪問には日本側研究者1名が同行し、討議を続けた。また、日本側から吉田邦夫を6月6日〜18日にチェコに派遣した。また、千葉忠俊を12月12日〜23日にわたってチェコに派遣した。以下に個別研究の成果を示す。 (1)カルシウムを添加した石炭による排水中の重金属の吸着回収 二種類のチェコ褐炭、オキシヒュモライト、ピ-トについて排水中の重金属の吸着回収の可能性について調べた。いずれもイオン交換によってカルシウムを添加し、これを用いて排水中の重金属を抽出できることが明らかになった。しかし、オキシヒュモライは溶液との接触によって部分的に崩壊がおこる。またピ-トはコストが高くなってしまう。よってカルシウム添加石炭が最も有望であることが示された。この方法によって廃液中の金属イオン濃度を10mM以下まで低下させることができた。実験結果から、これらにカルシウム添加したものを廃液中の重金属回収に用いるのが最も良いという結論を得た。 (2)石炭流動層燃焼ボイラー石炭灰の路盤材料への利用 石炭流動層燃焼ボイラーから排出される大量の石炭灰を路盤材料として用いる研究を行った。石炭流動層燃焼ボイラーの石炭燃焼灰中には、脱硫剤に石灰石を使用すると、エトリンガイト反応を起こす物質が生成する。これを利用して、石炭燃焼灰を水和固化し、さらに水蒸気養生することによって、路盤材料に適した固化体を作るのに成功した。この固化体を実際に道路の路盤材に使用したところ、従来の天然石より路盤材として強固であり、優れていることを見いだした。今後、実用化に向けての試験を行い、低コスト化を図ることによって、路盤材として普及することが期待できる。 (3)超臨界水による低品位炭の液化反応 超臨界水による石狩草炭の液化反応について、半流通式マイクロリアクターを用いて実験を行い、反応機構について調べ、以下の点が明らかになった。 1)液化物のH/Cは試料炭に比べて増加するが、残渣のH/Cは減少した。O/Cは液化物、残渣ともに試料炭より小さな値となった。これは石炭から多量の二酸化炭素が生成し酸素が除去されるとともに、比較的軽質な成分が超臨界水によって抽出されたためであると考えられる。 2)超臨界水による石炭液化では、初期に非常に速い反応によって液化物が生成するが、この反応は数分で完結し、続けて残渣からガスが生成する遅い反応がおこることがわかった。液化物のFT-i.r.スペクトルは反応時間による変化は見られなかった。 3)超臨界重水による液化実験を行い、得られた液化物の^2D-n.m.r.スペクトルから液化物中の重水素分布を求めた結果、かなりの重水素が芳香族環に導入されていることを見いだした。これらの結果は、超臨界水による石炭の液化では、熱分解とともに加水分解が起こり低分子化していくが、同時に縮合反応も起こり芳香族化が進むことを示していると考えられる。
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