研究課題/領域番号 |
04044050
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
光石 衛 東京大学, 工学部, 助教授 (90183110)
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研究分担者 |
SUH Nam マサチューセッツ工科大学, 工学部, 教授
KRAMER Bruce ジョージ, ワシントン大学・工学部, 教授
畑村 洋太郎 東京大学, 工学部, 教授 (40010863)
長尾 高明 東京大学, 工学部, 教授 (80010685)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
1993年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1992年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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キーワード | 異なる世界 / 操作環境伝送 / テレオペレーション / 臨場感伝送 / 情報変換 / テレマイクロハンドリングシステム / 時間遅れ補償 / 注視点不動型視覚システム / 3次元ジョイスティック / フォークディスプレイ / 多軸力情報-聴覚情報変換 / マイクロ・ハンドリング・システム / テレ・オペレーション / 人工現実感 |
研究概要 |
本年度は、主に次のことを行った:(i)2+1次元ジョイスティックの製作、(ii)注視点不動型視覚情報獲得装置の製作、(iii)加工の物理モデルを用いた時間遅れ補償型力覚情報提示手法の確立、(iv)多軸力情報-視覚情報変換法をはじめとする情報の変換と情報予測提示手法の提案と確立、(v)操作環境伝送型遠隔地加工実験、(vi)操作環境伝送型遠隔微細操作・加工実験。本研究では、極微の世界や宇宙空間、あるいは、地球の裏側のように人間が通常備える感覚器官をもってしては直接知覚することができない環境を「異なる世界」と呼ぶ。異なる世界と人間が存在する環境とを結ぶシステムを構築するには、機械の制御情報、および、臨場感を伝達するための力覚情報(操作反力)、温覚情報(熱)、聴覚情報(音)、視覚情報(操作状態、加工状態)を相互に送る必要がある。このようにして、異なる世界の環境を操作者側に実現することを「操作環境伝送」と銘名する。 まず、「2+1次元ジョイスティック」は異なる世界で生じる現象を力覚情報として操作者に提示するための装置である。人間は左手で物体の位置を決め、右手で工具などを用いて操作や加工することが多い。そこで、2自由度を有するジョイスティックと1自由度を有するジョイスティックとを作成し、これによって異なる世界に存在する機械を操作できるようにした。各ジョイスティックは直動機構、アクチュエータ、エンコーダ、2軸力センサあるいは1軸力センサ、コントローラから成る。ジョイスティックの動作は速度制御型のモータ・ドライバによりD.C.モータを駆動することによって行う。操作者の手からの力を検出するために2軸、および、1軸の力センサを組み込んである。 次に、遠隔臨場感微細操作加工システムにおいて視覚情報を獲得するとき、作業場所を移動するための並進機構と任意の角度から観察を行なうために顕微鏡視野内に回転中心を有する回転機構が必要である。特にこの回転機能を実現するため「注視点不動型視覚装置」を作成した。注視点を動かさないようにする機能は特殊なリンク機構で実現し、モータ駆動とした。また、顕微鏡は光源内蔵型とし、モータ駆動ズ-ム機構付とした。 異なる世界として遠隔地を対象とするとき光の速さで通信しても時間遅れが発生する。これを補償するため、操作者側に加工の物理モデルを持たせることによって加工時に発生する力を予測しこれをジョイスティックに力覚情報として提示可能なシステムを構築した。 さらに、情報予測について力覚情報の予測だけではなく、聴覚情報や視覚情報の予測強調提示手法を提案し、基礎的な部分を実現した。まず、遠隔加工における聴覚情報の予測提示を行なうため、設定加工条件から加工状態(例えば、正常切削かびびり振動発生切削か)を予測するマップ(安定限界線図と呼ぶ)を作成し、これによって現象を予測し、予め用意してある加工音を提示する。また、切削力を工具の回転数を考慮してグレイスケールとしてマップすると実際の加工面に極めて近いものが得られる。このことを利用して多軸力情報-視覚情報変換による情報変換による現象予測・強調提示が可能となる。 上記の2+1次元ジョイスティックおよび制御システムと情報変換、情報予測・強調提示手法を用いることにより、遠隔地(米国、ワシントンD.C.、ジョージ・ワシントン大学)より「操作環境伝送型」の加工実験、および、微細操作・加工実験を行なった。システムの制御情報はコンピュータ・ネットワークを通して送り、視覚・聴覚情報は人工衛星のディジタル回線を用いて行なった。加工実験では、加工反力が2+1次元ジョイスティックに予測提示された。また、微細操作・加工実験では、多軸力情報-聴覚情報変換法が有用であった。
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