研究課題/領域番号 |
04044051
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武田 元吉 東京大学, 農学部, 教授 (90134501)
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研究分担者 |
SHIVANNA K.R デリー大学, 植物学科, 教授
BHOJWANI S.S デリー大学, 植物学科, 助教授
BHATNAGER S. デリー大学, 植物学科, 教授
吉田 薫 東京大学, 農学部, 助手 (70183994)
丸橋 亘 茨城大学, 農学部, 助教授 (00181826)
内宮 博文 東京大学, 分子細胞生物研究所, 教授 (50142229)
BHATNAGAR S. デリー大学, 植物学科, 教授
BHOJWANI S S デリー大学, 植物学科, 助教授
SHIVANNA K R デリー大学, 植物学科, 教授
BHATNAGAR S デリー大学, 植物学科, 教授
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
1994年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1993年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1992年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | バイオテクノロジー / 新生殖技術 / 種属間交雑 / アブラナ類 / イネ属 / 交雑不和合性 / 植物の形質転換 / 花粉由来不定胚 / 花粉管伸長 / 遺伝子導入 / 種間雑種 / 試験管内受精 / イネ / Brassica属 / Nicotiana属 / 花粉からの不定胚誘導 / 導伝子導入 / 種間交雑 / トウモロコシ |
研究概要 |
デリー大学は古くから植物組織培養の研究に優れ、現在もBrassica属を中心とした雑種植物の育成、培養による効率的な増殖に関して先端的な研究を行っている。日本側とは研究対象への接近方法や対象植物が異なるので、共同研究を行うことで交雑不和合性現象に関する知見が深まり、ひいては新しい遺伝子導入法の開発への原動力となり得ると判断し、本研究を計画した。両国の研究者は絶えず接触して技術、情報の交換を行なった。グループ内の発表会の他に、日本側からはデリー大学での公開講演会1回(内宮)、インド側からは横浜市で開催された国際植物学会議のシンポジウム(Bhojwani)、宮崎市での日本育種学会の講演(Bhojwani)などへの参加を行った。さらに東京大学においてシンポジウムを企画し、本研究費からの旅費支出をしなかったが、国内から多数の発表があった。なおデリー大学からは2名の研究協力者が来日し、DNA関連技術の習得と共同研究を実施した。 1)インド側研究者成果。(1)アブラナ類での種属間交雑による有用遺伝子の導入(Shivanna):Bゲノムを含むBrassica junceaはインドでは経済性の高い重要な香辛野菜であるが、収量性が低い。このjunceaとB.napusの2種と近縁種との交雑を進めた。その際、培養による幼胚救助、戻し交雑や橋渡し交雑なども応用した。細胞質雄性不稔については、Diplotaxis siifoliaからjunceaとnapusへの導入に成功した。どちらも雌性器官の稔性は良好であり、画期的な成果である。試験管内受粉による成果は上がらなかった。この点については、さらに共同研究の継続が望まれた。(2)B.junceaにおける配偶体由来の植物体再生とその応用(Bhojwani):大量増殖や組換えDNAの効率的な実用化にとって、培養による配偶体(半数体)からの不定胚の利用は魅力的である。困難であったjunceaの葯培養から花粉由来の不定胚作出を検討し、効率的な2種類の系を開発した。2倍体化した再生個体の後代系統の遺伝変異は、系統間では種々認められたが、系統内変異はあまり認められなかった。これらの不定胚を用いて、pBI 121に含まれるGUS遺伝子を衝撃法によって導入することを、東京大学において試みた。現在、再生植物体のサザン解析を行っている。 2)日本側研究者の成果。(1)試験管内受粉の効率化と花粉管への遺伝子導入(吉田・武田):タバコを用い、胎坐の被覆や花粉発芽培地の添加などの処理によつて、試験管内受粉の受精率が向上した。また、ポリカチオン法によって、GUS遺伝子を花粉や花粉管にかなり高率で導入する可能性について、現在は一過性の段階ではあるが確かめることができた。(2)タバコ属およびイネ属における雑種致死の発現と克服(丸橋):実生からの栽培中に、あるいは胚珠培養中からサイトカイニンを添加することにより、新たに2種類のタバコ属種間雑種致死を克服することができた。雑種幼植物を高温条件下で成育させることにより、雑種致死を克服させることのできる例もあった。栽培イネについても生態種間交雑で見られる雑種致死では高温栽培が有効であった。Oryza sativa x 0.longistaminataでも雑種致死が起きるとされているので、デリー大学で実験を繰り返したが、両植物の開花時期の調整がうまく行かず、交配を実施することができなかった。(3)RT-PCRによるdifferential screening法の開発(吉田):培養系からの特異的な遺伝子をクローニングするために、RAPDプライマーを用いたRT-PCRによるdifferential screeningにより、いくつかの再分化に特異的なcDNAクローンを単離し、解析することができた。これらの情報と具体的な技術をインド側へ伝達した。(4)導入遺伝子の開発(内宮):この共同研究を円滑に進めるために、遺伝子導入の技術的助力を行うとともに、導入遺伝子の開発(キメラ遺伝子Ubi-barなど)の状況についてインド側へ情報伝達を行なった。 以上のように共同研究は経過したが、本共同研究は日印間研究者の交流の上でも大きな意味があったと思われる。しかしこの段階での共同研究の中断は好ましくなく、相手側からの継続希望も大きい。日本側の代表研究者を宮崎大学の足立泰二教授に移動し研究申請をおこなうことを検討中である。
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