研究課題/領域番号 |
04044055
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 康男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30004336)
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研究分担者 |
北島 健 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80192558)
井上 貞子 昭和大学, 薬学部, 助教授 (00053827)
TROY Frederi カリフォルニア大学, 医学部, 教授
FREDERIC A. カリフォルニア大学, 医学部, 教授
金森 審子 東京大学, 理学部, 学術振興会特別研究員
FREDERIC Tro カリフォルニア大学, 医学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
19,300千円 (直接経費: 19,300千円)
1994年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1993年度: 7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
1992年度: 7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
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キーワード | ポリシアル酸 / デアミノノイラミン酸 / KDN / ポリKDN / KDN-転移酵素 / 抗-ポリKDNモノクローナル抗体 / KDN-切断酵素(KDNase) / 新しいポリシアル酸 / ポリシアル酸-Ca^<2+>コンプレックス / 単クローン抗体 / ポリシアル酸構造の多様性 / ウニ卵ポリシアル酸 / 抗KDN残基単クローン抗体 / α2→8-結合オリゴ・ポリKDN / KDN-複合糖質 / ポリシアル酸転移酵素 / CMP-KDN合成酵素 |
研究概要 |
本研究は、ポリシアル酸およびKDN、ポリKDN基を有する複合糖質の分布、生合成機構の解明、生理機能および応用・開発を目的としており、本年度までに以下の成果が得られた。 1.天然におけるポリシアル酸構造の多様性の証明: 我々は、初めてα2→8結合ポリ(Neu5Ac),ポリ(Neu5Gc),ポリ(Neu5Ac,Neu5Gc),ポリ(KDN)およびそれらの部分的アセチル化型の存在を明らかにした[J.Biol.Chem.268(1993)23675-23684]。 2.^<14>C-標識CMP-KDNの調整とKDN-転移酵素の同定への利用:我々は、ニジマス精巣中に高いCMP-KDN合性酵素活性を見出し、その部分精製酵素を用いて、^<14>C-標識CMP-KDNの調整に成功した[J.Biol.Chem.268(1993)2640-2648]。この基質を用いて、KDNをポリシアリル基の非還元末端に転移する酵素活性をニズマスの卵巣中に同定した[Glycoconjugate J.11(1994)493-499]。 3.KDN-糖鎖に対する免疫プローブの作成と利用:KDNα2→3Galβ1→構造をエピトープ構造とするIgG3抗体、mAb.kdn3G、およびα2→8-結合オリゴ・ポリKDNを認識するIgM抗体、mAbkdn8kdnの2つの異なるモノクローナル抗体を調整した[Glycobiology3(1993)31-36;Histochemistry101(1994)333-340;Methods in Enzymology230(1994)460-484]。これらの抗体を、KDN-糖タンパク質および糖脂質の検索・同定に利用して、新しいKDN-複合糖質の発見に成功した[Biochemistry32( 1993)9221-9229;Glycobiology5(1995)in press;Histochemistry101(1994)333-340]。 4.ポリ(Neu5AC),ポリ(Neu5Gc),ポリ(KDN)のカルシウムイオン結合能:これらの3つの異なるポリシアル酸に対するカルシウムイオン結合定数を透析平衡法によって決定したところ、これらは、いずれも比較的高い結合性を示すことが明らかとなった。この結合活性がポリシアル酸含有複合糖質の生理的機能に深く関与していることが示唆された[Biochem
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istry33(1994)1202-1208]。 5.KDNケトシド結合を特異的に切断する酵素KDNaseの発見と活用:KDN-含有複合糖質の検索・分布・構造・機能の研究には、KDNケトシド結合を特異的に切断する酵素KDNaseの発見と活用は重要である。我々は、まず、KDNが最初に発見されたニジマスの各種組織・細胞を材料としてKDNaseの検索を行った結果、腎臓・脾臓・卵巣などにKDNaseが検出された。特に排卵後の卵巣に比較的高い活性が見出され、このKDNase活性の諸性質を調べた。この画分には、同時にN-アシルノイラミン酸を遊離するシアリダーゼ活性も含まれていたが、DKNase活性とシアリダーゼ活性とが同一酵素タンパク質によって担われていることが酵素反応速度論的に確かめられた。このため、これらの酵素は「KDN-シアリダーゼ」より正確には「KDN-N-アシルノイラミニダーゼ」と呼ぶことにした[Glycobiology4(1994)517-523]。一方、ニジマス養魚場の池底の泥の中からKDNaseを発現するバクテリアを検索し、単一バクテリアとして単離した。この菌体から、KDNaseの精製を行い、その性質を調べた結果、この酵素は新しいタイプのシアリダーゼであり、N-アシルノイラミニダーゼ活性は全く無いことが示された[J.Biol.Chem.269(1994)21415-21419]。この特異性がきわめて高いKDNaseが精製酵素として入手可能になり、KDN複合糖質の構造と機能の研究への応用が可能になった[Science(1995)投稿中]。 6.新しいタイプのポリシアル酸構造の発見:受精及び初期胚の発生過程におけるポリシアル酸構造の生理機能を調べることを目標とし、受精・発生の観察が容易なウニ卵においてポリシアル酸含有糖タンパク質を検索し、卵膜・細胞膜画分及びゼリー画分中に初めてポリシアル酸含有糖タンパク質の存在を見出した。構造解析の結果、それらの分子が今までに例を見ない残基間結合様式をしたポリシアル酸構造,(→5-O_<glycolyl>-Neu5Gcα2→)_<n'>を持っていることが明らかにされた[J.Biol.Chem.269(1994)22712-22718]。卵膜・細胞膜画分のポリシアル酸には、非還元末端に硫酸基が結合しており、ポリシアル酸鎖の伸長反応の終結シグナルとなっていることが示唆された。また、このポリシアル酸をもつ糖タンパク質は、最近タンパク質部分の構造が解明された卵の精子レセプター分子そのものであることがレセプター特異的抗体を用いた仕事から示唆された。ウニの卵-精子接着は、タンパク質部分が担う種特異的な相互作用と糖質硫酸化ポリシアル酸が卵・精子接着を制御する可能性が考えられる。 隠す
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