研究課題/領域番号 |
04044057
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
野田 政樹 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50231725)
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研究分担者 |
DENHARDT Dav ラトガース大学, ネルソン生物学研究所, 教授
川口 奈奈子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (10200700)
緒方 敏子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (80014314)
DENHARDT David T. Rutgers University
DAVID T Denh ラトガース大学, ネルソン生物学研究所, 教授
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
11,100千円 (直接経費: 11,100千円)
1993年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
1992年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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キーワード | Spp1 / プロモーター / 転写 / Sppl |
研究概要 |
昨年までの研究においてはSpp1の遺伝子上流約1,000bpについてクローニングならびにその配列の決定を行い、さらに3種類の欠失変異を持ったプロモーター領域、即ち1,000bpに基づく777bp、543bp、253bpのプロモーター領域をマングビーンヌクレアーゼ法により作製し、これをCAT(chloramphenicol acetyltransferase)を報告遺伝子として持つレポーター遺伝子に組み込んで、その活性に対するTGFβやRASの作用を検討した。これらの検討によりSpp1の上流のプロモーターにおいては、従来我々が報告したvitamin Dの応答領域が-740bpの位置にあることに加え、さらに転写開始部近位におけるRAS反応領域の9bpのシークエンス等の存在が明らかとなった。 最終年度においてはSpp1が骨芽細胞において、特に強い発現をもたらす事に注目し、骨芽細胞機能の分化に伴い発現するSpp1のプロモーター活性から見た遺伝子発現制御機構に着目して研究を行った。即ちSpp1上流には5つのE-Boxシークエンスが存在する事が明らかとなった。先ず-180bp部分にはCAGCTG、また-660bp部分にはCAAGTG、-576bp部分にはCAACTG、更に-380bp部分にはCATGTG、最後に-106bp部分にCAGGTGの5つの配列が存在する。これらの配列には、それぞれラットオステオサルコ-マ由来細胞ROS17/2.8を用いた核の粗抽出画群分のタンパク質を以てゲルシフトアッセイを行うと、これが結合する事が明らかとなった。この結合活性について検討するとROS17/2.8の結合活性は他の組織の結合活性の数倍の差が見られ、ここに骨芽細胞における特異性の差が検討し得るものと考えられた。Spp1のE-boxについて検討した結果ではCANNTGのE-boxのコンセンサスについては一致しているが中央のNN配列は全て異なっていた。 Spp1の発現に対するBMPの作用の検討を行った結果、ROS17/2.8においてはSpp1の発現のメッセージレベルでの促進が確認され、またラットの骨芽細胞由来細胞でlarge-T抗原によって不死化を行って樹立した二種の細胞であるRCT1及びRCT3についてBMPによっての解析を試みると、未分化細胞を代表するRCT1においてはBMPにより分化形質のSp
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p1発現の直接の増加は見られなかった。しかしながらRCT1細胞を分化させ、そのアルカリフォスファターゼ活性を数十倍以上に増加する事が明らかとなっているレチノイン酸で処理してもSpp1の発現は全く起こらなかった。ところが両方の試薬を同時に投与すると初めてSpp1の発現が明らかに誘導される事が観察された。vitamin Dは細胞分化を誘導するステロイドのホルモンであるがvitamin D単独においてRCT1細胞においては弱いSpp1の誘導が見られるが、BMP単独では何も誘導の見られないにも関わらず、vitamin D_3とBMPの同時処理を行うとvitamin D_3単独の時の数倍以上の強力な誘導が観察された。このようなことからSpp1は未分化な細胞においては、その発現が見られず、分化誘導と共に発現が誘導される。この誘導は少なくとも2つの機構によっており、1つは一次性にSpp1の遺伝子の発現を誘導する機構であり、これらにはステロイドのホルモン等、例えばvitamin Dやレチノイン酸等が関与するものと考えられる。この機構にはSpp1の-740bpの近傍にあるvitamin Dリスポンスエレメントなどが関与するものと推察された。一方、より分化機能を発現しているRCT3型細胞においてはBMP自身はそのアルカリフォスファターゼ等の骨芽細胞形質の一部を極弱くしか誘導しないにも関わらず、Spp1については数倍以上の誘導作用を示した。このことから分化のより進んだ段階のRCT3細胞等では一次段階におけるSpp1発現の誘導の基礎の下に、それを更に高める第二段階の誘導を行うサイトカイン群の存在があり、これらがSpp1上流のvitamin Dリスポンスエレメントは別のシスの誘導DNA配列を介して、促進作用が観察される事が考えられた。 Spp1の遺伝子誘導作用として更に血管の強力な収縮物質であるエンドセリンについての解析を行った。エンドセリンは38個のアミノ酸から成るプロフォームが更に活性型の21個のアミノ酸となり、主に血管系における作用が明らかとなっていたが、我々は骨芽細胞においてもエンドセリンが作用をもたらす事、エンドセリンに関してはラットの骨芽細胞ROS17/2.8について検討した結果、エンドセリン1がSpp1のmessenger RNAを2倍に上昇させる事が明らかとなった。この上昇効果は用量依存性であり、エンドセリンの10^<-9>Mよりその効果が見られ、10^<-7>Mで最大に達した。またこの効果は時間依存性でもあり、12時間でその初期効果が見られ、24時間で最大に達するものであった。このようにエンドセリンはSpp1の発現を高める事から、そのPlキナーゼ等を介するシグナル伝達の機構の最終標的として、Spp1のプロモーターに働き得る事が推察された。今後これらのエンドセリンあるいはBMPの作用領域を更にSpp1の遺伝子上流において検討する事が必要と考えられる。 以上Spp1の発現制御について、そのプロモーターを中心とする転写制御機構を解析した。RASやカルシウム向性ホルモンに対するその制御エレメントの解析と同時に、エンドセリンやBMP等新たな制御分子の作用点について、今後解析を進める手掛かりが得られた。 隠す
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