研究課題/領域番号 |
04044066
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
橋爪 弘雄 東京工業大学, 工業材料研究所, 教授 (10011123)
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研究分担者 |
NIKULIN A.Yu メルボルン大学, 物理学科, 研究員
DAVIS T.R. オーストラリア国立科学産業研究機構, 研究員
STEVENSON A. オーストラリア国立科学産業研究機構, 主任研究員
WILLEINS S.W オーストラリア国立科学産業研究機構, 主任研究員
坂田 修身 東京工業大学, 工業材料研究所, 助手 (40215629)
大隅 一政 東京工業大学, 高エネルギー物理学研究所, 教授 (70011715)
WILKINS Steve CSIRO,Div.of Mater. Sci.& Tech.
NIKULIN Andrei University of Melbourne, School of Physics
DAVIS Timothy CSIRO,Div.of Mater. Sci.& Tech.
WILKINS S.W. オーストラリア国立科学産業研究機構, 主任研究員
TIMOTHY R Da CSIRO, Division of Materials Science & Te, Research S
ANDREW W Ste CSIRO, Division of Materials Science & Te, Research S
STEPHEN W Wi CSIRO, Division of Materials Science & Te, Senivr Pri
尾嶋 正治 日本電信電話株式会社, 機能材料研究所, 主幹研究員
佐々木 聰 東京工業大学, 工業材料研究所, 助教授 (10162364)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
1994年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1993年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1992年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | シンクロトロン放射 / X線回折 / 位相回復 / 結晶格子歪み / イオン注入 / 多層膜 / X線顕微法 / 位相コントラスト / 高分解能X線回折 / 3結晶回折計 / エピタキシャル結晶 / 薄膜構造解析 / 表面・界面構造 / X線光学 / サブミクロン結晶 / 白色X線回析 / エピタキシャルHgCdTe結晶 / すれすれ入射 / ラウエ回析 / 近表面構造欠陥 |
研究概要 |
1.平成6年3月高エネルギー物理学研究所放射光実験施設オーストラリア・ビームラインにおいて、A.W.Stevenson,A.Yu.Nikulin,橋爪弘雄、大隅一政が協力して収集したイオン注入シリコン単結晶の3結晶X線回折データを解析し、結晶の2次元格子歪みを高分解能でマッピングすることに成功した。試料は、1次元周期をもつ表面酸化膜パターンを通して100keVのボロン・イオンを打ち込んだものである。この周期性のため、111ブラッグ反射に付随して衛星反射が生じるが、基本反射および衛星反射はトランケーション・ロッドと呼ばれる散漫散乱を伴っている。シンクロトロン放射により得た回折強度データを処理し、これらの反射の強度プロフィルを決定した。Petrashen-Chukhovskiiのアルゴリズムを個々の反射に適用し、誘電定数のフーリエ係数の位相を決定した後、基本反射および衛星反射を合成して2次元格子歪みを得た。この際、逐次試謬法、局所エネルギー最小化法を用いて衛星反射の基本反射に対する相対位相を決定したが、両方法は類似した解を与えた。注入イオンに由来する2次元格子歪みが、深さ方向で160Å、表面方向で0.256μmの空間分解能で深さ0.34μmの場所にマップとして表示された。以上は、表面酸化膜をX線実験前に取り去った試料についての話である。酸化膜が表面に存在する試料については、良いマップを得ることができなかった。その理由を、Petrashen-Chukhovskiiのアルゴリズムの非唯一性と衛星反射相対位相決定の曖昧さの観点から議論した。これらの研究は、実験技術、解析法の両面で新しい情報を提供している。それぞれを個別の論文にまとめ、学術雑誌に発表した。また、日本、オーストラリア、アメリカ、ドイツの学会で報告した。 2.平成6年6月〜7月坂田修身が3週間オーストリア国立科学産業研究機構(CSIRO)を訪問し、S.W.Wilkins,A.W.Stevenson,T.Davisとエピタキシャル結晶の成長と構造評価に関して共同実験、研究を行なった。また、1.のデータ解析についてA.Nikulinと議論した。 3.平成7年3月 A.Stevenson,A.Nikulinが来日し、橋爪弘雄、大隅一政と協力し、高エネルギー物理学研究所でシンクロトロン放射実験を行なった。使用ビームラインはオーストラリア・ラインである。実験目的は、2次元格子歪み再構成法の信頼性を調べるためのX線回折データの収集、および、位相コントラスト法を用いた顕微像データの収集である。前者のため、熱処理によりイオン分布を変化させたシリコン結晶、シリコン・ゲルマニウム人工超格子多層膜について測定を行なった。後者は、小さく絞った高平行X線で物体を走査し、物体内の屈折率の変化による透過X線の方向の僅かな変化を高分解能スペクトロメータを用いて検出し、画像化するものである。従来の吸収法ではコントラストの得られない高分子、ガラス繊維、生物組織などの内視、深傷、非破壊検査技術に新しい可能性を拓くものとして注目されている。今回の実験では、シンクロトロン放射の連続波長と非対称反射モノクロメータを利用して、入射ビームの干渉性が像コントラストに及ぼす影響を調べる基礎データを集めた。 4.橋爪弘雄、坂田修身、A.W.Stevensonは他の研究者の協力を得て、最大エントロピー法を世界で始めて2次元表面構造の電子密度計算に応用し、再構成Si(111)7×7表面、As吸着Si(001)1×2表面の精密電子密度図を得た。 5.日本、オーストラリアの研究者はそれぞれの機関で分担課題の研究を推進させた。すなわち、(1)橋爪弘雄、坂田修身はシンクロトロン放射の先端材料への応用として、非鏡面散乱を利用したX線反射法の開発と研磨シリコン表面および金属多層膜界面における相関構造の研究、(2)大隅一政はマイクロ・ラウエ法による微細正方晶チタン酸バリウム結晶の軸比の決定、シリコン上の多結晶アルミおよび銅薄膜の構造評価、(3)S.W.Wilkins,A.W.Stenenson,T.R.Davisは高分解能X線光学系の設計と位相コントラストX線顕微法の開発。(4)A.Yu.NikulinはX線の位相回復法について研究を行なった。
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