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産卵制御の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 04044079
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分共同研究
研究機関名古屋大学

研究代表者

島田 清司  名古屋大学, 農学部, 教授 (40065579)

研究分担者 蛭薙 観順  名古屋大学, 農学部, 助手 (00126898)
RZASA Janusz  ポーランド農学アカデミー, 教授
HERTELENDY F  セントルイス大学, 医学部, 教授
CORNETT Lawr  アーカンソー大学, 医学部, 教授
ETCHES Rober  ゲルフ大学, 農学部, 教授
RZASA J.  Poland Academy of Agriculture
HIRUNAGI K.  Nagoya Univ.
FRANK Hertel  セントルイス大学, 医学部, 教授
TOMAS I Koik  アーカンソー大学, 医学部, 教授
ROBERT J Etc  ゲルフ大学, 農学部, 教授
斎藤 昇  名古屋大学, 農学部, 助手 (40211924)
田中 耕作  九州大学, 農学部, 教授 (50038220)
田中 克英  岐阜大学, 農学部, 教授 (20021678)
研究期間 (年度) 1992 – 1993
研究課題ステータス 完了 (1993年度)
配分額 *注記
9,200千円 (直接経費: 9,200千円)
1993年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
1992年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
キーワード放卵 / 遺伝子発現 / プロスタグランジン / 子宮筋 / アルギニンバソトシン / 卵胞膜細胞 / 視床下部 / アルギニンバソトシンレセプター / 鶏子宮部 / アルギニンバソトシレセプター / アルギニンバソトシンmRNA / 卵巣
研究概要

鳥類における放卵の調節機構は、卵巣からのプロスタグランジンが血中に放出されることにより、子宮筋収縮が増加し、子宮筋収縮の物理刺激が神経的に、あるいは内分泌的に脳視床下部に伝達される。視床下部の神経刺激は下垂体後葉からAVTを放出させ、子宮筋運動を増強し、放卵を完了する。本研究においては、ニワトリの放卵調節制御系の、とくに分子生物学的解明を試み、以下のような多くの成果を得た。
1.卵巣プロスタグランジン(PG)は、最大排卵前卵胞と排卵後卵胞において、中でも顆粒膜細胞層と卵胞膜細胞層で産生され、放卵直前に最大増加が見られた。PGの内、PGFが最も強い子宮収縮効果を有していることや血中PGF値が放卵直前に著しく増加することが判明した。排卵前卵胞の卵胞静脈から血液を採取し、PGFを測定した結果、放卵直前に最大増加が見られた。卵胞膜組織抽出物から放卵誘起因子を同定するためHPLC解析を行なったところ、分子量約300の因子でこのものはPG類であることが判明した。
2.下垂体後葉ホルモンの内、アルギニンバソトシン(AVT)は放卵誘起作用があり、血中値も放卵時に一致して増加する。この放出は種々の要因によって促されるが、子宮筋収縮に反応して放出されることが判明した。AVTは視床下部で産生され、そこから走行する神経軸索内を通って下垂体後葉に貯蔵される。AVT産生ニューロンの脳内局在を免疫組織化学法で検討したところ、AVTニューロンは終脳領域の視索前野では脳軟膜直下に、第三脳室周囲部では上衣直下に多数の細胞体が分布している。それらは23×15μm程度の大型ニューロンであり、室周囲部のAVTニューロンは極性を示し、デンドライトは脳室側に見られる。電顕観察で上衣細胞に接するAVT陽性デンドライトが明らかとなった。
ニワトリの後葉ホルモンの内AVTについてその塩基配列を決定し、このcDNAをプローブとし約700bpの視床下部AVTmRNAを同定した。同mRNA量は4日間の絶水処理により4倍以上増加した。また、その局在部位を同定するため、in situハイブリダイゼーションを行なったところ、とくに視床下部の傍室核において著しい発現がみられた。
AVTは視床下部のみならず、様々な末梢組織においても産生されることが明らかとなっているが、本研究では、排卵前の卵胞壁細胞においても産生していることが、免疫的研究とDNA組換え技術法によって明らかとなった。
3.後葉ホルモンが子宮筋に対し、生理的に作用する第一のステップは、子宮筋特異的レセプターとの結合であり、標的器官レベルで放卵が調節される可能性がある。この意味において子宮筋AVTレセプター動的解析を行なったところAVTレセプターのKd値もBmax値も放卵時に著しく減少し、放卵後2時間には回復した。
さらにAVTレセプターcDNAクローニング計画では、(1)子宮筋の可溶画分を抽出し、電気泳動解析を行ない、AVTレセプター画分を採取した。現在、アミノ酸シーケンシングする段階に来ている。(2)ヒト及びラット後葉ホルモンレセプターcDNA塩基配列をもとにオリゴヌクレオチドプライマーを合成し、産卵鶏子宮筋の全RNAをもとにPCR処理を行なった。452bpcDNA産物を得て、これをプローブとして産卵鶏子宮筋全RNA中に5.6、4.0及び2.1kbのAVTレセプターmRNA分子種を同定した。
以上のように本研究の大要は、(1)卵巣プロスタグランジンの産生部位の特定と放卵調節への関与、(2)下垂体後葉ホルモンの中枢及び末梢組織における産生部位の特定(タンパク質レベル及び遺伝子分子生物学的解析)、発現機序と放出機序、(3)AVTレセプターの動的解析とcDNAクローニング及びアミノ酸シーケンシングによる構造解析を行ない、国の内外の研究者による共同研究として世界的にも極めて質の高い新しい事実発見を提供することができた。このプロジェクトによる外国研究者訪問と内国研究者との緊密性と協力性が将来の研究にも大きな弾みとなったことも見逃せない成果であり、文部省関係者に深謝申し上げたい。

報告書

(2件)
  • 1993 研究成果報告書概要
  • 1992 実績報告書
  • 研究成果

    (20件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (20件)

  • [文献書誌] Ohkubo,T.,Tanaka,M.,Nakashima,K.,Shimada,K.,Saito,N. and Sato,K.: "High-level expression of biologically active chicken prolactin in E.coli." Comp.Biochem.Physiol.105A. 123-128 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 佐々木健、齋藤昇、島田清司: "産卵鶏の放卵に伴うアルギニンバソトシン濃度の変動" 鳥類内分泌研究会. 22-23 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Uchiyama,M.,Saito,N.,Shimada,K. and Murakami,T.: "Pituitary and plasma arginine vasotocin levels in the lamprey,Lamperta japonica." Comp.Biochem.Physiol.107A. 23-26 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Sechman,A.,Shimada,K.,Saito,N.,Ieda,T. and Ono,T.: "Tissue-specific expression of calbindin-D_<23K> gen during ontogeny of the chicken." J.Expt.2001. (in press). (1994)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 神作宜男、寺田修、齋藤昇、島田清司: "チャボの就巣に伴う下垂体ホルモン遺伝子発現" 東海畜産学会報. (in press). (1993)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Chaturvedi,C.M.,Koike,T.I.,Cornett,L.E. and Shimada,K.: "Localization of vasotocin (AVT) mRNA in dehydrated chickens." Gen.Comp.Endocrinol.(in press). (1993)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Hirunagi,K.,Rommel,E.,Oksche,A. and Korf,H.-W.: "Vasoactive intestinal peptide-immunoreactive cerebrospinal fluid-contacting neuronsin the reptilian lateral・・・" Cell Tissue Res.274. 79-90 (1993)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Shimada,K.,Ohkubo,T.,Saito,N.,Talbot,R.T. and Sharp,P.J.: "Avian Endocrinology" J.Endocrinology Ltd., 13 (1993)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Saito,N.,Shimada,K. and Koike,T.I.: "Avian Endocrinology" J.Endocrinology Ltd., 8 (1993)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Korf,H.-W.,Rommel,E.,Hirunagi,K. and Oksche,A.: "Integrative and Cellular Aspects of Autonomic Functions:temperature- and osmoregulation" Libbey, 12 (1994)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Ohkubo,T., Tanaka,M., Nakashima,K., Shimada,K., Saito,N. and Sato,K.: "High-level expression of biologically active chicken prolactin in E.coll." Comp.Biochem.Physiol.105A. 123-128 (1993)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Sasaki,K., Saito,N. and Shimada,K.: "Changes in AVT concentrations in plasma, neurohypophysis and hypothalamus in relation to oviposition in the chicken." Eighteenth Annual Meeting of Japanese Avian Endocrinology. 22-23 (1993)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Uchiyama,M., Saito,N., Shimada,K. and Murakami,T.: "Pituitary and plasma arginine vasotocin levels in the lamprey, Lamperta japonica." Comp.Biochem.Physiol.107A. 23-26 (1994)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Sechman,A., Shimada,K., Saito,N., Ieda,T. and Ono,T.: "Tissue-specific expression of calbindin-D_<28K> gene during ontogeny of the chicken." J.Expt.2001. (in press).

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kansaku,N., Terada,O., Saito,N. and Shimada,K.: "Gene expression of pituitary hormones in relation to broodiness of Chabo hens." The Tokai Journal of Animal Production. (in press). (1994)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Chaturvedi,C.M., Koike,T.I., Cornett,L.E. and Shimada,K.: "Localization of vasotocin (AVT) mRNA in dehydrated chickens." Gen.Comp.Endocrinol.(in press). (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Hirunagi,K., Rommel,E., Oksche,A. and Korf,H.-W.: "Vasoactive intestinal peptide-immunoreactive cerebrospinal fluid-contacting neurons in the reptilian lateral septum/nucleus accumbens." Cell Tissue Res.274. 79-90 (1993)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Shimada,K.: J. Endocrinology Ltd.Avian Endocrinology, 135-147 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Saito,N.: J. Endocrinology Ltd.Avian Endocrinology, 359-366 (1993)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Korf,H.-W., Rommel,E., Hirunagi,K. and Oksche,A.: Libbey. Integrative and Cellular Aspects of Autonomic Functions : temperature- and osmoregulation, 407-418 (1994)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要

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公開日: 1992-04-01   更新日: 2016-04-21  

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