研究課題/領域番号 |
04044093
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中西 重忠 京都大学, 医学部, 教授 (20089105)
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研究分担者 |
森吉 弘毅 京都大学, 医学部, 助手 (50263091)
別所 康全 京都大学, 医学部, 助手 (70261253)
影山 龍一郎 京都大学, 医学部, 助教授 (80224369)
SEEBURG Pete ハイデルベルグ大学, 分子生物学センター, 教授
桝 正幸 京都大学, 医学部, 助手 (20243032)
PETER H.Seeb ハイデルベルグ大学, 分子生物学センター, 教授
PETER H Seeb ハイデルベルグ大学, 分子生物学センター, 教授
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
20,100千円 (直接経費: 20,100千円)
1994年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1993年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1992年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
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キーワード | グルタミン酸受容体 / 分子多様性 / NMDA受容体 / 視覚情報伝達系 / 嗅覚情報伝達系 / 記憶 / 遺伝子クローニング / 遺伝子破壊 / メタボトロピック受容体 / 遺伝子工学 / 細胞内情報 / 神経細胞死 / 視覚と嗅覚伝達 / 記憶と学習 |
研究概要 |
グルタミン酸受容体は、興奮性神経伝達系の受容体として機能するのみならず、記憶・学習という高次脳機能、及び神経細胞の細胞死を制御する重要な受容体である。本受容体は、イオン・チャンネルを内在するNMDA型とAMPA/カイニン酸(A/K)型の2種類のイオノトロピック受容体と、細胞内情報伝達系に共役するメタボトロピック受容体の2型に大別され、両型が、協調して上記脳・神経機能を制御していると考えられているが、その機構は多くの点が不明である。われわれは、NMDA受容体とメタボトロピック受容体(mGluR)を、世界に先駆けてクローン化することに成功し、一方、相手側研究者Seeburg博士は、A/K受容体とNMDA受容体のクローン化に成功している。本研究においては、共同研究と情報交換のもとに、グルタミン酸受容体を、総合的に解析し、本受容体の機能と調節を明らかにし、さらに、本受容体の高次脳機能における役割を追求する方向で研究を行い、その結果、多くの興味ある成果を挙げてきた。それらの成果の中で特に興味ある成果を述べると、 1)NMDA受容体は、その全ての性質を有するNMDAR1とNMDA受容体の性質に多様性を与えるNMDAR2A-2Dの5種類のサブユニットからなり、一方mGluRは少なくとも8種類のサブタイプが存在し、更にSeeburg博士の研究グループでA/K受容体は、AMPAに高い選択性を示す4種類のサブユニットとカイニン酸に高い選択性を示す5種類のサブユニットからなる事が明らかにされ、いずれの受容体も、当初予想もされなかった多様な遺伝子群からなる事が明らかとなった。又、それぞれの受容体サブユニット或いはサブタイプの性質、調節、発現部位等も明らかにしてきた。 2)NMDA受容体は、第2膜貫通部位が、イオン・チャンネル形成部位として働き、この部位のアスパラジンがNMDA受容体に特徴的なCa^<2+>の透過性と、Mg^<2+>及びチャンネル・ブロッカーの阻害に重要な役割を果たしていることを明らかにした。 3)視覚系の二次ニューロン双極細胞は、ON型とOFF型に分類され、この二つの双極細胞の反応の違いにより明暗の情報が処理される。我々は、mGluR6が双極細胞に特異的に発現している事、又、免疫組織化学によってmGluR6がON型双極細胞のシナプス後膜に限局して分布する事、更に、mGluR6の標的遺伝子破壊によって、ON反応は消失するが、OFF反応の変化しない事を明らかにし、mGluR6がON反応を決定する受容体である事を明らかにした。 4)嗅球の二次ニューロン僧帽細胞は、顆粒細胞とシナプスを形成し、僧帽細胞は、グルタミン酸を介して顆粒細胞を興奮させ、一方、興奮した顆粒細胞はGABAを介して僧帽細胞を抑制する。我々は、mGluR2が副嗅球の顆粒細胞のシナプス前膜に多量に発現している事、又、mGluR2の特異的アゴニストDCG-IVを用いて、顆粒細胞のmGluR2の機能を電気生理学的、動物行動学的に解析し、mGluR2が、嗅覚の分別を高める上で重要な働きをし、又嗅覚の記憶を誘導する事を明らかにした。3)、4)に述べた結果は、mGluRが、シナプスの伝達の調節に重要な役割を果たしている事、又、二次ニューロンが、感覚系の情報処理に不可欠である事を示すものである。
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