研究分担者 |
TSIEN Richar スタンフォード大学分子細胞生理学教室, 教授
BEAM Kurt G. コロラド州立大学獣医学部, 生理学教室, 教授
STUEHMER Wal マックスプランク生物物理化学研究所, 膜生物物理部門, 研究員
MICHEL Hartm マックスプランク生物物理研究所, 分子膜生化学部門, 部長
森 泰生 京都大学, 医学部, 助手 (80212265)
中井 淳一 京都大学, 医学部, 助手 (80237198)
福田 和彦 京都大学, 医学部, 助手 (90199224)
STUMER Walter Max-Planck-Institute for Biophysikqlische Chemie, Abteilung Membranbiophysik
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研究概要 |
(1)ウシ骨格筋ニコチン性アセチルコリン受容体αサブユニトットをバキュロウィルス発現系により昆虫細胞に大量発現させた。αサブユニットは昆虫細胞の全蛋白質の2-3%を占めており,Zwittergent3-14により効率的に可溶化された。カラムクロマトグラフィーを用いて精製したαサブユニットは,高マンノース型糖鎖の付加を受けており,αブンガロトキシンに対して高い結合親和性を有した。以上の結果から,バキュロウィルス発現系により生産されたイオンチャンネル蛋白を精製することは,組織において発現量の低いイオンチャンネル蛋白を大量に得ることを可能とすることをが実験的に示された。 (2)イオンチャンネルの構造と機能に関するこれまでの研究をさらに発展させ,下記の成果を得た。 ナトリウムチャンネルcDNAに部位特異的に変異を導入し,発現させた変異チャンネルの機能解析から,ナトリウムチャンネルのイオン選択フィルターの部分を形成するアミノ酸残基を同定した。これらのアミノ酸残基は疎水性領域S5とS6の間のいわゆるSS2領域にあり,リピートIIIのリジン,リピートIVのアラニンをカルシウムチャンネルで見られるグルタミン酸に置換することにより,ナトリウムチャンネルのナトリウム選択性を低下させ,カルシウム透過性を増加させることを示した。また,脳と心筋のナトリウムチャンネルのテトロドトキシン感受性の差異は,リピートIのSS2領域にあるフェニルアラニンとシスチンの差によることを明らかにした。 チャンネルの狭小部を形成するアミノ酸残基に変異を加えたニコチン性アセチルコリン受容体の有機カチオンに対する透過性を検討し,本受容体の透過性に狭小部のアミノ酸残基の大きさと電荷がともに重要であることを示すとともに,電荷の変化がチャンネル孔の大きさを規定する因子でありうることを示した。 ウサギ脳より新たに2種のカルシウムチャンネルのcDNAクローニングをおこなった(BII,BIII)。これらのカルシウムチャンネルは,以前にクローニングされたBIカルシウムチャンネルと比較的類似しており,非Lタイプのサブファミリーを形成していると考えられた。BIチャンネルが主に小脳に発現しているのに対し,BIIは大脳に多く分布し,BIIIはBIとBIIの中間的な分布を示した。BIIIチャンネルをmuscular dysgenesisのマウス骨格筋細胞に発現させたところ,ωコノトキシンに感受性のあるNタイプのカルシウムチャンネル活性が観察された。 細胞内カルシウム貯蔵部位よりカルシウムを放出させる,リアノジン受容体/カルシウム放出チャンネルに関するこれまでの研究をさらに発展させ,新たに脳タイプのリアノジン受容体のcDNAクローニングを行い,その一次構造を明らかにした。本受容体は骨格筋・心筋のリアノジン受容体と類似した構造をしていると考えられる。脳タイプのリアノジン受容体は海馬,線条体,視床に多く発現し,また平滑筋組織にも発現していることが明かとなった。
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