研究分担者 |
杜 宝生 東北内蒙古石炭公社, 多種経営公社, 副社長
沙 興中 華東化工学院, 資源化学・工学系, 教授
朱 起明 清華大学, 化学系, 教授
程 懋〓 中国科学院, 山西石炭化学研究所, 教授
郭 樹才 大連理工大学, 石炭化学研究所, 教授
諸岡 成治 九州大学, 工学部, 教授 (60011079)
加部 利明 東京農工大学, 工学部, 教授 (50092482)
飯野 雅 東北大学, 反応研, 教授 (10006306)
乾 智行 京都大学, 工学部, 教授 (60025989)
DU Bao-Sheng China Northeast-Nei Monggol Join Coal Industry Co. Deputy Manager Diversificatio
SHA Xing-Zhong Department of Energy Resources, East China University of Chemical Technology
程 懋杆 中国科学院, 山西石炭化学研究所, 教授(副所長)
|
研究概要 |
本年度は,1. 石炭の高度利用を可能とする石炭構造研究,高度前処理法(諸岡,程),2. 石炭液化油の深度脱硫,脱窒素触媒の開発(加部,沙),3.低エネルギー消費型溶剤抽出液化法(飯野,郭),4. 低エネルギー消費型連続式コ-クス製造法(野村,郭,杜),5. CO_2,COからのケミカルズ製造用高性能触媒の開発(乾,朱)に関する研究を実施した。 1の課題については,長鎖脂肪族をラジカル供与剤および架橋抑制剤として機能させる石炭急速昇温熱分解法の基礎検討を行った。アルキル鎖を石炭に化学結合させるO-アルキル化炭の熱分解,さらに長鎖脂肪族化合物(C_<18>アルコール,ポリエチレンおよびポリプロピレン)を含侵させた石炭の急速熱分解を行った。操作が簡便な後者の方法により転化率および軽質芳香族収率が向上することを明らかにした。 2の課題については,高い脱硫活性を有するNi-Mo/Al_2O_3触媒を用いて^<35>S-標識ジベンゾチオフェンの水素化脱硫反応を行い,作動状態における脱硫触媒上の硫黄の挙動を定量的に評価した。触媒上の移動可能な硫黄量は反応条件に依存して変化することを明らかにした。さらに触媒上のNi-S-Moの様式で結合した硫黄が移動可能であることを提案した。 3の課題については,瀝青炭を175-300℃で水素供与性溶媒の9,10-ジヒドロアントラセン,1,4,5,8,9,10-ヘキサヒドロアントラセン中で熱処理を行ったところ,二硫化炭素-N-メチル-2-ピロリジノン混合溶媒による抽出率が未処理の場合に比べて増加した。一方,褐炭に対してはこの熱処理の効果は認められなかった。 4の課題については,石炭を340℃の低温で熱処理,250℃で342kgf/cm^2の圧力下加圧成型し,ついで800℃で2時間炭化したところ,Goonyella炭では高強度のコ-クスが得られることが明らかとなった。一方,より石炭化度の低いWitbank炭およびByron Creek炭についても同様の検討を行ったが,これらの石炭から調製したコ-クスの強度はGoonyella炭のものと比較して弱く,この場合には3wt%のピッチを混合した石炭を加熱,成型,炭化すると得られたコ-クスの強度が増加することを明らかにした。 5の課題については,メタロシリケートの種々の石炭転化プロセスへの応用について検討した。直列二段反応によるCO_2-H_2または合成ガスからのメタノール経由のガソリン合成で,Fe-シリケート触媒を後段の触媒に用いると,高い収率でイソモノ内部オレフィンが得られた。生成物はさらにPt担持ノンメタルシリケートにより,イソパラフィンに富むガソリンに転化できた。また,石炭液化油の改質にガロシリケートを用いると高い選択率で芳香族留分を得ることができた。 また,本年度は5〜6月に14〜23日間,中国の大連理工大学,中国科学院山西石炭化学研究所,清華大学,華東化工学院,東北内蒙古石炭公社から計6名の研究者を招聘し,日本の各研究機関で上記研究課題について検討を行うとともに,5月25〜28日大阪(関西大学)で開催された日中石炭C_1シンポジウムにおいて本共同研究で得られた成果の一部を発表した。 平成5年10月から平成6年2月にかけて17〜20日間の日程で,中国の大連理工大学,中国科学院山西石炭化学研究所,清華大学,華東化工学院から1名の若手研究者(計4名)を20日間の日程で招聘し,それぞれ東北大学,東京農工大学,京都大学,大阪大学において,個々の研究課題に関する共同実験研究を行うとともに,濃密な討論を行った。 上記の研究で得られた結果については平成6年3月に研究成果報告書をまとめ,関連する国内外の研究機関に配付した。
|