研究課題/領域番号 |
04044110
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松原 央 大阪大学, 理学部, 教授 (00028242)
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研究分担者 |
MALKIN Richa Univ. California, Berkeley・Dept. Plant Biol, Prof.
BUCHANAN Bob Univ. California, Berkeley・Dept. Plant Biol, Prof.
大岡 宏造 大阪大学, 理学部, 助手 (30201966)
佐伯 和彦 大阪大学, 理学部, 助手 (40201511)
和田 敬四郎 金沢大学, 理学部, 教授 (70028174)
RICHARD Malk Univ.of California, Berkeley・Dept.of Plan, Professor
BOB B Buchan Univ.of California, Berkeley・Dept.of Plan, Professor
高橋 康弘 大阪大学, 理学部, 助手 (10154874)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
1993年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1992年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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キーワード | フェレドキシン / 鉄-イオウクラスター / 緑色イオウ細菌 / 反応中心 / FNR / イソ酵素 / チオレドキシン / Rieskeタンパク / ndh遺伝子 / 光化学系 複合体 / 光化学反応中心 / 藍藻 |
研究概要 |
佐伯・松原らは,8鉄型フェレドキシン遺伝子fdxNを破壊したR.capsulatus変異株は窒素固定能が著しく低下するが,fdxN遺伝子をプラスミドとして再導入することによりその能力を回復することをすでに報告した。そこで,野性型fdxNにかえて,各種の遺伝子工学的改変を加えた変異fdxN^*を作製して,生理活性に必要なシステイン残基を同定するとともに,変異fdxN^*産物の物性解析を行い,鉄硫黄クラスター周辺のアミノ酸残基が2つのクラスター間のスピン相互作用に強い影響を及ぼすことを明らかにした。 また、R.capsulatusの7鉄型フェレドキシン遺伝子FdxAは生理機能不明な必須蛋白質であるため,構造-機能解析を行なう際に,破壊株に変異遺伝子を導入する定法を適用できない。そこで,予め変異fdxA^*遺伝子をプラスミドとして保持させた部分2倍体の野性型fdxAだけを選択的に破壊する,fdxA-fdxA^*交換システムを構築した。各種の変異fdxA^*を用い,[3Fe-4S]クラスターおよびカルボキシル末端近傍の構造が生理機能上重要であることを明らかにした。 大岡・松原らは、緑色イオウ細菌C.limicolaの反応中心の粗精製標品をさらに精製し、最終的にコアタンパク(68kDa)とチトクロム_<c551>(21kDa)からなる標品(CRC-2)を得た。フェリシアン化カリウム、アスコルビン酸による酸化-還元差スペクトルから求められたヘム_cの含量は、P840あたり1.7個であった。また、27±3個のBChlaと6-8個のBChl663が存在し、アンテナサイズとしては、ほぼ最小であると考えられる。CRC-2はすでにFe-Sセンターが破壊され、定常光照射によるチトクロム_<c551>の酸化活性はみられなかった。しかし、レーザー閃光照射実験では、初期電荷分離(P840^+BChl663^-)とその電荷再結合によるP840^Tの形成、及びそれに伴う遅延蛍光が観察された。このような遅延蛍光は、二次電子受容体であるフィロキノンを除去した光化学系I反応中心においてもみられる。 また、チトクロム_cサブユニットをコードする遺伝子のクローニングに成功した。今後、DNA配列を決定するとともに、形質転換系の構築を検討する予定である。 和田は大根の葉と根から、それぞれFNRを単離・精製し、N末端アミノ酸配列の違いからisoenzymeであることを報告した。これらFNRに対する抗体を作製したところ、それぞれ葉と根のFNRに特異的な抗体が生じ、お互いに交叉反応を起こすことはなかった。これを用い、葉と根のFNRの分化の起源を探る目的で、様々な植物(とくさ、ゼニゴケ、クロレラ、スピルリナ)に由来するFNRとのウェスタンブロッティングを行なった。統一的な結果は得られなかったが、今後根のFNRの全一次構造を決定し、葉のFNRと比較する計画である。 Buchananは小麦の発芽段階においてNADP/チオレドキシン系の変化を調べた。その結果、チオレドキンの量的変化はホルモンによるコントロールを受けていることが示唆された。また、ホウレンソウより単離されたチオレドキシンは、アフリカツメガエルの受精卵のDNA合成を阻害することを報告した。つまり卵割は起こるが、細胞中の核は消失していた。チオレドキシンは通常、受精卵のDNA合成の開始に関与しているものと考えられる。 Malkinは循環的電子伝達系の解析を行なうことを目的に、クラミドモナスのb6/f複合体の突然変異体の作製に着手した。葉緑体内にコードされるpetA(チトクロムf)、petB(チトクロムb)、petD(17kDaサブユニット)の遺伝子はすでにクローニングし、パーティクルガンによる遺伝子破壊実験や部位特異的突然変異実験を行なっている。また核にコードされているpetC(Rieskタンパク)については、ごく最近クローニングに成功した。今後、petC遺伝子のmutagenesisについて検討していく予定である。
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