研究課題/領域番号 |
04044118
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
和泉 好計 鳥取大学, 工学部, 教授 (40026555)
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研究分担者 |
サイモン ランベルツ H アムステルダム大学, 生化学部, 助手
ウェバー ロン アムステルダム大学, 生化学部, 助教授
大城 隆 鳥取大学, 工学部, 助手 (00233106)
嶋尾 正行 鳥取大学, 工学部, 助教授 (00032285)
SIMONS lambertus h. University of Amsterdam Research Associate
ミヒール G M トロン アムステルダム大学, 生化学部, 助手
ロン ウェバー アムステルダム大学, 生化学部, 助教授
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
12,700千円 (直接経費: 12,700千円)
1993年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1992年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | ハロゲン化酵素 / バナジウム酵素 / 酵素の一次構造 / マリンバイオテクノロジー / ハロゲン化有機化合物 / 大型海藻 / サンゴモ / 比較生化学的研究 |
研究概要 |
海藻中には多種類のハロゲン化有機化合物の存在が知られているおり、そのいくつかは生理活性を有している。本申請者らの二つのグループは、それぞれ独立にかつほぼ同時に、世界に先駆けて海藻類と数種の微生物が、これらハロゲン化化合物の生合成に関与していると考えられるハロゲン化酵素、ハロペルオキシダーゼ類(ブロモおよびクロロペルオキシダーゼ)を大量に生産することを見いだしている。そして海藻由来のブロモペルオキシダーゼについては、両グループの酵素がいずれも遷移金属バナジウムを含むことが最近明らかになった。しかし、これら海藻は、我々のグループはCorallina pilulifera、オランダ、アムステルダムの大学グループはAscophyllum nodosumと、それぞれの国でしか採集、入手できない研究材料である。そこで、この2つの海藻由来のブロモペルオキシダーゼの構造と機能の比較を中心として、微生物由来の酵素に関する研究も含めて両グループ間での共同研究を実施するに至った。 日本沿岸に生育する60種の海藻についてそのブロモペルオキシダーゼ活性を測定したところ、18種の海藻に高い活性が存在することを見いだした。なかでも紅藻サンゴモ科の海藻はいずれも高い活性を有しており、とりわけC.piluliferaはブロモペルオキシダーゼを総蛋白質の3%も生産していた。そこで、鳥取など日本海沿岸より本海藻を大量に採集し、この海藻の組織内部よりブロモペルオキシダーゼを種々のクロマトグラフィーを用いて約36倍に精製して均一の標品を得た。本酵素は分子量790,000、同一のサブユニット(Mw=64,000)12個からなるホモドデカマ-であり、酵素1モル当たりバナジウムが4g原子含まれていた。また、Fe,Mgも大量に含まれていた。この海藻以外にも褐藻、緑藻、紅藻を問わず数多くの海藻からハロペルオキシダーゼが均一にまで精製され、その諸性質が明らかにされている。アムステルダム大学のグループにおいては、褐藻A.nodosumよりブロモペルオキシダーゼが均一にまで精製され、分子量は67,000,1モル当たり0.4モルのバナジウムを含むことが明らかにされた。また、微生物にも原核生物、真核生物を問わずハロペルオキシダーゼが存在し、いくつかの菌株より均一にまで精製されている。そのなかで、アムステルダム大学のグループでは乾燥地から分離されたカビCurvularia inaequalisからクロロペルオキシダーゼが均一にまで精製され、その分子量は67,000,酵素1モル当たり1モルのバナジウムを含むことが明らかにされた。これはバナジウムを含む微生物ハロペルオキシダーゼの最初の例である。 以上に述べた三つのハロペルオキシダーゼについて、それぞれの特性が調べられた。まずC.piluliferaのブロモペルオキシダーゼについては、本酵素を低pH条件下でアポ化し、それに各種金属塩を加えると、バナジウムを加えた時のみ顕著な活性の回復が認められた。そして、この活性回復はFeCl_3の添加によって促進されることを見いだし、MgCl_2にはそのような効果はないことを明らかにした。また、本酵素を化学反応プロセスへ応用することを考え、種々の有機物のハロゲン化を試みたところ、本酵素によりphenolはtribromophenolへ、anisoleはo-and p-bromoanisoleへ、1-methoxynaphthaleneは1-methoxy-4-bromonaphthaleneへ、thiopheneは2-bromothiopheneへそれぞれ変換されることがわかった。A.nodosumのブロモペルオキシダーゼについては、本酵素が40%のアセトン、メタノール、エタノール、n-プロパノール中で一カ月室温で放置してもほとんど失活が認められないほど安定であることが明らかにされた。さらにC.inaequalisのクロロペルオキシダーゼについてはバナジウム結合部位にヒスチジン残基が深く関与していることが示された。 また、これらハロペルオキシダーゼの構造の相関性を検討するため均一に精製されたそれぞれの酵素をプロテアーゼ処理し、得られたペプチド断片を電気泳動で比較したところ三つの酵素の切断パターンに類似性が見られた。C.piluliferaのブロモペルオキシダーゼについてはプロテアーゼ処理のほか、臭化シアン等で酵素を切断し、HPLCで分取した後、得られたペプチド断片のアミノ酸配列を決定した。現在まで全アミノ酸489残基のうち253残基の配列を決定できた。その一方でイギリス、インペリアルカレッジのグループと共同で本酵素を結晶化するための基礎的条件についても検討を加えた。
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