研究課題/領域番号 |
04044130
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
太田 房雄 徳島大学, 医学部, 教授 (90035478)
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研究分担者 |
大和 正幸 徳島大学, 医学部, 助手 (90210492)
弘田 克彦 徳島大学, 歯学部, 助手 (60199130)
湊 義博 徳島大学, 保健管理センター, 教授 (00035768)
西野 瑞穂 徳島大学, 歯学部, 教授 (90029976)
CAMPA Mario ピサ大学, 医学部, 教授
WHILEY A・Rob ロンドン病院医科大学, 歯学部, 講師
HARDIE M・Jer ロンドン病院医科大学, 歯学部, 教授
WHILEY Robert LONDON HOSPITAL MEDICAL COLLEGE,U.K., LECTURER
JEREMY Hardie LONDON HOSPITAL MEDICAL HOSPITAL,U.K.PROFFESSOR
福井 公明 TOKUSHIMA UNIVERSITY,SCHOOL OF DENTISTRY EMERITUS PROFESSOR (40035407)
WHILEY A.Rob ロンドン病院医科大学, 歯学部, 講師
HARDIE M.Jer ロンドン病院医科大学, 歯学部, 教授
HARDIE M.jer ロンドン病院医科大学, 歯学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
1994年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1993年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1992年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | ミュータンス群連鎖球菌 / 単クロン抗体 / 酵素免疫測定法 / C血清型 / 亜型 / DNA相同試験 / リボタイピング / PCR / ドットブロッティング / SDS-PAGE / 遺伝子型別 / 血清型 / EIA / 分離株 / 国際交流 / 型別不能菌 |
研究概要 |
ミュータンス群連鎖球菌は国の内外を問わず、歯学領域で2大疾患の1つであるう蝕の原因菌であり、医学領域では亜急性心内膜炎の原因菌としても知られ、本菌群に関する疫学的研究は重要である。 本菌群は従来生化学的性状試験で生物型に、異種でつくられた抗血清により血清型に、さらに近年開発された遺伝子学的解析による遺伝子型に型別される。しかし、いずれの方法にも問題が多く、本菌の疫学的研究には不適である。本研究代表者らは最近本菌群の各血清型に特異的に反応する単クロン抗体を作製して、この抗体を用いる迅速な本菌の血清別方法を開発した。この方法は前述の多くの問題点をなくする理想的な方法であるので、今回この方法を日本、イタリア共和国および連合王国の患者から分離される菌株に応用し、その血清型別や遺伝子型別等を、同じ試薬と方法で本菌に関する総合的かつ世界的疫学調査をすることを目的とする。またこの研究を通して、当該科学領域における国際間の友好関係を樹立することをも目的として行われ、以下の結果が得られた。 1 ミュータンス群連鎖球菌(S.oricetus,S.rattus,S.mutans,S.sabrinus,S.downei)に対する単クロン抗体を作製した。 2 前述連鎖球菌と反応する単クロン抗体(mAb a-21,mAb a4,mAb b3-22,mAb S3-9,mAbh-448,mAbf-89,mAbf-77,mAbMc-1)が得られた。 3 日本、連合王国、イタリアで人の歯垢から分離されたミュータンス群連鎖球菌を従来の生化学的試験に基づいて生物型を、前述単クロン抗体により血清型別を、またDNA相同試験により遺伝子型別を行った。 4 分離菌株の生物型別においては、3国間で相違がなかった。血清型別と遺伝子型別においても3国間で大きい差はなかった。しかし、S.mutansのc血清型に亜型が存在することが判明した。 5 遺伝子型別(リボタイピング)からは、ミュータンス群連鎖球菌は多様な異質の遺伝子型を示したが、分離株はほぼ5つの型に分類できた。また、S.mutans種に亜型の存在を示唆した。 6 S.mutansと反応するf-89と反応する型の割合は連合王国、日本、イタリアで、それぞれ100%、88.0%、47.5%であった。これに対して、一部のS.mutansを認識するMSc-1と反応する型の割合は、35.7%、48.0%、42.0%であった。 7 これらの単クロン抗体を用いる酵素免疫抗体法により、ミュータンス連鎖球菌の微量定量方法を開発することができた。 8 本菌属による感染症の診断方法として、spa geneを用いるPCR法を開発した。この方法はS.mutans細胞10個を検出することができる感度を示した。 9 従来診断が困難であったメリビオース陰性分離菌株が本菌群に属することが、血清型別と遺伝子型別から明かとなった。 一方、研究者の交流として、平成4年度にはロンドン大学(ロンドン病院医科大学)のJeremy M.Hardie教授が、平成5年度にはロンドン大学(ロンドン病院医科大学)のRobert A.Whiley講師が、さらに平成6年度にはイタリア国ピサ大学Mario Campa教授が招聘された。彼らからは専門技術の移転を受けると共に、当大学の医学部と歯学部、また九州歯科大学や岡山大学で講演、医学部および歯学部学生経のカリキュラムに関する討論、さらに当大学医療短期大学部看護学科および2つの国立病院附属看護学校で『英国の看護システム』に関する特別講演を受けた。 他方、平成4年度に大和正幸助手が、平成5年度に弘田克彦助手が、平成6年度に太田房雄教授がロンドン病院医科大学またはイタリア共和国ピサ大学へ派遣され、専門技術と当該研究に関する意見の交換を行った。 以上のように、当初計画をした当該研究の研究計画、研究者の派遣と招聘による当該学術の技術と意見交換を行うと共に、広領域の学術交流をも行うことができ、本研究の目的は完全に達成されたと考えられる。今後この研究で得られた学術成果と人的交流を一層広くさらに深く進めていきたい。
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