研究課題/領域番号 |
04044133
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
平賀 壯太 熊本大学, 医学部, 教授 (40027321)
|
研究分担者 |
BEGG Kenneth エジンバラ大学, 上級講師
DONACHIE Wil エジンバラ大学, 助教授
VINELLA Dani パリ第7大学, ジャクモノ研究所, 助手
BOULOC Phili パリ第7大学, ジャクモノ研究所, 助手
JAFFE Aline パリ第7大学, ジャクモノ研究所, 助教授
山中 邦俊 熊本大学, 医学部, 助手 (90212290)
仁木 宏典 熊本大学, 医学部, 講師 (70208122)
小椋 光 熊本大学, 医学部, 助教授 (00158825)
DONACHIE William d. University of Edinburgh, Associate Professor
KENIIETH J.B エジンバラ大学, 上級講師
WILLIAM.D.DO ドナヒー エジンバラ大学, 助教授
DANIEL Vinel パリ第7大学, ジャクモノ研究所, 助手
PHILIPPE Bou パリ第7大学, ジャクモノ研究所, 助手
ALINE Jaffe パリ第7大学, ジャクモノ研究所, 助教授
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
1993年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
1992年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
|
キーワード | 染色体分配 / muk遺伝子 / ftsH遺伝子 / ATPアーゼ / プロテアーゼ / コールドショック蛋白 / DNA結合蛋白 / 膜蛋白質 / 大腸菌 / MukB蛋白 / ATP / GTP結合能 / DNA結合能 / FtsH蛋白 |
研究概要 |
この二年間の国際学術研究(共同研究)によって下記の研究成果が得られた。 1.大腸菌の染色体分配に必須なMukB蛋白を精製し、その分子形態を電子顕微鏡により解析し、MukBホモダイマーはN端とC端に球状ドメインを持つコイルドコイルのロッド状蛋白であることを明らかにした。またMukB蛋白はDNAやRNAと結合する能力を有することを証明した。DNA結合ドメインを解析することを目標にmukB遺伝子の部位特異的変異株をPCR法によって作成し、これらの変異遺伝子によりコードされたMukB蛋白のDNA結合能についてDNA-セルローズカラムを使って解析した。N端の球状ドメイン中のATP結合配列のLys_<40>がIle_<40>に変化した変異MukB蛋白はDNA結合能を持っていた。一方、C端に短い欠失のある変異MukB蛋白はDNA結合を持たない。これらの結果はC端の球状ドメインにDNA結合能があることを示唆している。 2.MukB蛋白との相互作用をする蛋白を探すために、高温感受性のmukB106変異株(CRMを産生)より高温耐性サプレッサー株を120株分離し、その中より他の遺伝子に起きたサプレッサー変異でかつmukB106変異は抑制するがmukB欠失変異を抑制しない株を分離した。さらにこの中よりmukB+の場合にサプレッサー変異だけで無核細胞を放出する変異株を4株分離した。smb-131は24〜25分に、smb-160、smb-168、smb-172は98〜8分に、位置することを明らかにした。一方、野生株の染色体のコスミドライブラリーよりmukB106変異株の高温感受性を抑制する多重コピーサプレッサー遺伝子を二つ(msmB,msmC)分離した。塩基配列の解析結果より両遺伝子ともに約7kDaの小さな蛋白をコードしており、アミノ酸配列はコールドショック蛋白のCspAと高い相同性を示し、両蛋白ともにCCAAT-boxの識別ドメインを持っていた。したがってmsmB,msmCをそれぞれcspC,cspEと遺伝子名の変更をした。今後、これらの遺伝子のコードする蛋白とMukB蛋白の相互作用及びDNA結合能等を調べていく計画である。 3.mukB遺伝子の上流に存在するkicA,kicB遺伝子を解析し、KicB蛋白は細胞を致死にする機能を持つが、普段はKicA蛋白がこのKicB蛋白の致死機能を抑制している
… もっと見る
ことを明らかにした。このKicB蛋白は蛋白合成を不可逆的に阻害し細胞を致死にすることが実験結果から示唆された。kicA,kicB遺伝子が大腸菌の染色体からプラスミド上に転座した場合、増殖中に出現したプラスミドを持たない細胞は致死になる。すなわちkicA,kicB遺伝子はプラスミド上に転座した場合、Post-segregational killing systemとして働くことが明らかになった。 4.FtsH蛋白はATP結合配列を持つ分子量70.7kDaの膜内在性蛋白で、細胞当り約400分子存在する。FtsH蛋白のATP結合配列を含むドメインは真核細胞で見つかった一群の新しいタイプのATPaseファミリー(AAA蛋白ファミリー)に共通するドメインと相同である。ftsH1変異株は高温致死性を示し、隔壁形成酵素PBP3やb-lactamaseのプロセシングが遅れる。シャペロニンGroEを過剰産生するとPBP3やβ-lactamaseのプロセシングは部分的に回復するが致死性は回復しない。また膜蛋白質の安定なアンカーリングにFtsH蛋白が働くという知見も得ている。hflB変異株はcII蛋白が安定化しλファージの溶原化頻度が上昇することが分かっていたが、hflB変異はftsH遺伝子の変異であることが明らかとなった。ftsH1変異株でも温度依存的にλファージの溶原化頻度が上昇することが分かった。これによりFtsH蛋白は基質特異的蛋白分解系に関与していることが明らかになった。以上の結果を総合するとFtsH蛋白は膜内在性の新しいタイプのシャペロンあるいはプロテアーゼそのもので、その機能は膜蛋白のアセンブリーや基質特異的蛋白分解を通して細胞増殖に必須の役割を演じるものと推定される。FtsHを過剰産生する株からFtsH蛋白を精製し、約90%の純度の標品を得た。この標品はATP結合能、ATPase活性を示した。 5.ftsH1の高温致死性を抑制する変異株を分離し抑制遺伝子を同定したところ、一つは鉄イオンの輸送系のオペロン群のリプレッサー遺伝子furの変異であり、もう一つは新しい遺伝子sfhBであった。fur変異による抑制機能を解析し、これには鉄イオンが重要であることを示唆する結果を得た。FtsH蛋白はウェスタンブロットで近接した2本の蛋白として検出されるが、ftsH1変異株は高温で移動度の大きいバンドの量が激減する。fur変異により、この減少は部分的に回復する。FtsHの2本のバンドは浸透圧によって影響をうけ、高浸透圧条件下では移動度の大きいバンドの量が多くなる。furによる抑制と同様に、高浸透圧条件下でftsH1の致死性は抑制された。 隠す
|