研究課題/領域番号 |
04044137
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
小野寺 良次 宮崎大学, 農学部, 教授 (60040862)
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研究分担者 |
ARMSTEAD Ian AFRC草地環境研究所, 遺伝育種部, 研究員
LING John R. ウェイルズ大学, 生物科学研究所, 講師
富田 純史 宮崎大学, 農学部, 助教授 (70113230)
長澤 孝志 岩手大学, 農学部, 助教授 (80189117)
IAN P.Armste AFRC草地環境研究所遺伝育種部, 研究員
JOHN R.Ling ウェイルズ大学, 生命科学部, 講師
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
1994年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1993年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1992年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | ジアミノピメリン酸立体異性体 / 立体異性体分別分取法 / 立体異性体定量法 / ペプチド定量法 / ルーメンプロトゾアのリジン合成 / ルーメンバクテリアのリジン合成 / ジアミノピメリン酸エピメラーゼ / バクテリア体ジアミノピメリン酸 / ジアミノピメリン酸定量法 / メソ-ジアミノピメリン酸 / LL-ジアミノピメリン酸 / DD-ジアミノピメリン酸 / 混合ルーメンバクテリア / Streptococcus bovis / Anaerovibrio lypolytica / ジアミノピメリン酸立体異性体分別法 / リジン定量法 / キラルカラム / 円二色法 / HPLC |
研究概要 |
本研究は、2,6-ジアミノピメリン酸(DAP)の3種類の立体異性体の(1)分別分取法並びに(2)高感度定量法を確立し、(3)ルーメンバクテリア細胞壁中のDAP立体異性体の分布を検討するとともに、(4)ルーメンブロトゾア及びバクテリアによるDAPの各立体異性体からのリジン合成量を検討することを主眼とし、さらに、(5)ルーメンプロトゾアがルーメンバクテリアを捕食消化した場合のリジン生成量並びに(6)できれば、ペプチドの生成量及び質を検討することを目的とした。 平成4年度は、DAPの3種類の立体異性体(LL-、meso-及びDD-DAP)の分別分取法を確立し、さらに、それらの定量法並びにリジンの定量法を、暫定的ながら、確立した。まず、分別分取法として、キラルカラム MCI GEL CRS10W(4.6mm I>D> x 50mm)(三菱化成)を使用したHPLC法による方法を確立した(J.Chromatogr.A.653:336.1993)。次に、既報のZanol & Gastaldo (1991)に従い、当研究室の機種(HPLC)によるDAP各立体異性体の高感度定量法を検討した。カラムは、Merck Lichrospher 100 RP-18 (4mm I.D. x 250mm)を使用し、移動相は0.05Mトリメチルリン酸塩(pH30)と80%アセトニトリルとのグラジエントとした。その結果、グラジエントの調節により、45分以内にmeso-、LL-及びDD-DAPの順にピークが現われ、標準DAPの3立体異性体の定量が可能となった(第3回国際アミノ酸学会発表、Amino Acids 5:135.1993)。また、この方法でもリジンを定量できることが分かった。 平成5年度は、特に、混合ルーメンバクテリアに含まれるジアミノピメリン酸(DAP)の3つの立体異性体の存在割合の測定に全力をあげた。測定に際し、平成4年度に確立した方法では、バクテリアの水解物中の未同定化合物が3つの立体異性体のピークと重なることが分かり、これをさらに分別して間違いなくDAPの3立体異性体のみを定量できるような方法を確立した。そして、ルーメンバクテリアのDAPの3立体異性体を世界で初めて定量することができた。本研究では、同時に、DAPの3立体異性体混合物の総量を一つのピークとして定量する方法も確立した。上記の方
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法により、英国(ウエルズ大学)の羊と日本(宮崎大学)の山羊のルーメン内混合バクテリアのDAP立体異性体含有量を測定した結果、meso-型は、平均それぞれ、4.99及び4.04,LL-型は、平均それぞれ、0.72及び0.97mg/gDMであり、DD-型は検出されなかった。また、純粋培養した5種類のルーメンバクテリアを分析した結果、すべてmeso-型のみが含まれ、Streptococcus bovis JB1は、平均1.08mg/gDMと少なく、Anaerovibrio lypolytica 5Sは、6.11と多いことが分かった(第8回国際反芻動物生理学シンポジウム,1994発表、Proc.Soc.Nutr.Physiol.3:154.1994)。また、ペプチドの定量法は、すでに英国側が確立した(J.Chromatogr.586:259.1991)。 平成6年度は、DAPの各立体異性体の分離にかなりの時間を要したため、「ルーメンプロトゾア及びバクテリアによるDAP(ジアミノピメリン酸)の各立体異性体からのリジン合成量」の検討に終始した。ルーメン微生物によるDAPの代謝実験では、まず、使用する容器を予めすべて滅菌しておく必要があることを明らかにした。次に、滅菌容器を使って、3立体異性体混合DAP(DAPmix)を基質として、ルーメン微生物を同条件でインキュベートし、各立体異性体の減少とリジンの増加を検討した。その結果、プロトゾアは、meso-、LL-及びDD-DAPを、それぞれ、0.29,0.16及び0.12mM(合計0.57mM)だけ分解し、リジンを0.44mMだけ生成した。DAPの減少量とリジン生成量の不一致は、プロトゾアがリジンをさらにピペコリン酸まで分解するためと考えられる。また、プロトゾアがLL-及びDD-DAPからもリジンを生成していると考えられることから、ルーメンプロトゾアはエピメラーゼをもっている可能性があることが示唆された。バクテリアは、上記のDAP各立体異性体を、それぞれ、0.29,0.17及び0.12mMだけ分解し、その25.9%を菌体内リジンとして蓄積した。残りの多くは、アンモニア、酢酸及び酪酸に分解されたものと考えられる。分別したDAPの各立体異性体を基質として個々に添加した場合も、類似の傾向が得られた。 本研究では、DAPの3種類の立体異性体の分別分取法の他、高感度で正確な定量法が確立された。従って、あとは時間だけの問題であり、これらの方法により、実施計画の中でやり遂げられなかった部分については、平成7年中には、すべて完遂する予定である。 隠す
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