研究課題/領域番号 |
04044157
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 九州国際大学 |
研究代表者 |
市川 信愛 九州国際大学, 国際商学部, 教授 (90039800)
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研究分担者 |
翁 其銀 上海社会科学院, 副教授
鄭 山玉 華僑大学, 華僑研究所, 所長副教授
朱 徳蘭 台湾中央研究院, 中山人文社会科学研究所, 助理研究員
黒木 国泰 宮崎女子短期大学, 助教授 (90132513)
和田 正広 九州国際大学, 法経学部, 教授 (00167206)
CHU Te-Lan Assistant Researcher of Taiwan Central Academica
WEN Qi-Yin Associate Professor of Shang Hai Social Science Institute
CHEN Shan-Yi Head & Associate Professor of Hua Qiao Institute ; Hua Qiao University
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
14,300千円 (直接経費: 14,300千円)
1993年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1992年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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キーワード | 華人経済圏 / 華商ネット・ワーク |
研究概要 |
本年度の研究実績の概要は、次の4点に要約される。 1) 国際学術研究の共同の素材である「泰益号」文書研究への取組みが、国内から国外へ、デスクワークからフィールドワークへと展開する過程で、ミクロな個別研究のワクから、マクロ的な射程へと研究の視点と領域が拡大したこと。即ち、本研究の中心課題としての「東アジア海域における華商交易圏」の設定は、単に歴史的な研究にとどまらず、極めて今日的なテーマであることが確認された。即ち、キーワードとしての「華人経済圏」、「華商ネット・ワーク」が、マスコミばかりでなく、学術的にも重要な関心事であることの証左である。具体的には、昨年11月・香港で開催された「第2回世界華商大会」が、脚光をあびたことからも首肯される。 2) 国際的共同研究の成果としての、東アジア海域における在日華商のネット・ワークとしては、次のことが一応解明された。 (1) 台湾ネット・ワーク (2) 厦門ネット・ワーク (3) 上海ネット・ワーク (4) 大連ネット・ワーク これに対応する日本サイドの交易網としては、 (5) 長崎ネット・ワーク (6) 関門ネット・ワーク そして、この成果の検討、即ち本研究の至達点と今後の課題を確認するために、本学の大学間共同研究(代表和田正広)と合同で、国際シンポジウム専門家会議を昨年11月24日、東大浜下武志教授の総合司会のもとで開催した。その概要は、別添『国際シンポジウム・報告要旨』のとおりである。 3) 残された課題としては、次の2点にしぼられる。 第一は、ミクロの資料をマクロに活用する意義は評価されるが、それを補完ないし演繹する資料と手法は不可欠である。当面えられた協力者としては、中国海関史学会の戴一峰副教授(厦門大学)があり、貿易統計によるモノとカネの面からのネット・ワーク分析が期待される。いま1人は、〓南地区僑郷の家譜、族譜を研究調査している華僑大学華僑研究所(代表鄭山玉所長)があり、これは、ヒトの移動の面からのネット・ワークの解明が可能となる。 第二には、今日的な問題との接点をさぐることの必要性である。幸い、黄海経済圏形成への胎動が始まっており、その母体としての東アジア学会(代表、小川雄平西南大学教授)との連繋がスタートすることとなった。21世紀をにらんだアプローチが、具体的な現状分析から試みられる。 4) 最後に、若干の期待と要望を附言しておこう。 (1) 国内外の研究の輪を拡大するためにも、研究分担者、協力者による共同研究推進のためにも、尨大な信書(ハガキを含む)の整理は、緊要である。幸い、一時保管先の長崎市立博物館から流出していた「泰益号文書」も、もとに返却されたが、主管者側は人的・物的制約から、その適確な管理と利用が困難な状況下にある。稀有ともいえるこの文書の適正な保存が急務である。 (2) 本来、資料の分類と整理、簡単な解説は、横浜の港資料館の例にみられるとおり、保管者の守備範囲であるのに、今日まで、われわれ共同研究者の手によって行ってきた。即ち、商号別・年代別・地域別の分類を行い、コピー復製したものが、神戸地区6冊、台湾地区10冊、関門地区8冊まで完了した。残りのうち、長崎地区が最大の質と量をもつものの未完である。また、大陸諸港については、財源のメドがつけば作成可能である。しかるべき方面からの支援を期待したい。 (3) 本文書の発掘から数えると、既に10年近い歳月をへており、研究成果(文書の解読から分析に到る論文)もかなりの量にのぼっている。一応の総括の時期に到来していると考えられる。従って、論文集の形で、成果を世に問うことが、研究に加わった者の共通した希望である。
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