研究課題/領域番号 |
04044166
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 宇宙科学研究所 |
研究代表者 |
市川 行和 宇宙科学研究所, 教授 (20013667)
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研究分担者 |
TAYLOR K.T.A クイーンズ大学, 教授
ARMOUR E.A.G ノッティンガム大学, 助教授
KINGSTON A.E クイーンズ大学, 教授
CROTHERS D.S クイーンズ大学, 教授
渡辺 信一 電気通信大学, 助教授 (60210902)
佐藤 浩史 お茶の水大, 理学部, 教授 (10017197)
崎本 一博 宇宙科学研究所, 助手 (60170627)
原 俊介 筑波技術短期大学, 視覚部, 教授 (10091919)
中崎 忍 宮崎大学, 工学部, 教授 (70041001)
島村 勲 理化学研究所, 原子物理研究室, 副主任研究員 (30013709)
福田 宏 静岡県立大学, 経営情報学部, 助手 (70238484)
K.T.A.TAYLOR ロンドン大学, 助教授
E.A.G.ARMOUR ノッティンガム大, 助教授
A.E.KINGSTON クイーンズ大学, 教授
D.S.F.CROTHE クイーンズ大学, 教授
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
11,300千円 (直接経費: 11,300千円)
1994年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
1993年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1992年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 原子衝突 / 電子・原子衝突 / 電子・分子衝突 / R行列法 / ミュー粒子分子 / 相対論効果 / ミューオン触媒核融合 / ミュー粒子原子過程 / 分子解離 / 電子・イオン衝突 / 鉄イオン / キセノン / ミューオン分子 / 陽電子・分子衝突 |
研究概要 |
本研究の目的は、日英両国の関連研究者の協力により、原子衝突理論について(1)その高精密化、(2)新しい研究対象への拡張、そしてその目的のために(3)計算機の高度の利用法の開発を行うことであった。目的の(1)と(2)は必ずしもはっきりとは分けられないが、以下では両者を分けて述べることにする。 (1)原子衝突理論の高精密化 電子・原子衝突の分野の精密計算には英国ベルファストのクイーンズ大学で開発されたR行列法が有効である。ここではそれを更に拡張・応用する研究が行われた。その一つとして中崎は、ベリントン(クイーンズ大学)と、電子衝突によるキセノン原子の励起の精密計算を行った。相対論効果を取り入れ、また微分断面積を詳しく求めることにより、実験との詳細な比較が可能となると共に、初めて共鳴効果を理論的に明らかにした。1992年に計算が行われたが、その後計算コードの一部に誤りがあることが日本側研究者により発見され、現在改良計算を実行中である。島村はノ-ブル(ダ-ズベリ-研究所)らとR行列法を電子衝突による分子の解離過程に拡張することを行った。これは解離過程の初めての精密計算である。渡辺はオマホ-ニ-(ロンドン大学)らと、電磁場中の高励起原子やイオン化過程を精密に扱う手法を開発している。これは両グループのこれまでの研究、断熱展開の方法とR行列を用いる方法、を組み合わせたもので大変ユニークなものである。市川は、ディッキンソン(ニューキャッスル大学)と電子・分子衝突と原子・分子衝突の比較を行い、特に微分断面積の計算方法について新しい知見を得た。また、小池(研究協力者)は、オックスフォード大学のグループに滞在して、原子構造の相対論的計算を行う汎用コードの開発に従事した。その後、その成果をわが国に持ち帰り様々な系に応用して成果をあげている。 (2)原子衝突理論の新しい系への拡張 新しいシステムとしては、まずミュー粒子を含む系があげられる。原・島村がノッティンガム大学のア-マ-、ハ-ストンと協力して、ミュー粒子分子の共鳴状態のエネルギーや自動イオン化確率などをこれまでになく精密に計算した。これは単に原子物理学としての興味だけでなく、ミューオン触媒核融合の成否に関わる重要性がある。島村はア-マ-と共に陽電子と分子の衝突を新しい手法で計算した。恩田(研究協力者)は、クラリー(ケンブリッジ大学)と4原子系の組み替え衝突を扱う手法を開発した。これは複雑な系であり今後の発展が必要である。 (3)計算機の高度利用 これについては佐藤が調査を行った。現在、日英両国とも大型計算機の利用からワークステーションの分散型利用に方向が変わりつつあり、将来の方向がまだ定まっていない。そのため、この方面での共同研究は行われるに至らなかった。 以上の共同研究によって、これまでに得られた成果は、それぞれの研究グループにおいて今後の研究に十分に生かされることは間違いない。それだけでなく、ここで、開発された理論的手法や計算コードは、広くわが国の関連研究者の利用に供されることになろう。すでに、R行列法や相対論的原子状態計算法は他の研究者により活用されている。このように、本研究計画において当初期待された効果は確実に達成されつつあると思われる。 本計画の2年目である1993年7月には、第4回の原子衝突理論に関する日英セミナーがベルファスト・クイーンズ大学において開かれ、本研究計画の分担者全員を含め日本から14名英国から22名が参加した。本共同研究の成果をはじめ日英両国で行われている当該研究が発表され、詳細な討論がなされた。その結果は両国における原子衝突理論研究の今後の発展に大きく貢献するものと期待される。
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