太陽フレアと磁場構造の発展

• 研究課題/領域番号: 04044170
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 共同研究
• 研究機関: 国立天文台
• 研究代表者: 平山 淳 国立天文台, 太陽物理学研究系, 教授 (20012841)
• 研究分担者: 張 和〓 中国科学院, 紫金山天文台, 台長 ; 張 柏〓 中国科学院, 雲南天文台, 教授 ; 艾 国祥 中国科学院, 北京天文台, 教授 ; 小川原 嘉明 宇宙科学研究所, 教授 (80013671) ; 黒河 宏企 京都大学, 理学部, 助教授 (80135508) ; 牧田 貢 京都大学, 理学部, 教授 (90012806) ; 常田 佐久 東京大学, 理学部, 助教授 (50188603) ; 小杉 健郎 国立天文台, 太陽物理学研究系, 教授 (70107473) ; 一本 潔 国立天文台, 太陽物理学研究系, 助手 (70193456) ; 桜井 隆 国立天文台, 太陽物理学研究系, 教授 (40114491) ; ENOME Shinzo National Aotronomical Observatory ; ZHANG Bairong Yunnan Observatory ; ZHANG Heqi Purple Mountain Observatory ; SAKAO Taro National Astronomical Observatory ; SHIBATA Kazunari National Astronomical Observatory ; AI Guoxiang Beijing Astronomical Observatory ; 張 柏栄 中国科学院, 雲南天文台, 教授 ; 張 和祺 中国科学院, 紫金山天文台, 台長 ; えの目 信三 国立天文台, 電波天文学研究系, 教授 (50023677) ; 坂尾 太郎 国立天文台, 太陽物理学研究系, 助手 (00225781) ; 柴田 一成 国立天文台, 太陽物理学研究系, 助教授 (70144178)
• 研究期間 (年度): 1992 – 1993
• 研究課題ステータス: 完了 (1993年度)
• 配分額: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円); 1993年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円); 1992年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
• キーワード: 太陽物理学 / 太陽磁場 / 人工衛星 / 太陽コロナ / 彩層 / 光球 / 太陽フレア / 太陽黒点 / 磁場構造

研究概要

太陽は11年の周期で活動現象を繰り返しており、1989年頃から今回の活動極大期(第22期活動極大)に入った。活動極大期には黒点が数多く発生し、そのまわりでフレアと呼ばれる爆発現象も頻繁に見られるので、太陽活動の仕組みを探るのに格好の時期であり、前もって広範な観測計画が練られた。1991年夏に打ち上げられたわが国の太陽観測衛星「ようこう」はその中心に位置するものであり、太陽コロナやフレア爆発について次々と新しい発見をもたらしている。「ようこう」衛星を支援する地上からの観測も極めて積極的に行われている。日本では国立天文台と京都大学、中国では北京天文台と南京大学を中心として、可視光を用いた太陽の磁場・フレア爆発の観測をもとに、太陽の表面からコロナにいたる様々な磁場構造とその中で起こる活動現象についての研究が活発に行われている。
本研究では、これら各々の観測結果を総合することにより、科学的成果をより一層大きなものとすることをめざした。先ず平成4年9月に日本側研究者が北京を訪問し、「ようこう」衛星の成果やわが国の磁場観測の成果について報告した。これを期に、優れた磁場観測装置を有する北京天文台や、中国各地の太陽観測所が参加して、「ようこう」衛星のデータ解析を共同で進める態勢が整った。平成5年2月には中国側研究代表者を招聘し、重点的に解析を進める研究対象として、3つの活動領域を選び出した。これらはどれも「ようこう」のほか、日本・中国の観測施設で興味深いデータが得られている領域である。中国側研究代表者は、帰国後中国国内の太陽研究者を組織してデータの収集と解析を指導した。日本国内でも同じ領域について集中的な解析が始められ、その解析結果について議論するため、平成5年7月に神奈川県相模原市において日中ワークショップを開催した。この会議には中国側から19人の参加者があり、活発な意見交換がなされた。添付した資料は、この会議の集録である。会議の後、中国側参加者は日本国内の太陽観測施設を視察し、今後の観測研究における協力の可能性について調査・準備を行った。その成果の一つとして、平成5年8月に全世界規模で行われた、「ようこう」と地上観測施設との共同観測に中国の各観測所も参加した。この共同観測は、太陽表面に現れる若い磁場浮上領域の成長を追跡しようとするもので、速い時間変化を示す磁場浮上領域を追跡するには多くの観測所が参加してデータの途切れをなくすることが重要であり、中国の参加は極めて有意義であった。北京天文台の磁場観測データを含むこの共同観測の結果は、平成6年5月の日本天文学会春季年会において発表される。
本研究ではまた、将来の太陽研究についても議論した。日中両国とも、西暦2000年頃の次期太陽活動極大期に、大型の光学望遠鏡を搭載した人工衛星を打ち上げる計画を立案中である。中国は、磁場測定装置に用いる狭帯域フィルターの製作について高い技術・経験を有しており、日本の人工衛星にも中国製のフィルターを搭載する可能性がある。このため、日本側研究者は平成4年7月に中国を訪問し、技術的調査を行った。フィルターの機械部分・電気系の精度・性能には問題が残ったものの、光学素材の優秀さと研磨技術は高く評価でき、日本側との共同作業の形で衛星搭載用フィルターを製作する目処はついたといえる。この結果を受け、衛星計画の具体案策定に向けての検討が進んでいる。

研究成果

• [文献書誌] T.Hirayama: "The Next Japanese Solar Satellite" ESA SP. 1157. 105-113 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] T.Sakurai: "Computational Modeling of Solar Magnetic Fields" IAU Colloquium. 46. 91-97 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] T.Sakurai: "Magnetic Field Structures and Flares" Adv.Space Res.13(9). 109-117 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] K.Shibata et al.: "MHD Numerical Simulations of Reconnection Magnetic Associated with Emerging Flux" IAU Colloquium. 141. 500-503 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] K.Ichimoto et al.: "Magnetic Field Observation with the Solar Flare Telescope" IAU Colloquium. 141. 166-269 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] T.Sakao et al.: "Particle Acceleration in the 15 November,1991 Flare Observed with HXT" X-ray Solar Physics from Yohkoh. (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] H.Kurokawa and G.Kawai: "H-alpha Surge Activity at the First Stage of Magnetic Flux Emergence" IAU Colloquium. 46. 507-510 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] T.Hirayama: "The Next Japanese Solar Satellite" ESA SP. 1157. 105-113 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] T.Sakurai: "Computational Modeling of Solar Magnetic Fields" IAU Colloquium. 46. 91-97 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] T.Sakurai: "Magnetic Field Structures and Flares" Adv. Space Res.13(9). 109-117 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] K.Shibata et al.: "Observations of W-ray Jets Using YOHKOH Soft X-ray Telescope" IAU Colloquium. 141. 343-346 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] K.Shibata et al.: "MHD Numerical Simulations of Reconnection Magnetic Associated with Emerging Flux" IAU Colloquium. 141. 500-503 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] K.Ichimoto et al.: "Magnetic Field Observation with the Solar Flare Telescope" IAU Colloquium. 141. 166-269 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] T.Sakao et al.: "Particle Acceleration in the 15 November, 1991 Flare Observed with HXT" X-ray Solar Physics from Yohkoh. (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] H.Kurokawa and G.Kawai: "H-alpha Surge Activity at the First Stage of Magnetic Flux Emergence" IAU Colloquium. 46. 507-510 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] T.Hirayama: "The Next Japanese Setellite" European Space Agency Special Publication. (1993)
• [文献書誌] T.Kosugi(et al.): "The Hard X-ray Telescope (HXT) Onboard Yohkoh:It's Performance and Some Initial Results" Publications of the Astron Soc.Japan. 44. L45-L49 (1992)
• [文献書誌] T.Sakao(et al.): "Hard X-ray Imaging Observations by Yohkoh of the 1991 November 15 Solar Flare" Publ.Astron Soc.Japan. 44. L83-L87 (1992)
• [文献書誌] S.Tsuneta(et al.): "Observation of a Solar Flare at the Limb with the Yohkoh Soft X-Ray Telescope" Publ.Astron Soc.Japan. 44. L63-L69 (1992)
• [文献書誌] K.Shibata(et al.): "Observations of X-ray Jets with the Yohkoh Soft X-ray Telescope" Publ.Astron Soc.Japan. 77. L173-L179 (1992)
• [文献書誌] G.Ai(et al.): "Are the foot Points of the Soft X-ray Bright Loops the Area with the Redshift the Chromospheric H β Dopplergram" Proceedings of the Yohkoh Symposium 1993 (Universal Academy Press,Tokyo). (1993)