研究課題/領域番号 |
04044182
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
渡辺 恭良 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部, 研究部長 (40144399)
渡邊 恭良 (1994) (財)大阪バイオサイエンス研究所, 研究部長
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研究分担者 |
尾上 浩隆 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部, 研究員 (80214196)
三輪 聡一 京都大学, 医学部, 助教授 (40157706)
井上 修 放射線医学総合研究所, 障害臨床研究部, 室長 (50159969)
LANGSTROM Be ウプサラ大学, PETセンター 兼 化学研究所, 所長教授
BENGT Langst ウプサラ大学, PETセンター 兼 化学研究所, 所長 教授
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
32,000千円 (直接経費: 32,000千円)
1994年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1993年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1992年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
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キーワード | ホジトロンエミッショントモグラフィー / ドーパミン系 / ドーパミン代謝回転 / ドーパミンD2受容体 / グルタミン酸系 / 小児自閉症 / 精神分裂症 / 脳虚血モデル / ポジトロンエミッショントモグラフィー / 麻酔剤 / アセチルコリン系 / GABA系 / ペンゾジアゼピン系 / ^<11>C-ドーバ / ^<11>C-5-ヒドロキシトリプトファン / ムスカリン性アセチルコリン受容体 / ベンゾジアゼピン受容体 / イオンチャンネル / 麻酔 / 睡眠-覚醒 |
研究概要 |
1)グルタミン酸NMDA型受容体は、グルタミン酸やそのエフェクター(正の調節因子)であるグリシンにより刺激されると受容体蛋白内のCa^<2+>チャネルを開き、神経細胞の興奮を伝える仕組みである。我々は、この点に着目し、このCa^<2+>チャネルの開状態を外部から無侵襲的に追跡することができれば、現在PETでいわゆるアクティベーションスタディと称して行われている局所脳血流量を指標にして様々な仕事による脳の活性化部位を抽出する方法により直接的に脳局所の神経活動を追える可能性があり、本Ca^<2+>チャネルブロッカーであるMK-801を^<11>C標識してPET研究に供することを企図した。 MK-801の誘導体を用いて、^<11>CN(シアン)を導入することにより、[3-^<11>C-シアン]MK-801(以下、MKCとする)の新規合成に成功した。このMKCは、全く新規の化合物であるので、生化学・神経化学的に、脳のホモジェネートや凍結切片を用いて、その結合の性質を検討し、特異性・親和性ともに[^3H]MK-801に匹敵する良好な結果を得た(論文作製中)。 サルを用いた脳虚血モデルPET実験では、一過性虚血後の血液再灌流時に、局所脳血流量に比しMKCの高い取り込みが虚血巣に見られ、グルタミン酸の遊離が示唆された。 2)小児自閉症児2名に対し、新たにテトラハイドロバイオプテリン(R-BH_4)治療前後のPET研究を行い、昨年度の4例と合わせて合計6例において結果のまとめを行った。局所脳血流量に関しては、治療前にも自閉症に際立った特徴は見られず、また、R-BH_4治療後にも治療前と比べ特定の変化は見られなかった。L-^<11>C-ドーパを用いたドーパミン代謝回転に関しては、一定方向の変化は認められなかったものの治療前の値は極めて高く、ドーパミン系の代謝回転の異常増加か、ドーパミン合成能の低下が示唆された。一方、N-^<11>C-メチルスピペロンを用いたドーパミンD_2受容体結合は、治療前にやはり異常高値を示し、3ケ月間のR-BH_4治療により自閉症状に顕著な改善が見られた5例(6例のうち)については、この結合能の正常化(低下)が観察された(論文作製中)。以上、世界初の自閉症に対するPET研究を行い、ドーパミン系の異常を見い出した。また、R-BH_4の治療効果がドーパミン系に奏効していることも明らかになった。 3)一方、精神分裂症において、薬剤治療を開始する前の患者に対し、L-^<11>C-ドーパ並びに^<11>C-ラクロプライドを用いて、それぞれドーパミンの代謝回転とドーパミンD_2受容体結合をPETにより定量解析し、その後、クロザピンで治療するグループとハロペリドールで治療すグループに分け、その治療効果を、更に、PETで追跡した。その結果、各グループの症例数は少ないものの(各2例づつ)、新規(ドラグナイーブな)精神分裂疾患者では、L-^<11>C-ドーパの代謝回転が正常人の2倍近く亢進していること、また、クロザピン治療グループでは、この値が正常方向へ動くことが判明した。 4)上記の疾患や、躁うつ病、アルツハイマー病で、ドーパミン系とアセチルコリン系、並びに、ドーパミン系とグルタミン酸系やGABA系との相互連関を探るために、その基礎実験として、サルを用いて、片側の黒質一線条体のドーパミン系を破壊する病態モデルを作製し、各系に関わる^<11>C標識リガンドを用いて、PET研究を開始した。
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