研究分担者 |
BHANG H.C. ソウル国立大, 物理教室, 助教授
永江 知文 東大核研, 中間エネルギー部, 助手 (50198298)
橋本 治 東大核研, 中間エネルギー部, 助教授 (50092292)
家入 正治 高エネルギー研, 物理研究部, 助手 (50192472)
田中 万博 高エネルギー研, 物理研究部, 助手 (90171743)
千葉 順成 高エネルギー研, 物理研究部, 助教授 (50126124)
今里 純 高エネルギー研, 物理研究部, 助教授 (40107686)
NAGAE T. University of Tokyo, Institute for Nuclear Study
TANAKA K. KEK, Physics Department
LEIRI M. KEK, Physics Department
CHIBA J. KEK, Physics Department
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研究概要 |
本研究は,日本学術振興会と韓国科学財団による日韓科学協力事業に基づくもので,高エネルギー物理学研究所の12-GeV陽子シンクロトロン(KEK-PS)によるK中間子ビームを用いたハイペロンと核子ならびにハイペロンと原子核の相互作用についての実験的研究を中心に韓国の研究者を迎えて共同研究を推進するために企画された。日韓科学協力事業は平成4年度と5年度の2年間に継続して進められる事業である。本年度は,先ず,韓国側研究者に対する高エネルギー研の紹介や,研究主題の学術的評価・技術的見通しに関する相互の意見や情報の交換を進めた。 一方,本研究主題はKEK-PS実験の中心テーマであり,既に日本の研究グループにより各種の研究が始まっている。韓国研究者も,その一部は既に数年前より実験に参加してきたので,一方では新しいグループに働きかけるとともに,他方では従来からの研究実験を更に強力に進めるための基盤を固めた。 具体的に進めた事業は以下のとおりである。 1。韓国におけるワークショップの開催。 ハイペロン散乱とハイパー核い関するワークショップを韓国で開催し,日本からは9名が講師として参加した。ワークショップには50名を超える韓国の若手研究者が集まって高エネルギー研における実験計画を中心に討論した。ワークショップの成果をもとに,日韓合同の実験チームによる新しい実験の提案が2件まとまり,高エネルギー研の実験課題審査委員会に申請することになった。 2。韓国物理学会総会における招待講演者の派遣。 韓国物理学会の要請に応じてその総会に講演者を送り,中性K中間子による研究実験の成果と今後の計画を紹介した。 3。高エネルギー研における日韓協力実験の推進。 (1)高エネルギー研12-GeV陽子シンクロトロン実験室のK6ビームラインに建設中であった大型超伝導スペクトロメーターが完成し調整に入った。この段階から,韓国の研究者が本格的に参加し,最初の実験として行われたπ中間子の弾性散乱実験と(πK)反応によるハイパー核実験のデータ収集をほぼ完了した。今後はデータ解析が重要な作業になっている。ハイパー核実験は,さらに偏極や寿命の測定などを目指す新しい実験が検討されている。 (2)K2ビームラインにおけるハイペロン散乱の実験でもデータ収集が順調に終わり,ここでもデータ収集の段階に入った。また,次の実験のためにシンティレーション・ファイバー検出器の改良作業を始めた。 (3)同じK2ビームラインで行われたハイブリッドエマルジョン実験の解析も日韓両国で進められていて,新しくダブルハイパー核の事象が見つかった。今後さらに検出感度を上げるため,シンティレーション・ファイバーをも組み込んだハイブリッドエマルジョン実験の開発を始めた。
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