研究分担者 |
秦 大同 重慶大学, 機械伝動国家重点実験室, 助教授
韋 雲隆 重慶大学, 機械伝動国家重点実験室, 教授
張 光輝 重慶大学, 機械伝動国家重点実験室, 教授
雷 聞宇 重慶大学, 工学院, 教授
とう 鋼 (〓 鋼) 東北大学, 工学部, 助手 (90237040)
柴田 勝久 東北大学, 工学部, 助手 (20196421)
井上 克己 東北大学, 工学部, 助教授 (90005554)
QIN Datong Stat Key Lab of Mechanical Transmission, Chongqing, Associate Professor
WEI Yunlong Stat key Lab of Mechanical Transmission, Chongqing University, Professor
ZHANG Guanghui Stat Key Lab of Mechanical Transmission, Chongqing University, Professor
DENG Gang Faculty of Engineering, Tohoku University, Research Associate
LEI Wenyu School of Engineering, Chongqing University, Professor
こう 道香 重慶大学, 機械伝動国家重点実験室, 講師
廖 小雲 重慶大学, 機械伝動国家重点実験室, 助手
石 曉輝 重慶大学, 機械伝動国家重点実験室, 講師
曹 興進 重慶大学, 機械伝動国家重点実験室, 講師
雷 雲宇 重慶大学, 工学院, 教授
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研究概要 |
歯車装置は最も信頼性の高い伝動装置であり,機械工業を支える基盤技術として,各種の産業機械,輸送機械の動力伝達に用いられている.歯車装置は入力軸と出力軸が平行である円筒歯車装置とこれらが直交する食い違い軸歯車装置に大別されるが,円筒歯車についてはその製作法,設計法,性能・強度の評価法など詳細な検討がなされているのに反し,食い違い軸歯車は幾何学的形状が複雑なことも原因してその研究はかみあいの理論とこれに基づく原理的な製作法の段階に留っている. 東北大学には食い違い歯車のかみあい理論に関する優れた伝統と円筒歯車に関するハイレベルの研究能力があり,中国重慶大学国家重点機械伝動実験室には食い違い歯車のかみあい理論と歯車製作法に関する優れた研究者集団がいる.本国際学術研究は,この両大学が共同して円筒歯車での性能・強度解析手法を食い違い軸歯車のかみあい解析と融合させて,鼓型ウォームギヤに代表される食い違い歯車の負荷能力を明確にすることを第一の目的として,さらに,円筒歯車をも含む伝動装置の性能向上に関する基盤技術の確立と研究者の国際交流をも目的とした総合的な国際協同研究である. 本年度は本研究の最終年度であり,鼓型ウォームギヤとまがりばかさ歯車の負荷能力と歯当たり解析に関する研究を,円筒歯車の研究結果と総合して明確にした.また,3年にわたる本国際研究の成果を9月にイギリス・ニューキャッスルで開催されたイギリス歯車工業会主催の国際会議で5編,10月にアメリカ・ハワイで開催されたアメリカ機械学会およびトライボロジ学会主催の国際会議で1編,12月に仙台で開催された日本機械学会主催のMPT'94シンポジウム伝動装置で10編の学術論文として公表した.また,また学会論文誌に8編の論文を公表した.本国際学術研究に関連する成果はこれらを合わせて合計40編を越える論文として公表された.現在,公表論文を基に本国際学術研究の成果報告書を作成中である. 以下に本年度の公表論文に基づいて,本年度の研究実績をまとめる. 1.鼓型ウォームギヤに関する研究 可展歯面鼓型ウォームギヤは東北大学で発明され,重慶大学で改良されてきたウォームギヤである.かみあいが線接触でなされるので負荷容量が大きいが,加工組立誤差に敏感である欠点を有していた.昨年度までにこのウォームギヤの歯当たり解析と歯当たりに及ぼす加工組立誤差の影響を求めた.本年度は歯形形状の測定法を提案し,さらに,歯当たりを局所面接触にして誤差に強い鼓型ウォームギヤを開発した. 2.まがりばかさ歯車に関する研究 まがりばかさ歯車には勾配歯と等高歯の2種がある.近年,加工精度と強度の観点から等高歯が着目されているが,等高歯では,まだ,歯の変形まで考慮した歯当たり解析できず,また,組立時に干渉を生じることがあり,その実用化が遅れていた.本研究ではこの二つの問題を解析し,設計の手法を示した. 3.歯車の強度に関する研究 浸炭歯車の曲げ強度につき,各種表面処理による強度向上法の効果と強度向上の機構を破壊力学の観点から検討し,多くの成果を得た. 4.歯車の潤滑・スコーリング スコーリングは潤滑不良に起因する歯面焼き付きであり,食い違い軸歯車では歯面の相対速度が大きいので特に問題となる.本研究では円筒歯車について歯面の温度を測定し,閃光温度によるスコーリング評価法について新しい提案をした. 5.歯車の振動騒音に関する研究 歯車装置の騒音を放射音響パワーを設計段階で評価できるシミュレーション手法を提案した. 6.研究者の交流と研究体制について 本国際研究を通じて,日中の若い研究者が互いに知己となり,真の意味で共同できるようになった.また,学会発表を通じて重慶大学の研究体制を日本に紹介できた.
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