研究課題/領域番号 |
04045020
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
三島 好雄 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00010158)
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研究分担者 |
趙 建新 北京医科大学, 医学部, 講師
田 竟生 北京医科大学, 医学部, 教授
李 通 北京医科大学, 医学部, 教授
北郷 邦昭 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (00161472)
吉永 圭吾 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (80240745)
岩間 毅夫 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (70114741)
ZHAO Jian xin Beijing Medical College, Medical School
TIAN Jiansheng Beijing Medical College, Medical School
家城 和男 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (70242188)
嘉和知 靖之 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (20234081)
福成 博之 東京医科歯科大学, 医学部, 医員
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
1994年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1993年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1992年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | 家族性大腸腺腫症 / 疫学 / 大腸癌 / APC遺伝子 / 大腸腺腫症 / 分子生物学 / ras遺伝子 / 分子遺伝学 |
研究概要 |
日本側の研究成果:疫学的及び分子生物学的研究において相当の成果が認められた。すなわち1)一般集団と家族性大腸腺腫症(FAPと略記)とを共通の場で考えることができる疫学モデルを提案した(Mizuno S,et al.J Epidemiol,1993)。2)FAP若年者第1度近親の死亡について調査し、4歳までの肝芽腫が有意に高率、相対危険率176(95% Cl 36.4-515)、であることを明らかにした。FAP遺伝子変化との関連の検討が課題となった(Iwama T.Cancer,1994)。3)FAPの各種臓器における発癌強度を一般集団と比較して計算した、癌による死亡の相対危険率は、大腸癌210(95% Cl 183-214)、胃癌は3.4(95% Cl 1.8-6.0)、十二指腸乳頭部癌は250(95% Cl 112-447)であり、これにより合理的な癌の予防的治療のための有力な指標を与えることができた(Iwama T.Ann Surg、1993)。4)FAPの腫瘍(デスモイド)発生について、APCの胚細胞系遺伝子変化と体細胞系の遺伝子変化が必要であろうことが明らかになった(Miyaki M,et al.Cancer Research,1993)。5)腺腫発生にはgerm-line遺伝子変異および体細胞遺伝子変異の両方が必要なことがFAPおよび一般大腸癌、大腸腺腫による広範な検討で確認された(Miyaki M,et al.Cancer Research,1994)。 中国側との共同研究状況:1)中国における情報交換によると、日本で開発された回腸肛門吻合術の結果は、医師によって排便機能が良いものと芳しくないものとに分かれた。さらに良好な結果を得るためには、機能評価の掘り下げが必要であろうと結論された。2)日本においてはFAPににおける十二指腸乳頭部病変は55%で有り(J Am Coll Surg,1994)早期診断と局所手術が有効なことが示されたが、中国においては十二指腸乳頭部病変は20例中に殆ど認めないとの討論であった。これはAPC遺伝子変異部位が日中間で異なる可能性と、中国における検査が十分でない可能性とが指摘された。3)日本における遺伝子研究手法について視察の後、中国との違い用いるprobe,primer,切断酵素、や手法について相互理解を深め研究の推進に有効であった。4)前に述べた検討の結果、各種遺伝子probe、primer、酵素、抗体について、中国で必要とし日本で入手可能なものについて、順次供与して共同研究の進行をはかることができた。4)中国におけるFAPまたは遺伝性大腸癌に関する疫学的調査は地域的にもほとんどなされておらず、これから発展させるべき分野と考えられ、日本における登録制度と資料の利用方法について両国で検討した。 中国側の研究成果:中国においては大腸癌は悪性疾患の第5位(日本においては男第4位、女第2位)で増加中であることが判明した。FAPについては登録がされておらず頻度を明らかにすることはできなかった。FAPに合併する十二指腸乳頭部病変の認識が未だ薄く、20例のFAPにおいて病変を認めていない。日本からのデーターにより検査を進めることになった。一部日本より供与された分子生物学的資料等を使用して、大腸癌に関する遺伝子変化についての成果が得られた(Tien C,Li T.Chin J Med,1993及びChin J Oncol,1995)。すなわち大腸の癌化については、中国の大腸癌におけるras遺伝子、P53遺伝子の変化が検討され、ras遺伝子codon21の変化が50%に認められることを明らかにした。さらにpsoralenによる悪性細胞の分化誘導、TGF-αと癌化との関連を検討してautocrine機構による増殖の可能性をみとめた。FAPの原因遺伝子であるAPC遺伝子部位のヘテロ接合性の消失について29例の大腸癌について検討し、そのうち20例がinformativeであったが、うち8例(40%)にヘテロ結合性の消失を認めた。日本における我々の検討では、FAPの進行癌においてはAPC遺伝子を含む部分のヘテロ結合性消失は44%、一般大腸癌においては48%に認められ、ほぼ中国と同様な結果を得ている。 以上中国との大学間協力研究において、相互に研究を推進し合うことができ、FAPの疫学的、分子生物学的、および臨床的成果には特に日本側において著しいものが有った。
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