研究分担者 |
粱 伝宝 上海外国語学院, 日本語学部, 助教授
王 宏 上海外国語学院, 日本語学部, 教授
平井 和之 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (10199028)
小林 二男 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10107831)
依藤 醇 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (80014520)
高橋 均 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (40015392)
金丸 邦三 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (70014438)
LIANG Chuanbao Shanghai International Studies Univ., Faculty of Japanese Language, Associate pr
WANG Hong Shanghai International Studies Univ., Faculty of Japanese Language, Professor
張 栄根 上海外国語学院, 日本語学部, 副研究員(助教授)
有田 和夫 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (70011301)
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研究概要 |
外国語の学習では,言葉の背景にある文化や生活習慣の理解が大切である。 本研究は,第一に中国人の日常生活における,衣食住の基本的な生活行動を対象として,その設備・用品類を写真等に記録し,それらに対応する口語語いを収集する。とくに近年は中国人の生活の変化が著しいので,伝統的な面と外来的な面の対比を重視する。第二に上記調査を補う意味を含め,動作・行為を表す動作動詞の具体的な動きを視覚的な資料に記録する。第三に収集資料は日中比較対照の視点を加えて分析し,部門別に可能な限り多くの図説生活語い集をまとめ,わが国における中国語教育に役立てる,等を目的として実施された。 今年度は最終年度に当たり,調査地点と調査分野をしぼり前年度までの成果の肉付けをはかることとした。具体的には,北京と上海の2都市で重点的に家庭訪問や聞き書きの方式で以下の3点につき現地調査をすすめた。 1.家庭の内外における生活語いとその変化。 2.屋外,とくに街頭に見る生活関連語い。 3.生活の近代化にともない,市場等に現れた生活関連商品と語い。 これらについて聞き書きと写真撮影による資料収集を行った。また1と関連して日常生活における動作動詞を記録する作業もひきつづき現地ですすめ,図説集の続編制作作業にも重点を置くこととした。また,1〜3のいずれについても前年度までの収集資料が多数にのぼるため,資料集刊行に向けて整理と分析にも努力することとした。とりわけ,前年度までの実地調査で,最近の改革開放政策により,中国人の日常生活が急速に近代化し,生活関連語いの変化が著しいことがわかったので,これらの収集資料については,研究代表者等が92年末に刊行した「中国語図解辞典(大修館書店刊)」を一つの物差しとして,対比的なまとめ方を模索し,在来の伝統的な部分についても,前年度の成果として刊行した「魯迅の文学作品における民俗・風物」のごとき資料もひきつづき対象とすることにした。 上記の計画にしたがい実地調査と収集資料の整理が行われたが,その成果を今年度内に公けにし得た刊行物にもとづいて以下に述べる。 1.日常生活関連の動作動詞を記録する作業を前年にひきつづいて順調にすすめ,「続 目で見る中国語生活動作動詞」と名付ける図説集を刊行した。今年度は約60の基本動詞にしぼったが,この種の刊行物は国内・国外を問わず初めてであり,前年度の刊行物はきわめて好評であった。本年はとくに上海で特定の家庭を一日借り切り,家屋内の設備や生活用品を,モデルとして依頼した若手俳優に実際に使用させて写真と語いを収集した。これらの資料で興味深い例であるが,同じ「ハル」でも「貼」はぴったり密着させるのに対し,「粘」はちょっととめる程度でもよい。また同じ「かつぐ」でも「抬」は2人以上で持ち上げるのに対し,「挑」は天びん棒でかつぐ場合,等の類義動作動詞の区別が視覚化で理解しやすくなった。 2.街頭に見る生活関連語いを収集した「命令・禁止表現に見られる常用語彙」を刊行した。これは屋外に見る標語や掲示用語を集めたもので,かつての政治標語が姿を消し,安全・衛生・エチケットをはじめ市民生活で常用される語いが目立っている。とくに「違者罰款」というルール違反をなんでも罰金で規制する傾向が見られるのは時代の反映である。 3.広告や各種高品の説明書等から生活語いを収集し「生活語彙資料集」にまとめた。商品名は近年になって外来語が急激に増えている。当然のことであるが,これを漢字表記にするため,イメージ・アップをはかり種々の苦心や工夫をこらしている。たとえば,雪碧 xuebi(スプライト)や芳達 fangda(ファンタ)の類いである。ミニ・タクシーを指す面的 miandiのように,広東語などの南方方言を通じ受容される例も多い。美容や料理といった例は,日本から逆輸入された漢語である。なお,現在このほかに新しい生活用品と関連の語いをまとめる用意をしている。
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