研究分担者 |
趙 孝済 釜山大学校, 工科大学, 講師(非)
李 承建 釜山大学校, 工科大学, 助教授
權 淳弘 釜山大学校, 工科大学, 助教授
金 辰安 釜山大学校, 工科大学, 教授
高木 健 大阪大学, 工学部, 講師 (90183433)
長谷川 和彦 大阪大学, 工学部, 助教授 (60106804)
内藤 林 大阪大学, 工学部, 助教授 (20093437)
斎藤 公男 大阪大学, 工学部, 助教授 (50029279)
JO Hyo-jae Pusan National Univ., Naval Architecture, Lecturer
LEE Seung-keon Pusan National Univ., Naval Architecture, Assoc.Prof.
KWON Sun-hong Pusan National Univ., Naval Architecture, Assoc.Prof.
KIM Jin-ahn Pusan National Univ., Naval Architecture,Prof.
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研究概要 |
国連の国際海事機関では、船舶及び海洋構造物の安全性に関する国際的基準が決議されつつある。このような状況の下で、世界の主要な船舶及び海洋構造物の建造国である日本と韓国との間でそれらの安全性に関する学術的な調査研究を実施することは世界の海域から海難事故を防止する上で極めて重要な課題である。このような観点から本研究課題に基づき、大阪大学、釜山大学校の研究者が相互に相手国を訪問し、調査研究した結果下記の成果を得た。 1.斜め追波中における船の復原性に関する研究 (1)Sway,roll,yawの運動についての線型運動方程式を導くとともに、数値実験を行うための計算プログラムを作成した。 (2)波と船との出会い周波数が0の極限状態での動的安定不安定を求めた結果、波の上り波面や下り波面で不安定となり、波の山で安定となることが分った。 (3)数値実験から波と船との出会い周波数が0の極限状態と、追い越し波中の波と船との出会い周波数が小さい場合の運動を観察できた。 2.海洋構造物に対する復原性基準とその適用に関する調査研究 アンケート調査により、下記4例の復原性規則適用の実態をまとめた。 (1)上五島洋上備蓄基地(2)旅客ターミナル(みなとみらい21) (3)潜降浮上型人工海底(4)アミューズメントシップ(エストレーヤ) 3.不規則波の造波とその不規則性に関する研究 (1)不規則波の造波において通常要求される位相の確率分布の一様さについて強く拘束される必要はない。 (2)位相の確率分布が一様であることよりも位相の順序特性が不規則性を持つことが重要である。 (3)不規則波を構成する成分波の位相は各研究者の目的によって自由に操作してもよいなどの知見を得た。 4.波浪中の船体に働く波浪による定常横力と回頭モーメントに関する研究 波浪により生じる抵抗増加、定常横力及び回頭モーメントの実用計算公式を導き、船速や船体の縦横比影響について計算を行った。その結果、波浪中抵抗増加、定常横力及び回頭モーメントに及ぼすこれらの影響が非常に大きいことが分かった。 5.インパルス応答関数を用いた規則波中の操縦運動に関する研究 操縦運動のインパルス応答関数、波浪強制力のインパルス応答関数を用いて規則波中でのZ試験のシミュレーションを行い模型試験結果と比較した。 6.非線形復原力を持つ半潜水式海洋構造物の非線形応答に関する研究 変断面コラムを持つ半潜水式海洋構造物の運動応答を求めるプログラムを開発し、これを用いて計算した結果、入射波高の増加に伴い上下揺振幅比が減少するが、応答関数に第2のピークが現れた。このピークは不規則波中における分散値を計算するときに影響するものと思われる。 7.半潜水式海洋構造物の波浪中応答の極値推定に関する研究 数値計算で得られた時系列から極値応答を求める方法を提案し、改良ワイブル分布を用いた極値推定は数値計算結果と非常によい一致を与えることを示した。 8.過渡応答試験による船の操縦微係数の推定法に関する研究 Todd's Series 60の模型船について過渡応答試験を行い、Swayingの微係数とYawingの微係数を精度良く求められることを示した。 これら研究成果の公表の機会として、「船舶及び海洋構造物の安全性に関するセミナー」を平成5年10月14,15日の2日間にわたり釜山大学校で開催し、関係する他の研究者にも参加を呼びかけ、研究成果について公表するとともに意見交換を行った。そのプロシ-デイング及び討論内容は下記資料として纏めた。 (1)SEMINAR ON STABILITY OF SHIPS & OFFSHORE STRUCTURES (2)Do.(MEMORANDUMS) 最後に本研究の成果が、今後の船舶及び海洋構造物の安全性に関する研究にいささかなりとも役立つとともに、大学間協力研究の更成る発展を期待する。
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