研究分担者 |
HOGGE James ヴァンダービルト大学, ピーボディ教育学部, 教授
金 徳萬 ソウル教育大学校, 教授
JOYAL Lloyd ウィスコンシン大学, オークレア校教育学部, 名誉教授
張 昌煥 ソウル教育大学校, 教授
趙 光濬 ソウル教育大学校, 教授
金 鍾文 大邱教育大学校, 教授
洪 吉錫 大邱教育大学校, 教授
長澤 憲保 兵庫教育大学, 学校教育研究センター, 講師 (60228004)
古川 雅文 兵庫教育大学, 学校教育研究センター, 助教授 (80153518)
長瀬 久明 兵庫教育大学, 学校教育研究センター, 助教授 (10127269)
渡邊 裕子 兵庫教育大学, 学校教育研究センター, 助教授 (10210957)
正司 和彦 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (10029283)
長石 敦 兵庫教育大学, 学校教育研究センター, 教授 (20125256)
岡崎 義富 兵庫教育大学, 学校教育研究センター, 教授 (50017480)
辻 弘 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (50040910)
HONG Gil-suk Taegu National Teachers College
JANG Chang-hwan Seoul National University of Education
CHO Kwang-joon Seoul National University of Education
KIM Duk-man Seoul National University of Education
JAMES H Hogg ヴァンダービルト大学, ピーボディ教育学部, 教授
趙光濬 ソウル教育大学, 教授
LIOYD H Joya ウィスコンシン大学, オークレア校・教育学部, 名誉教授
張昌煥 ソウル教育大学, 教授
金鍾文 大邱教育大学, 教授
洪吉錫 大邱教育大学, 教授
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研究概要 |
1.研究実績の報告書 (1)子どもたちがグローバルな問題についてどのような知識をもち、またそれに対してどのような態度・行動を示すかを把握することが本研究の視点である。そこで、平成4年度の段階からこの目的で検討を行い作成された質問票(調査項目 計62)をもとに、本年度の研究計画に沿って、その調査を実施した。 (2)調査地域として、日本では大阪、尼崎、社(兵庫)、韓国ではソウル、大邱、及び米国ではウイスコンシン州(5箇所)、テネシー州(4箇所)とし、それぞれ原則的に都会、地方の地域にわけて調査対象校を設定した。学級としては、発達段階との関連を考慮して小学校5年生、中学校2年生のそれを対象とすることとした。 (3)これらの比較研究において、具体的に調査対象地域のもつ自然的条件、文化的背景について、充分の理解が結果の分析に必要である。そこで、調査票の作成における理論的な検討のうえに、さらに現地の実情の調査と教員との意見交換を行うなどの努力を払った。 (4)調査の集計結果については、兵庫教育大学学校教育研究センターで行われた研究分担者、協力者会議において、結果の分析と考察を行った。今回は、2年度の研究期間の終了にあたり報告書を作成している(印刷中)。 2.研究成果の概要 本研究では、グローバル教育の内容を地球規模の視点からみた環境教育、国際理解教育、情報化社会に対応した教育の三つの側面から検討することとした。このような広域の問題を対象とする教育について、その内容について考えていくうえで、まず、子どもたちがこうした問題にどのような知識や意識を持っているかを知ることが、実践的なカリキュラムや教材の開発にぜひ必要であると考えられる。また、単に知識だけではなく、行動(経験)のレベルとその基礎となる価値的態度のありようも測定する必要がある。そこで、本研究は、基本的に国際比較の手法によって、子どものもつグローバルなテーマに対する現状での知識、行動、態度について調査して、その特色を明らかにすることを目標とした。 今回は、日本、アメリカ合衆国及び韓国の子どもを対象として、また、Piagetの認知発達段階で、具体的操作から形式的操作への移行期にある小学校5年生と、形式的操作の段階にあたる中学校2年生を選んだ。 本調査の対象者数は、2,612(内訳 日本649,韓国1,404,米国559)であった。 結果と考察の要約 (1)米国の生徒は、日本と韓国の生徒より環境問題についてより多くの知識があると答えている。その理由の一部は、この問題に対してカリキュラムが定着していることの差にあると予想される。 (2)生徒の経験する環境問題は、日本、韓国、米国で異なっている。それは、環境の差異と、第二に同じくカリキュラムの違いによるものと思われる。 (3)環境問題への生徒の態度は、3国で異なっている。これは社会文化的背景と教育の差異による。 (4)エネルギーについては、各国の社会・経済的事情により認識に差がある。しかし、総じてクリーンな太陽エネルギーを期待する子どもが多い。 (5)国際理解では、米国の子どもが最も進んでおり、日本の子どもに消極性がみえる。 (6)情報活用に関しても、コンピュータの学習や国際ネットワーク通信について、日本の子どもは、その関心意欲が米国や韓国ほどでないことが示された。 この点で、わが国の視点からは、知識や理解力のみならず、関心や意欲・態度の育成及び自主的問題解決の場としてグローバル教育が恰好のテーマを提供する可能性があると考える。 従って: 第1に、グローバル教育における実践課題を含む綿密なカリキュラムの編成と教材の開発が必要である。 第2に、グローバル教育における価値観や倫理についての追求が必要である。究極的に世界市民として人間の生きかたの問題を避けて通れない。 第3に、評価の問題がある。グローバル教育で扱う問題とその学習については、簡単なテストで測られるものではない。また単一の答えでなく、拡散的な思考や創造性が求められるばかりか、意欲、関心、態度といった「みえない学力」に関する部分が多い。 最後に、グローバル教育では、人と人の結びつきが重要であることから、低年令層からの国際的な子どものコミュニケーションを情報機器の活用を含めて行う研究が進められる必要がある。
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