研究分担者 |
HUDGINS H.C. イーストカロライナ大学, 教育学部, 教授
SPENCE D.L. イーストカロライナ大学, 教育学部, 準教授
COBLE C.R. イーストカロライナ大学, 教育学部, 教授
井上 弥 広島大学, 学校教育学部, 助教授 (10201336)
林 孝 広島大学, 学校教育学部, 助教授 (30144786)
永田 雄次郎 広島大学, 学校教育学部, 助教授 (60107852)
鈴木 盛久 広島大学, 学校教育学部, 教授 (10033888)
石井 眞治 広島大学, 学校教育学部, 教授 (60112158)
高橋 超 広島大学, 学校教育学部・付属教育実践研究指導センター, 教授 (80033554)
田中 春彦 広島大学, 学校教育学部, 教授 (90033638)
小篠 敏明 広島大学, 学校教育学部, 教授 (30041007)
間田 泰弘 広島大学, 学校教育学部, 教授 (80033637)
LEVY B.A. イーストカロライナ大学, 教育学部, 教授
LEVEY B.A. イーストカロライナ大学, 教育学部, 教授
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研究概要 |
本研究は,教育系大学院における教師教育カリキュラムの日米共同開発及び教育実践にかかわる日米共同研究システムの確立を主たる目的として計画されたものである。研究は,3年にわたるもので,今年度が最終年度である。今年度の主たる研究目的は,Ed D.学位取得者の教育界において果たしている役割にについての調査と,教育実践にかかわる共同研究システムの作成と具体的な共同研究プロジェクトの企画である。また,過去2年間の研究成果に基づいて,教員養成系大学院における教師教育カリキュラムの開発を試みた。 この目的を達成するために,本年度は日本側研究分担者2名を派遣し,相手側研究分担者1名を招へいした。派遣,招聘による主な研究成果の概要は,以下のとおりである。まず,Ed D.学位取得者についての調査では校長及び教育長等の職にある者11名について個別面接を行なった。その結果,学位取得者が果たしている大きな役割としては,人事管理や財政管理,さらには教育課程の編成などで大きな役割を果たしていることが明らかにされた。しかし,このよう役割を果たしている一方で教育実践経験を全く持つことなく校長職に就いている学位取得者の場合,教員との意志疎通に少なからずの問題が起こっていることも明らかにされた。学位取得の動機は,主に管理職に就くことや州や市の教育行財政職に就くためというものが圧倒的に大きいものであった。 共同研究システムに関しては,過去2年間に渡って効果的なシステムの検討を行なってきたが,今年度の研究において,電子メイルを利用して両大学教官の研究課題等を随時交換するとともに,年1回,ニューズレターを発行して共同研究プロジェクトの募集を行なうというシステムを作成した。なお,電子メイルによる研究情報の交換は,平成7年1月から実施の段階に入っている。また,共同研究の具体的プロジェクトについても,本年度の研究において幾つかの研究テーマを選択し,実行することとした。その一つは,環境教育カリキュラム開発研究である。第二は,教師効力感に関する研究である。第三は,教育的リーダーシップの構造分析にかかわる研究である。第四は,学校と地域と関連性に関する研究である。これらの課題については,既に両大学間で担当者を選定し,実行段階に入っている。なお,これらの研究成果に関しては,学校教育学部の定期刊行誌に公表する予定である。 教員養成系大学院における教師教育カリキュラム開発に関しては,両大学院の組織がかなり異なったものであるものの,幾つかの点で共通のカリキュラム開発が可能であることが明らかとなった。第一は,いじめを始めとする生徒間暴力に対処するための実践的指導力育成のためのカリキュラム開発である。いじめなどの生徒間暴力は,日本と同様,アメリカの学校においても深刻な状況にあり,その解決のための教師の指導力育成が大きな課題になっている。この指導力を大学院において体系的に育成するために,生徒指導や教育相談,学級経営などを統合化したカリキュラムについて検討した。具体的なカリキュラムについては,今後,両大学院において具体化に向けた検討を継続することとした。第二は,国際理解教育カリキュラム開発である。日米両国ともに,今後,小中学校における国際理解教育はますます重要になると思われる。そのためには,特定の教科指導とは異なる専門性が求められる。そこで,本研究の基盤となっている学部間研究交流協定の趣旨を生かし,日本側の大学院には「ノースカロライナ学」,相手側大学には「ヒロシマ学」をそれぞれ開設し,大学院レベルの国際理解教育の充実を図ることについて検討した。具体的な授業内容等については,今後,さらに詳細に検討することとした。 以上が本年度の研究実績の概要である。残された課題も少なくないが,3年間にわたる研究成果は実りあるものであった。特に,両大学間に共同研究のシステムが確立したことは,今後,本学部と相手側大学との研究交流を促進していく上で極めて意義深いものと思われる。
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