研究課題/領域番号 |
04151032
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
武部 啓 京都大学, 医学部, 教授 (10028318)
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研究分担者 |
錦織 千佳子 京都大学, 医学部, 助手 (50198454)
野村 大成 大阪大学, 医学部, 教授 (90089871)
吉田 廸弘 北海道大学, 理学部, 教授 (60001765)
立花 章 京都大学, 医学部, 助手 (20188262)
山泉 克 熊本大学, 医学部, 教授 (70107093)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
18,400千円 (直接経費: 18,400千円)
1992年度: 18,400千円 (直接経費: 18,400千円)
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キーワード | 遺伝要因 / 修復 / 突然変異 / 色素性乾皮症 |
研究概要 |
研究目的:発がん過程は多段階であり、大腸がんではその各段階に関与している遺伝子の存在が実証あるいは推定されている。これまで、イニシエーション、プロモーション、プログレッションと分けられていた各過程が、いずれも遺伝子の変化の結果と考えられるようになってきた。しかし、プロモーションを起す要因のなかには、遺伝子の変化、すなわち突然変異を生じさせる作用のないものも知られている。本研究は、遺伝的に発がんしやすい素質について、それが多段階のどの段階が促進されているのかを解明することを目的とする。本研究は、DNA、遺伝子、染色体の不安定さ、および遺伝子発現の修復が多段階発がんの各過程を促進している、との仮定を実証し、それに関与している遺伝子およびその仂きを明らかにするような実験研究を行う。 研究経過と成果:日本の色素性乾皮症患者はA相補性群が多く、しかもその約90%はエクソン4のアクセプター部位の突然変異である。チュニジアのA群患者7例のうち6例はエクソン6の点突然変異であり、これまで、相補性群の分布の違いが知られていた民族間の違いに、遺伝子内の突然変異の部位の違いが明確に示された。太陽光の紫外線によって生じたことが確実な色素性乾皮症患者の皮膚がんで、ラス遺伝子とP53遺伝子の突然変異を調べたところ、ラス遺伝子の突然変異は検出できなかったが、8個の皮膚がんのうち6個にP53の遺伝子突然変異が検出された。いずれも2個のピリミジンが隣接している部位に生じ、紫外線によってDNAに生じた損傷が原因であることが示された。ヒト細胞で自然に生じる突然変異には離れて存在する短かい同じ配列の間が脱落する「すべり欠失」がしばし見出されるが、紫外線によってはそのような欠失は見出されない。「すべり欠失」はヒト細胞の修復機構とは別の機能が関与して生じると考えられる。
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