研究課題/領域番号 |
04151037
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
内海 博司 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (20025646)
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研究分担者 |
大西 武雄 奈良県立医科大学, 生物, 教授 (60094554)
馬嶋 秀行 日本大学, 歯学部, 講師 (60165701)
窪田 宜夫 横浜市立大学, 医学部, 講師 (20046139)
佐々木 武仁 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (90013896)
石崎 寛治 京都大学, 放射線生物研究センター, 助教授 (70111987)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
1992年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
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キーワード | 放射線抵抗性癌 / 骨肉腫 / 癌遺伝子 / p53 / raf / PCNA / PLD / 悪性黒色腫 |
研究概要 |
ヒト悪性黒色腫細胞株(6株)に生存曲線を検討して、PEの良い、高い放射線抵抗性を示すG-361株と、高い放射線感受性を示すP-39株が見いだしたので、この2種の細胞株を中心に、PLD修復能力や、初期DNA二重鎖切断量あるいは修復不能DNA二重鎖切断量、癌遺伝子の発現量、誘導核タンパク質等について検討された。 ヒト悪性黒色腫細胞株の放射線抵抗性の場合には、intrinsicに細胞自身が、放射線障害の修復能(PLD修復能やDNA二重鎖切断修復能)が高まっていて放射線抵抗性になっていることが明らかにされた。このG-361株とP-39株の細胞の放射線感受性の違になras、raf、myc等のいわゆる優性癌遺伝子の変化が関与している可能性はかなり低い。最近、癌抑制遺伝子p53が細胞周期の制御だけでなくDNA損傷の修復の制御にも関与している可能性が示唆されている。そこで、PCR-SSCP法で癌抑制遺伝子p53の変異を検索したところ、G-361細胞は正常であったが、P-39細胞のp53遺伝子のエクソン7と9に突然変異を検出された。さらに、放射線照射後、フローサイトメーターでDNA量の変化を調べて見ると、P-39がG1ブロックがかからず、G-361はG1ブロックがかかっていた。この予備的な結果は、悪性黒色腫細胞P-39のp53遺伝子の機能が損なわれているために放射線によって作られたDNAの損傷が完全に修復されずに次の細胞周期に入る結果として、細胞死が起こり、この細胞が放射線感受性になっている可能性も考えられる。 内因生放射線抵抗性因子として浮上したPCNAが、シスプラチン、UV、X線によるDNA損傷の修復に共通してPCNA・DNA複合体とした働き、少なくともこれら作用原に対する共通した抵抗生機構の一つであることが明かにされたことは、本年度の大きな収穫である。
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