研究分担者 |
西條 長宏 国立がんセンター研究所, 薬効試験部, 部長 (00215526)
大野 竜三 名古屋大学, 医学部・附属病院分院, 助教授 (70093002)
前原 喜彦 九州大学, 医学部・外科学, 講師 (80165662)
稲葉 実 癌研究会, 癌化学療法センター法礎研究部, 主任研究員 (60085636)
石田 良司 愛知がんセンター研究所, 生化学部, 主任研究員 (50150214)
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研究概要 |
目的:癌治療における難問題の1つは制癌剤耐性腫瘍の出現である。がん患者の多くは制癌剤耐性と何らかの関連があるといわれている。本研究では,耐性腫瘍の耐性に関与する分子機序を明らかにして,耐性因子を同定する。と同時に耐性因子を標的にした耐性克服剤の関発を進める。耐性因子についとは臨床腫瘍の診断マーカーとしての有用性を検索し,さらに耐性克服剤についとは臨床応用への可能性を検討するために以下の研究を進めた。1基礎分野からは,多剤耐性,シスプラチン耐性,5ーフルオロウラシル耐性,エトポシド(VPー16)耐性およびカンプトテシン耐性獲得に関与する分子機構を明らかにする。2.臨床分野からは,Pー糖蛋白質,DNAトポイソメラーゼ,DNA損傷修復,グルタチオン関連酵素などが腫瘍耐性と関連するか否かを明らかにする。3.基礎と臨床分は協力して耐性克服剤の作用機序を明らかにし,臨床への応用性につていは検討する。 結果:1.多剤耐性MDRー1遺伝子のプロモーターが制癌剤や血清除去や紫外線などで活性化された。2.多剤耐性を担うPー糖蛋白質の ATPase活性部位に関する構造活性相関について解析を進めた。3.シスプラチン,5ーフルオロウラシル,カンプトテシンやエトポシド等の耐性獲得に薬剤のとりこみ,核酸合成,崩壊酵素なDNAトポイソメラーゼなどの新しい変化を見い出した。4.乳癌,卵巣癌,甲状腺癌や造血組織腫瘍などにおいてMDRー1またPー糖蛋白質の発現と耐性との関連の有無を検討した。5.多剤耐性や5ーFU耐性の新しい克服剤の開発と臨床応用を開始した。
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