研究課題/領域番号 |
04151065
|
研究種目 |
がん特別研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
小池 克郎 癌研究会, 癌研究所・遺伝子研究施設部, 部長 (30085625)
|
研究分担者 |
小俣 政男 東京大学, 医学部, 教授 (90125914)
岡山 博人 東京大学, 医学部, 教授 (40111950)
下遠野 邦忠 国立がんセンター, 研究所, 部長 (10000259)
小池 和彦 東京大学, 医学部, 助手 (90234658)
村上 清史 金沢大学, 癌研究所, 助教授 (90019878)
|
研究期間 (年度) |
1991 – 1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
|
配分額 *注記 |
22,200千円 (直接経費: 22,200千円)
1992年度: 22,200千円 (直接経費: 22,200千円)
|
キーワード | ウイルス性肝発がん / B型肝炎ウイルス / 転写活性化 / X遺伝子 / プロテアーゼインヒビター / C型肝炎ウイルス / 前駆体蛋白質プロセッシング / 超可変領域 |
研究概要 |
わが国における肝がん死亡者数は年々増加しており、疫学的には肝がん患者の9割以上にB型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)の感染が見られ、肝炎ウイルスの感染と肝炎、肝がんの発症が密接に関係している。 HBV持続感染者では、肝炎が単にがん化の原因になっているのではなく、HBV自身がん原因子をもっていると考え、X遺伝子のがん化における関与を検討している。本年度の研究から、X遺伝子の転写にはエンハンサーによる肝特異的な調節機構があり、それをX蛋白質がコントロールしていることがわかった。さらに、X蛋白質について、セリンプロテアーゼインヒビター様の構造をもつことを指摘し、実際にセリンプロテアーゼの一つと特異的に結合し、阻害することを明らかにした。以上、X遺伝子の働きは、宿主側に逐次変化を誘発することによりがん化を起こす、一種の多段階発がんと考えられ、詳細についてさらに研究している。 他方、HCVについては、HBV感染のない肝がん患者の90%以上にその感染が見られ、遺伝子の構造と発現の研究がスタートし急速に展開している。本年度の研究では、無細胞翻訳系および培養細胞を用いた遺伝子の一過性の発現実験からウイルス蛋白質を明らかにした。ゲノムのほぼ全体を占めるORF領域から前駆体蛋白質が合成され、それがプロセスされて個々の機能蛋白質になること、またこのプロセシングに宿主およびウイルスのプロテアーゼが関与することを示した。また、とくにウイルスのエンベロープ糖蛋白質をコードする領域に変異しやすい超可変領域が存在することを明らかにし、これと持続感染との関連を示唆した。以上の結果にもとづいて、HCV遺伝子のがん化での働きについて検討を始めた。
|